沖田メンタるクリニック④(メジェド編)(1:1:1)
【配役】
沖田:男性
ワルキューレ:女性
メジェド:性別不問
※演じる方の性別は不問といたします。
ブリ:・・・沖田せんせ。
沖田:・・・はい・・・。
ブリ:患者さんとのカウンセリングが終わったら、必ずカルテを記入したうえで
ブリ:この青いファイルに入れるように言いましたよね?
沖田:・・・はい。
ブリ:これはなんですか?
沖田:黄色い・・・ファイルです・・・。
ブリ:整理整頓は大人の嗜み(たしなみ)。
ブリ:元の場所に戻す、決まった場所に戻す、靴下は脱ぎっぱなしにしない、食器は片づける。
ブリ:これらはできて当たり前の事なんですからね?
沖田:はい・・・あの・・・ブリさん・・・。
ブリ:大体あなたは。そんな風にだらしないから台詞だって間違えるんですよ。
ブリ:ゼウス編の終盤の台詞。あなたなんて言ったか覚えてます?
沖田:ちょ・・・ブリさん、待って・・・。
ブリ:「カーシーっちゃう?」ですよ。「カーシーっちゃう」って。
沖田:やめて・・・ブリさん・・・本当やめて・・・。
ブリ:「カーリー」ですよね?パールヴァティのもう一つの姿って。
ブリ:なんで「カーシー」って言っちゃうんですか?シーってなんですか?シーって。
ブリ:カーリーですよ、カー!リー!
沖田:ううう・・・。
ブリ:それだけじゃないですよ!!ワルキューレ編でもやらかしてますよね?
沖田:ぴえん・・・。
ブリ:「一長一短」(いっちょういったん)って言ってましたが。
沖田:はい・・・言いました・・・。
ブリ:誤用ですよね?
沖田:・・・はい。
ブリ:「一朝一夕」(いっちょういっせき)ですよね?
沖田:・・・誤用だ誤用だ・・・。
ブリ:ふざけないでくださいまし??
沖田:ごめんなさい。
ブリ:物も!言葉も!カルテも!きちんと整理整頓!はい!復唱!
沖田:きちんと・・・整理整頓・・・。
ブリ:最初から!ちゃんと!
沖田:ものも!ことばも!カルテも!きちんと整理整頓!
ブリ:よろしい。本当にちゃんとしてくださいまし?
沖田:・・・ところで、ブリさん。
ブリ:はい?
沖田:その・・・始まってるんですよ。
ブリ:え?
沖田:今日の、診察がですね、実はその・・・もう。
ブリ:え?・・・・ええ!?や、やだわたくしったら!!!ごめんあそばせ!!!
沖田:はは・・・ははは・・・。
沖田:皆さん、お久しぶりです。沖田メンタルクリニックの沖田と申します。
沖田:先ほどはお見苦しいところを・・・ははは・・・。
沖田:今の方はですね、ブリさんと言いまして、まあ、ちょっと色々な事がありまして
沖田:ひょんな縁(えん)からこのクリニックで働いていただくことになったのですが・・・。
沖田:・・・いえ、この話はまたいずれ。ここではやめておきしょう・・・?
ブリ:せんせ。
沖田:うわ!びっくりした。どうしたんですか?ブリさん。
ブリ:次の患者さんがきておりますわ。
沖田:あ、はいはい、患者さんですね。どうぞ、お通ししてください。
ブリ:・・・大丈夫です?
沖田:え?なんで?
ブリ:・・・一度受診票(じゅしんひょう)をご覧になってくださいまし。
沖田:んー?(受診票をぺらりとめくる)・・・え!?
ブリ:・・・ね?いかがなさいますか?お断りいたします?
沖田:・・・いや・・・いやぁ・・・非常に悩んでおりますよ。ええ、非常に迷っております。
ブリ:せんせ・・・。
沖田:でもですよ、ブリさん。ここは、ここは沖田メンタルクリニック。
沖田:24時間、神様ですら受け入れます。これをモットーに今までやってきたんです。
沖田:そう、それが私の天命。それが私の運命。いきなりステーキはうんめぇ!(それが私の運命、あたりからラップ調に)
ブリ:途中までまじめだったのに。
沖田:呼んでください。ぜひ、呼んでください。大丈夫です。僕、やれます。
ブリ:・・・わかりましたわ。せんせ。グッドラック・・・!
演出:(少しの間を置き)
メジェド:・・・。(しゃべってるのか喋ってないのかわからない感じのうめき声?)
沖田:・・・よ、ようこそいらっしゃいました。メジェド・・・さんですよね?
メジェド:・・・。(ううむ、と肯定しているかのようなよくわからない返事)
沖田:本日は・・・いかがなさいまし・・・た?
メジェド:・・・。(何かを一生懸命言っているがよくわからないかんじの声)
沖田:・・・神様・・・ですよね?
メジェド:!!!(怒っている、と思われるかんじのなんかモゴモゴしている声)
沖田:わ、わ、すいません!すいません!えー・・・どうしよう・・・。
メジェド:(聞こえるか聞こえないかの声量で)困った。
沖田:え!?え!?今、今なんか聞こえた気がする!聞き取れた気がする!困った?困ったって言いました?
沖田:もう一回!もう一回その感じでお話してくださいませんか!?
メジェド:・・・。(無言)
沖田:しゃべってーーーーーーー!!!しゃべってよーーーーー!!!
沖田:ここカウンセリング室だよおーーーー!!話さないとわっかんないよぉーーーー!
ブリ:(沖田の叫びの途中でかぶせるように)うるっさいですわ!!!
ブリ:待合室にも聞こえますわよ!!!
沖田:ブリさぁーん・・・もう開始1分くらいで割と心折れてる。沖田心折れてるぅ・・・。
ブリ:だから言ったじゃありませんの・・・。
沖田:だって・・・。
メジェド:!!!(再度怒ったような、何を言っているかわからないけどなんか激おこな感じ)
沖田:ほらー!怒ってるんだもん!!これ絶対怒ってるもん!!!
ブリ:・・・そもそも神様なんですの?この方・・・。
沖田:わかんない・・・どこの神話の方・・・?
ブリ:・・・ジャパン。
沖田:いないよ!!さすがにゆるキャラ大国ニッポンでも、こんなゆるゆるの神様いないよ!
ブリ:・・・布、ですわよ?
沖田:・・・布、だね。
メジェド:!!!(再度怒ったような、何を言っているかわからないけどなんか激おこな感じ)
ブリ:ひっ・・・布じゃないです!!全然布じゃないですわ!!!
ブリ:これ今、なんのこっちゃってなってる方は絶対あとでグーグルで調べるんですのよ!?メジェドって!
沖田:・・・ねえ、ブリさん。
ブリ:な、なんですの。沖田せんせ。
沖田:僕昔さ、レゴブロックで遊ぶのがすんごく好きだったんだ。
ブリ:いきなりなんですの?今関係あるんですの?
沖田:レゴにもいろいろなシリーズがあってさ。その時は、モンスターファイター幽霊屋敷っていうシリーズが欲しかったのよ。
ブリ:は、はあ・・・。
メジェド:???(いぶかしげに疑問符が頭に浮かんでいるようなかんじの声)
沖田:そのシリーズに入ってる、幽霊のお化けのブロックに似てるなあって。
ブリ:まじでこんな時に言う話じゃないですわ。
メジェド:!!!???!!!!(今までで一番の怒り)
ブリ:ほら、怒っていらっしゃる。
沖田:だって、似てたんだもん・・・しゃべらないし、怒ってるし、怖いから・・・少しでも好きになろうと・・・。
ブリ:歩み寄り方というのがあるのですわ。
沖田:ぴえん。
ブリ:ぴえん。が許されるのは、女子高生までですのよ、せんせ。
沖田:ぬー・・・わかりましたよ。調べます。調べましょう。もうそれしかない。メジェドさん、申し訳ないのですが
沖田:少しお待ちくださいね。
メジェド:・・・。(やれやれ、といった感じのため息)
沖田:ここに取り出しますは「週間!僕の私のエジプト神話」。多分ね、このよくわからない壁画っぽい感じ
沖田:多分ですけどね、このフォルムはエジプトなんですよ、絶対。絶対ね。僕の神話センサーがそう言っています。
メジェド:!!!(おめぇよくわかってんじゃねえか!やるなあおい!って感じのよくわからない声)
沖田:えーっと・・・ほら!!!ほらブリさんみて!!!!!みてよ!!!!!いました!ありました!
ブリ:ほんとですわ!すごい!せんせ!あなたという人は!
メジェド:・・・!(喜んでいるのであろう感じ)
沖田:まっかせてくださいよ!これで万事解決ですね!さあ!読み上げますよ!
沖田:なになに??
沖田:「彼の名前はメジェドで、『死者の書』の17章に登場します。
沖田:花瓶に目を描いたような姿のときもあれば、額にバンダナを巻いているときもあります。
沖田:男根のような姿をしているときもあれば、オシリスの頭部を納める容器のような形をしていることもあります。」
ブリ:なるほどー・・・それで!なんの神様なんですの?それがわかればきっと解決の糸口も!
沖田:・・・ん・・・んん・・・?
ブリ:・・・どうしました?せんせ。
沖田:・・・「現在も、神様なのかわかっていません。なんか崇め(あがめ)られてるので、おそらく神。」
ブリ:えーと・・・。
メジェド:・・・。
沖田:んん・・・。
ブリ:ふう・・・。
沖田:どうすればいいです?これ。
メジェド:!!!(なんか騒いでいるがよくわからない)
ブリ:神様じゃないなら帰っていただきましょう。手に負えませんわ。
ブリ:さ、メジェドさん、今日はもうお帰りになられてくださいまし?
メジェド:!!!(なんかさっきより騒いでいるがよくわからない)
沖田:んー・・・ブリさん・・・ちょっと待ってください。続きが書いてあります・・・。
ブリ:さあほら!ほかにも患者さんはたくさんいますの!今日は!もう!お引き取りくださいまし!(メジェドを外にひっぱりだす)
沖田:「メジェドとは、神であるかは不明だが「打ち倒すもの」という意味である。さらに、目からは終焉(しゅうえん)を
沖田:呼ぶほどの熱光線(ねつこうせん)を放つ。えっ?
ブリ:えっ?
メジェド:終焉は来たれり(今まで生きてきた中の最高のカワボ・イケボにてぼそりとつぶやく)
沖田:ぴぎゃ!!!(できうるかぎり同時に)
ブリ:きゃあ!!!(できうるかぎり同時に)
演出:(少しの間をあけ)
沖田:・・・このクリニックを開業して、そこそこの年数がたっていますが
沖田:今回のようなことははじめてでした。皆さん、どうも、沖田です・・・。
沖田:あの後丸焦げになりながらも、なんとか生き延びた私とブリさんは
沖田:決死の思いでエジプト神話最高神(しんわさいこうしん)のラーさんに電話をかけ
沖田:怒り狂うメジェドさんを引き取っていただきました・・・。
沖田:どうやらラーさん曰く(いわく)メジェドさんは不眠(ふみん)に悩んでいたようで・・・。
沖田:ははは・・・なんとか睡眠薬を処方させていただきましたよ。
沖田:ドタバタではありましたが、なんとかお困りの神様?の助けになれてよかったですよ。
沖田:おっと、こんな時間に電話だ。はい、こちら沖田メンタルクリニック、沖田が承ります。
沖田:ああ、ラーさん!先ほどはお忙しい中ご協力ありがとうございました・・・!
沖田:え?メジェドさんが次の来院の予約をとりたい?はは・・・ははは・・・わ、わかりました。
沖田:ええ、大丈夫ですよ、ここは沖田メンタルクリニック、24時間いつでも神様ですら
ブリ:(いつでもの辺りから被せるように。沖田の電話を横取りし)予約はいっぱいなのでお断りします!!!
沖田:(電話を切られる)ああっ!!?
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