超合金彼女

ちゅるこ：うぇぇぇぇん、勘弁してくださいぃぃぃぃぃ。

プロデューサー：だめだ。

マネージャー：そ、そこをなんとか！僕のほうからもお願いしますよ！

プロデューサー：だめだ。

ちゅるこ：うぇぇぇぇぇん！プロデューサーの鬼！悪魔！阿修羅！両面宿儺！

プロデューサー：なんて言おうと、お前をプロデュースするためにかかった金額は戻ってこない。

マネージャー：う……

プロデューサー：大体お前もお前だぞ、マネージャー。

プロデューサー：お前がついていながら、どうしてこんな結果になったんだ。

ちゅるこ：うぇぇぇぇぇぇぇぇぇん！！！！

プロデューサー：うるさい！！！！

マネージャー：本当に申し訳ありません……

プロデューサー：売れないアイドル、もうここまでは仕方ない。

プロデューサー：売れてないんだもん、どうあがいたってそこは仕方ないじゃん。

プロデューサー：でもさ。

ちゅるこ：ちゅるこわるくないもん

プロデューサー：だまぁぁぁぁっとれおまえは！！！

ちゅるこ：うぇぇぇぇぇぇぇん！！！！！

プロデューサー：どこの世界に！！！

プロデューサー：大御所演歌歌手のおでこにハリボーゴールデンベアーを張り付けるやつがいるんだ！！

マネージャー：ここですね……

ちゅるこ：だってかわいくなると思ったんだもん。

プロデューサー：おかげであちらさんの事務所はかんかんだぞ！！！

ちゅるこ：うぇぇぇぇぇぇぇん！！！

マネージャー：生放送で編集も出来なかったのでそのままお茶の間に放映されちゃいましたしね……

プロデューサー：視聴率、いくつだったって？

マネージャー：脅威の９６％です……

プロデューサー：ひまかよ！！！！

プロデューサー：日本国民暇かよ！！！！

プロデューサー：そんなくそみてぇな演歌歌手の

プロデューサー：よくわからねぇトーク番組見てる暇あったら

プロデューサー：動画サイトで猫ちゃんのみゃおみゃおくしゅくしゅぱぁ！！！！みたいな動画みてろや！！！！

マネージャー：ぷ、プロデューサー！！

マネージャー：さ、さすがにその発言はまずいですよ・・・！

ちゅるこ：プロデューサーわるいんだあ

プロデューサー：おめぇぇぇぇがいうなぁぁぁぁ！！！

マネージャー：実質、もう芸能界引退ですよこれは。

ちゅるこ：えっ、なんで。

プロデューサー：免れないだろうな。

ちゅるこ：え、やだやだやだ。

ちゅるこ：ちゅるこ、アイドルやめたくない。

ちゅるこ：お茶の間に笑顔を届けたい。

プロデューサー：笑顔の前に失笑を届けてんだよ。

プロデューサー：大御所の顔に泥を塗った、いや、ハリボーゴールドベアーを塗りたくったんだ。

プロデューサー：どのテレビ局からも干される事は間違いなし。

プロデューサー：きらふわ越冬不思議系アイドル「ちゅるこ・きゅらるん・まかろん」のままではもう活動できない。

ちゅるこ：いやだ！！！ちゅるこアイドルやめない！！！！

プロデューサー：諦めろ。

ちゅるこ：やだああああ！！！！！うえええええええん！！！！

マネージャー：……ちゅるこちゃん

ちゅるこ：うえええええん！！

マネージャー：そうだよね、ちゅるこちゃんはただ皆を笑顔にしたかっただけなんだ。

マネージャー：そこに他意は無い……プロデューサー！

マネージャー：誠心誠意謝れば、まだ伝わるかもしれないですよ！！！

マネージャー：僕、僕、ちゅるこちゃんの為なら頭だって丸坊主にします！！

マネージャー：いくらでも土下座してきます！！

ちゅるこ：全部マネージャーが指示してやらせたことにしてよおおおぷろでゅーさー－－－！！！

マネージャー：おうよく言えたなおい、なあ、今、この、今この流れでよく言えたなおい。

プロデューサー：心配するな、二人とも。

ちゅるこ：え……？

プロデューサー：まだ手はある。

マネージャー：ほ、ほんとですか。

プロデューサー：ああ。

プロデューサー：「超合金」になろ。

ちゅるこ：……ん？

プロデューサー：「超合金」

マネージャー：……はい？

プロデューサー：昔さ、男の子はみーんな憧れたじゃん、超合金ロボってやつに。

マネージャー：はい？

プロデューサー：がしゃーん！がきーん！ぶぼぼぼ！

プロデューサー：盛大な音楽と共にロボとロボが合体してさ、超合金合体ロボになるわけ、あれかーっこいいよなー。

ちゅるこ：は？

プロデューサー：その「超合金」です。

ちゅるこ：なんの説明にもなってないんですけど。

マネージャー：わかりましたよ、プロデューサー。

プロデューサー：わかってくれたか、マネージャー。

ちゅるこ：なんでだよ。

マネージャー：もうきらふわ越冬不思議系アイドル「ちゅるこ・きゅらるん・まかろん」では活動できない。

マネージャー：ならば、この際、別のアイドルとして生まれ変わってしまおう！！！

マネージャー：そういうことですよね！！！！

プロデューサー：えっっっっっっっくせれんと！！！！！

マネージャー：いいですね！！！！さすがプロデューサーです！！！！！！！

プロデューサー：そうだろうそうだろう！！！！

プロデューサー：では、ちゅるこ、今日からお前は「ちゅるこ」ではない。

プロデューサー：「超合金ロボアイドル　マキシマムチュルライザー」だ。

マネージャー：かかかかかか、かー－－－－－こいー－－－－－！！！！！！

ちゅるこ：やだ

プロデューサー：だめだ

ちゅるこ：やあだ

プロデューサー：だめだ

ちゅるこ：かわいくないもん！！！そんなのかわいくない！！！！

マネージャー：ちゅるこちゃん、いや、マキシマムチュルライザー。

ちゅるこ：順応はえーんだよ

マネージャー：君をアイドルにするためのレッスン料、整形手術、豊胸手術、身長伸ばし手術、すべて事務所持ちだったよね？

ちゅるこ：うん

マネージャー：総額３億円かかってるんだけど。

ちゅるこ：う、うん

マネージャー：君、まだ６０００円しか収入ないんだよね。

ちゅるこ：う……

マネージャー：しかもその６０００円って、無理やりねじこんだクイズ番組の一番最初の問題をクリアしたあとの報酬をドロップアウトして得た賞金だからね。

ちゅるこ：むずかしかったんだもん。

マネージャー：いないよ。一問目クリアした後すぐドロップアウトする人。

ちゅるこ：う……

マネージャー：君がかわいいを追い求める前にね。

マネージャー：会社がかわいくない金額の負債をかかえちゃってるんだ。

マネージャー：これ、返せるのかな。

ちゅるこ：かえせない

マネージャー：そうだよね、貯金７０円だもんね。

ちゅるこ：うん……

マネージャー：しかもさ、もう全身超整形手術でさ、原型ほとんどないじゃん。

ちゅるこ：う……

マネージャー：それってさ、もうさ、言うなればアンドロイドじゃん。人間を超えたじゃん。

ちゅるこ：はぁ。。。はぁ。。。（過呼吸）

マネージャー：そんな全身人間離れした君と、マキシマムチュルライザー、違いなんてあるのかな。ねえ。

ちゅるこ：はぁ。。。はぁ。。。

マネージャー：あるわけないよね、ね、あるわけない、じゃあさ、どうする？ねえ、かわいくなりたいんだよね？そのためにさ、どうする？ね

ちゅるこ：やる。。。やります。。。

マネージャー：聞こえないな、何をやるのかな、ちゃんと言えるよね？あつぼったいフェミニン唇に改造したんだから言えるよね？

ちゅるこ：マキシマムぅ……チュルライザーやりますぅ……

マネージャー：そんな小さい声でアイドルなんてやれるの？

ちゅるこ：マキシマムチュルライザーやりまぁぁぁぁぁす！！！！！

マネージャー：だそうです！プロデューサー！！！

プロデューサー：おまえこっわ。いや、こっわ。

マネージャー：えー？

プロデューサー：おそろしいよ、お前マネージャーの器じゃねえよ、なんかこう、あれ、洗脳とかするタイプの、悪い奴的なサムシングだよ。

ちゅるこ：やりまぁぁぁぁぁす！！！！！！

プロデューサー：まあ、やる気になったならいいか。

プロデューサー：というわけでだ、マキシマムチュルライザーになってもらうわけだが。

ちゅるこ：はい……

プロデューサー：マネージャーよ。

マネージャー：はい。

プロデューサー：今朝FAXした用紙をマキシマムチュルライザーに渡してくれ。

マネージャー：イエスサーー！！ボス！！

ちゅるこ：キャラかわってるじゃんよ

マネージャー：マキシマムチュルライザー！！！

マネージャー：私語をつつしめ！！！！

ちゅるこ：どういうポジションなんだよお前はよ

マネージャー：これが資料だ！！！

ちゅるこ：（受け取って）……なにこれ

プロデューサー：何って、お前の自己紹介の口上に決まってるだろ。

ちゅるこ：やだ

プロデューサー：３億

ちゅるこ：やります

マネージャー：お前のタイミングでいいぞ！マキシマムチュルライザー

ちゅるこ：だから誰になってんだよお前はよ

ちゅるこ：はー、もー・・・。

ちゅるこ：こんなことやる為にアイドルになったわけじゃないのに。。。

ちゅるこ：・・・。

ちゅるこ：ごほん。

ちゅるこ：「てーてれってー！てーってれってー！てーてれってってっててー！」

プロデューサー：違う。

ちゅるこ：なんで！

プロデューサー：「てーてれってー！てーってれってー！てーてれってってっててー！」だ。

ちゅるこ：おなじじゃん。

プロデューサー：違う

マネージャー：全然ちがうぞ

ちゅるこ：もうやりたくない

マネージャー：３億

ちゅるこ：やります

ちゅるこ：「てーてれってー！てーってれってー！てーてれってってっててー！」

ちゅるこ：「ライトアーーーム！！ドッキィィング！！ごー！！！」

ちゅるこ：「でん！でででんでんでん！ごごごごごごご！ぷしゅー！！！じゃきいいいん！！！ぴしゅん！ぴしゅんぴしゅん！ごぎ、ばぎおん、ごぎごぎおん、ばご、でんでででん！どどどどどどどどどど！！ばしゅおん！ばしゅん！ばしゅおんぼんのぼぼぼぼん！ぶんめいかいか！ぶんめいかいか！どんどんだうん！どんどんどどん！ぶしゅうううううう！！！じゃきいいいいいん！！！！」

プロデューサー：だめだな

ちゅるこ：やったじゃん！！！！

マネージャー：熱さが足りないですよね。

プロデューサー：ああ、熱さが足りない。

ちゅるこ：なに熱さって。

プロデューサー：ロマンだろ、熱さは。

ちゅるこ：何、ロマンって。

マネージャー：熱さでしょ、ロマンって。

ちゅるこ：もうやめます

プロデューサー：３億

ちゅるこ：やります

ちゅるこ：ふー……まじいつか覚えてろ

ちゅるこ：「ライトアーーーム！！ドッキィィング！！ごー！！！」

ちゅるこ：「でん！でででんでんでん！ごごごごごごご！ぷしゅー！！！じゃきいいいん！！！ぴしゅん！ぴしゅんぴしゅん！ごぎ、ばぎおん、ごぎごぎおん、ばご、でんでででん！どどどどどどどどどど！！ばしゅおん！あれ、あれだよね、それほら、あついやつ！ほら！今胸が！胸がさ！ほら！ぼばしゅんしてる！君の胸が！こう！ぼばばばばばばって！ばぎどきどんどこどん、じゅわーって！ばしゅん！ばしゅおんぼんのぼぼぼぼん！ふぁんでるわーるすりょく！ざんぎりあたまざんぎりあたま！どんどんだうん！どんどんどどん！ぶしゅうううううう！！！じゃきいいいいいん！！！！」

プロデューサー：うーむ

マネージャー：どう思います？

プロデューサー：まあ、いいんじゃないの？

マネージャー：あー！よかった！

ちゅるこ：もう終わりでいいですか？

プロデューサー：いや、あとレフトアームと両足と頭部残ってるから。

ちゅるこ：もうやだああああああ！！！

マネージャー：３億

ちゅるこ：やります。