ギジン屋外伝「猫と貝はお喋りがすき」①きゅんきゅんの話
【配役】
尾石貝 茉希:隣に住む親友。
猫宮 織部:ギジン屋のお手伝いさん 兼 助手
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ギジン屋の門を叩いて 外伝
タイトル【猫と貝はお喋りがすき】きゅんきゅんの話
尾石貝 茉希:猫ちゃん。これ次の巻どこ?
猫宮 織部:あ、えっと、これかな。
尾石貝 茉希:ありがとー、うーん、とってもきゅんきゅんしますなぁ。
猫宮 織部:ふふ、茉希ちゃんこういう漫画好きなんだね。
尾石貝 茉希:逆に言うけど、恋愛漫画が嫌いな女子なんている?
猫宮 織部:それはほら、多様性?の時代ですもの。
尾石貝 茉希:そういうもん?
猫宮 織部:そういうもんです。
尾石貝 茉希:でっもさー、きゅんっきゅんするのが嫌いな女子は居ないでしょー。
猫宮 織部:ときめきとか、そういうこと?
尾石貝 茉希:そうそう、そういう奴。恋愛までいかなくてもさ、あー、好きな人のこういう姿にときめいちゃうなー、みたいなやつよ。
猫宮 織部:そういうのは、確かに、あるかも、ね。
尾石貝 茉希:眞門さんのどういうところにときめくの?
猫宮 織部:なっ、ま、茉希ちゃん!?
尾石貝 茉希:なあに?
猫宮 織部:そ、そんなにストレートに聞かれたら私、こ、困惑コンセントレートだよ・・・!?
尾石貝 茉希:なははは、いーじゃんいーじゃん、おじさんに教えてごらん、ほら、ほぉら。
猫宮 織部:や、やだぁー!恥ずかしいし、茉希ちゃんに言ったらどこかで暴露しちゃうかもしれないでしょー!?
尾石貝 茉希:しないしない、いや、するか、するする。するけど、いいじゃん、減るもんじゃないし。
猫宮 織部:減る!減ります!私の中の何かが減ります!
尾石貝 茉希:いーじゃーん、おしえてよー、きゅんきゅんさせとくれよー、猫ちゃぁーん、きゅーんきゅーん
猫宮 織部:だ、だめです!
尾石貝 茉希:けち。
猫宮 織部:け、けちです。
尾石貝 茉希:友達が頼んでるのにぃ~?
猫宮 織部:うっ・・・と、友達・・・。
尾石貝 茉希:そーうだよー?ほらー、友達がぁー、友達のきゅんきゅんをぉー、知りたがってるんだよぉー?
猫宮 織部:う、うう・・・ずるいそれ。
尾石貝 茉希:ね・こ・ちゃん
猫宮 織部:・・・この間ね
尾石貝 茉希:うんうん
猫宮 織部:買い物に行ったのね、商店街に
尾石貝 茉希:ほうほう、それで?
猫宮 織部:そしたら雨が降ってきちゃって
尾石貝 茉希:あ、来ましたわこれ、来ました、あいのあいで傘の奴だ。
猫宮 織部:なにそれ
尾石貝 茉希:相合い傘だよ!
猫宮 織部:・・・そ、そう、なんだけど
尾石貝 茉希:いいね、相合い傘ね、いいね、きゅんとするね、学生かってね、かー!
猫宮 織部:相合い傘で、帰ったんだけど・・・ね
尾石貝 茉希:うん?
猫宮 織部:帰ったらね、旦那様の左肩、びしょびしょだったの。
尾石貝 茉希:ふぁ
猫宮 織部:傘が小さくてね、私の方に寄せてくれてたんだ、って気づいて
猫宮 織部:すぐ謝ったの、ごめんなさいって
尾石貝 茉希:ふぉ、ふぁ
猫宮 織部:そしたらね、笑顔でね
猫宮 織部:「猫宮さんが濡れなかったなら、それでいいんだよ」って。
尾石貝 茉希:きたぁーーーーーー!!!!
尾石貝 茉希:相合い傘ど定番の相手がぬれないように傘譲る系きゅんきゅんポイントぉーーーーーー!!!
尾石貝 茉希:これは眞門さんポイントが高い!!
尾石貝 茉希:ど定番すぎてなんの面白みもないけどむしろそのど定番を恥ずかしげもなく
尾石貝 茉希:やれてしまう心イケメンな眞門さんに一票投じたい!!!!!
尾石貝 茉希:ひゃーーーー!!
猫宮 織部:ま、茉希ちゃん声大きいよ!!!
尾石貝 茉希:こいつぁどえらいきゅんきゅんを手に入れてしまったぜぇ・・・
尾石貝 茉希:漫画読んでる場合じゃねえ!
猫宮 織部:ま、漫画読みなよ!!!
尾石貝 茉希:こんなもんいつでも読める!!!
猫宮 織部:もう無いよ、もう無いからぁ!
尾石貝 茉希:嘘だね、あんた、こいつは嘘をついている味だね
猫宮 織部:な、舐めてないでしょ!
尾石貝 茉希:私くらいになると舐めなくても味がわかるってもんよ
尾石貝 茉希:あるでしょ、ほかにも、ねえ、猫ちゃん
尾石貝 茉希:いいや、猫宮織部。
猫宮 織部:あ、圧がすごいよ
尾石貝 茉希:すごくもなるでしょ、ほら、猫宮織部、あなたの罪を教えなさい。
猫宮 織部:罪じゃないから!
尾石貝 茉希:あるんでしょ、言うてみい、茉希おじさんに言うてみい、ほれほれ。
猫宮 織部:・・・ある、けど
尾石貝 茉希:ほらあった、ありましたよ、ほら、金塊が眠ってた
尾石貝 茉希:ここがきゅんきゅんのゴールドラッシュ
尾石貝 茉希:間違いない、掘り当てよう、きゅんきゅん億万長者も夢じゃねえ
猫宮 織部:なんか怖いよ!!!
尾石貝 茉希:怖くもなるさ!ほらほら、きゅんきゅんを寄越せ!!
猫宮 織部:い、言わないっ!
尾石貝 茉希:友達のお願いなのに・・・
猫宮 織部:うっ、ずるい!
尾石貝 茉希:くぅん、猫ちゃぁん・・・
猫宮 織部:・・・料理、してるときにね
尾石貝 茉希:ほいきた、料理ね、料理中はきゅんきゅんの隠し通路多いからね、ダンジョンならちょっと強い武器がぎょうさん出てくる場所だからね
猫宮 織部:お醤油がね、棚の上の方に、あるん、だけど
尾石貝 茉希:うんうん?
猫宮 織部:私の身長だとね、背伸びしないと、ちょっと、届かないの
尾石貝 茉希:・・・こ、これは、ま、まさか
猫宮 織部:そういうときにね、旦那様がいつもとってくれるんだけど
尾石貝 茉希:ね、猫ちゃん、それは、それはいけない、それは・・・
猫宮 織部:そのとき、旦那様の片手がね、そっと私の肩に置かれて
猫宮 織部:ちょっとだけ、抱き寄せられたような気分になって、それで・・・
尾石貝 茉希:きたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
尾石貝 茉希:シチュエーションを利用したきゅんきゅんトラップ!!!
尾石貝 茉希:あれだ、あれだね、その、ふとした何気ない「いちゃらぶ疑似体験」を追体験するために
尾石貝 茉希:結局醤油の位置を変えず、また上の棚に戻すやつだ!!!!
猫宮 織部:そ、そうなんだけど!そうだけど!はっきり言わないでよぉ!!!
尾石貝 茉希:これはもはや眞門きゅんではない。
尾石貝 茉希:これは完全に猫宮きゅんだわ。
尾石貝 茉希:あー、てぇてぇ。これはてぇてぇだわ。すきすきスコティッシュフォールドだわ。
尾石貝 茉希:スコティッシュフォールドがおなか見せて甘えてきてるわ。
尾石貝 茉希:かーっ、てぇてぇわ。てぇ宮おりてぇだわ。
猫宮 織部:もうずっと何言ってるの茉希ちゃん
尾石貝 茉希:はー、きゅんきゅんでおなかいっぱいだわ、溜まらんわこんなん。
猫宮 織部:・・・茉希ちゃんはどうなの?
尾石貝 茉希:・・・え?
猫宮 織部:茉希ちゃんだって、何か、きゅんきゅんする事なかったの?
尾石貝 茉希:ねえやめて
猫宮 織部:やめない
尾石貝 茉希:ねえ、私「暴露の指輪」の呪いで嘘つけないの知ってるよね?
猫宮 織部:知ってる
尾石貝 茉希:いやだ、言いたくない、やだ
猫宮 織部:ねえ、茉希ちゃん、最近きゅんきゅんしたこと教えて?
尾石貝 茉希:ぐ、ぐぬむむむ・・・あら、がう、あらがって・・・やるぅ・・・
尾石貝 茉希:んんんんん、だめだ!ぶは!
尾石貝 茉希:好きな人がすんごく楽しそうに好きな人の話してて、そのときの笑顔がすんごくかわいくてきゅんきゅんしました。
猫宮 織部:へー!!!!!茉希ちゃん好きな人いたのね!!
尾石貝 茉希:ぬぐぐぐ、い、ま、す。
猫宮 織部:きゃー!!!!ふふふ、その好きな人の笑顔できゅんきゅんしちゃったんだ?
尾石貝 茉希:ぬぬぬ、しま、したぁ!!!しました!!!
猫宮 織部:へへへ、案外純粋なんだね、茉希ちゃんって。
尾石貝 茉希:どういう意味だ!!
猫宮 織部:そっかぁ、好きな人が笑顔なだけできゅんきゅんしちゃうんだね、茉希ちゃんは。
尾石貝 茉希:しちゃ、う。
猫宮 織部:んふふふ、かわいいー、茉希ちゃんかわいいねぇー。
尾石貝 茉希:んぐぐぐ!!!かわいくない!!!
猫宮 織部:その人のどんなところが好きなの?
尾石貝 茉希:・・・優しくて、一途で、どんな事があっても負けなくて、かわいいところ・・・。
猫宮 織部:へー!!!!!にやにやしちゃうね!?ねえ、茉希ちゃんこういうのにやにやしちゃうね!?
尾石貝 茉希:く、くううう、こうなる可能性を考慮していなかった私の負けだ・・・。
猫宮 織部:それって誰?・・・っていうのを聞くのは、なんだか卑怯な気がするから聞かないであげる。ふふふ。
尾石貝 茉希:・・・そりゃどーも。
猫宮 織部:かわいいね、茉希ちゃん。
尾石貝 茉希:や、やめろー!!!恥ずかしいだろ、やめろー!!!
猫宮 織部:その人と一番なにがしたい?
尾石貝 茉希:んがー!!!!そ、そんなのいつまでも一緒に居たいに決まってる!
猫宮 織部:はふー、茉希ちゃんかわいいね?かわいいねぇ!
尾石貝 茉希:ね、猫宮織部ころすー!!!!このー!!!ころしてやるー!!!!
猫宮 織部:あははは!こわーい!!!あ、洗濯機おわったみたい、ちょっと干してきちゃうね。
猫宮 織部:しばらく雨だったから溜まっちゃっててさ。
尾石貝 茉希:はいはい、いってらっしゃい。
尾石貝 茉希:・・・・・・あっぶなかった。
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