「UDAUDA」(0:2:0)
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: 「配役」
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小金井:女性・こがねい。ファミレスでうだうだしようと提案した人。
水道橋:女性・すいどうばし。うだうだしたくはなかった人。
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:「UDAUDA(うだうだ)」
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0:深夜のファミレスにて。
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小金井:ファミレスで、うだうだしたい。
水道橋:とは言ってみたものの、ってところじゃない?
小金井:だってさ。
水道橋:だってじゃないよ。
小金井:うだうだってどういう意味なの?
水道橋:なんかこう、だらだらするというか。
小金井:じゃあだらだらする?
水道橋:だらだらするのは周りに迷惑。
小金井:だらーっと、ぐちゃーっと。
水道橋:みっともないですよ。
小金井:うだうだは?
水道橋:なんか許される気がする。
小金井:うだうだってなんなの?
水道橋:なんか、こう、だらだらするというか。
小金井:だらだらする?
水道橋:それは周りに迷惑。
小金井:もう!!わかんない!!
水道橋:調べてみる?うだうだの意味。
小金井:調べてみる、へーい、しりー。
水道橋:とるにたりないことをいつまでも言ったりするさま。ぐずぐず。
小金井:だらだらとは少し違うね。
水道橋:今の状況がうだうだ、だってさ。
小金井:なーんだー、これでよかったのかー。
水道橋:よかったね、コガ。
小金井:えー、そのあだ名懐かしい。
水道橋:懐かしいよね、久々に言った。
小金井:高校生の時以来?
水道橋:そうだね、そんくらいかな?
小金井:懐かしいー。水道橋はなんて呼ばれてたっけ?
水道橋:ばし。
小金井:あー、そうだったそうだった。
水道橋:高橋って子が隣のクラスにいてさ。
小金井:あー!いたね!あの本田翼を50回くらい殴った顔みたいなひと!
水道橋:コガ、いろんな人に謝ったほうがいいよ、今のうちに。
小金井:ごめんなさい。
水道橋:許しましょう。
小金井:ははーっ!ありがたき!しあわせ!
水道橋:その高橋さんもさ、「ばし」って呼ばれててさ。
小金井:呼ばれてたねえ。
水道橋:向こうのほうがさ、ほら、こう、ヒエラルキー的にさ。
小金井:あー、上よね、確実に。
水道橋:そうそう。だから、高橋さんがいるときだけは私「どばし」って呼ばれてた。
小金井:「どばし」は可愛さの欠片もないね。
水道橋:うん、ない。
小金井:ばしって呼ぶこともこれからなくなりそうだしね。ウーロン茶とってくる。
水道橋:急じゃん。つーかばしってほとんど呼んだことなくない?あんた。
小金井:あ、ドリバメンテ中だった。
水道橋:「ちょっとすいません」って声かけたら使えるでしょ。
小金井:やだむり。
水道橋:なんで?
小金井:めっちゃ気使わない?
水道橋:あー、そういうの気にしそう。
小金井:ほんと気使う。あとでなんか思われるんじゃないか?って。
水道橋:コガってさ。
小金井:ん?
水道橋:そういうところ変に気使えるのに
小金井:う、うん?
水道橋:でも空気は読めないよね。
小金井:なんだお前!しゃらくせえな!
水道橋:意味わかって使ってるそれ?
小金井:え、じゃあ、しのびねぇな?
水道橋:それは絶対に違う。
小金井:どんなところが?空気読めてない?
水道橋:今もなうで読めてない感はあるけど、ほら、なんかさ
小金井:ん?
水道橋:修学旅行の時にさ、秘密暴露大会とかしたじゃん。
小金井:あー、したねえ。ばしの秘密覚えてるよ。
水道橋:え?言ったっけ?
小金井:ぬふふふー。かわいいなーって思った。
水道橋:え、ええ!なんだっけ!?何言った!?私
小金井:内緒ー!で、その暴露大会がなんだって?
水道橋:なんていうかもうあの場はさ、ノリで好きな人を言うとか、そういうかんじじゃん?
小金井:うん。
水道橋:「私じつは魔法使いなんだよね」って言ったでしょ。
小金井:あー!言った言った!よく覚えてるね?
水道橋:みんな結構しらけてたよ。
小金井:しらける?なんで?
水道橋:みんなあの時結構まじめに秘密暴露してたじゃん?ちゃんと。
小金井:うん。
水道橋:そこで急にふざけたりするし、特にオチがあったわけでもないし
小金井:だって本当のことだし
水道橋:まだ言ってるそんなこと。
小金井:私魔法使いだよ?
水道橋:はいはい、もういいってば。
小金井:えー!ほんとだよ!?
水道橋:じゃあ、なんか呪文出してみて、はい。
小金井:いや、そーいうんじゃない。
水道橋:じゃあどーいうんなのよ。
小金井:んー、そうだなあ。例えば。
水道橋:うん。
小金井:時々、相手の考えていることがわかる。
水道橋:表情から読み取れたりすることもあるでしょ。
小金井:少し先の未来が見えたり?
水道橋:大体予測ついたりするじゃない?状況で。
小金井:もう!夢がないな!
水道橋:夢って言っちゃってるじゃん!
小金井:あ・・・きた、きました・・・!
水道橋:え?なに?なにがきた?
小金井:魔法です、魔法の兆しが来ました。
水道橋:言ってみてごらん、聞いてあげよう。
小金井:ドリバのメンテが終わります。ウーロン茶とってくるね。
水道橋:うん、これは私が悪いのかな。いってらっしゃい。
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小金井:考古学者のジレンマって知ってる?
水道橋:おかえり。急だね?なに?ジレンマ?
小金井:そうそう、考古学者のね。
水道橋:聞いたことない。
小金井:私が考えた。
水道橋:ごめん、どこだったら殴っていい?
小金井:やだ。痛いのはいや。
水道橋:次はないと思え。
小金井:ごめんなさい。
水道橋:で、その考古学者のジレンマってなに?
小金井:考古学者がなぜ、化石を発掘するのか。
水道橋:ふむふむ?
小金井:太古の昔、生きていた自分自身を探し出すため。
水道橋:え、なに、急にロマンチック。
小金井:ジュラ紀なのか白亜紀なのかわからないけどさ。
水道橋:うん。
小金井:大地を闊歩して、自由に生きていた過去の自分を
水道橋:うん。
小金井:求めて、想像して、コツコツと砂をかき分けて
水道橋:うんうん。
小金井:それで、過去の自分の骨に立ち会うの。
水道橋:なんか、ちょっといいね。
小金井:でも、立ち会ったあと、そこに残る感情をどうしたらいいんだろ。
水道橋:それがジレンマ?
小金井:そう。自分の死んでしまった肉体。戻ることのできない魂。
水道橋:すこし、つらいかもね。
小金井:そう、それが考古学者のジレンマ。
水道橋:なんかたまに哲学的なこと言うよね?
小金井:う・・・ま、また魔法が・・・!
水道橋:はいはい、あ、わかった。トイレでしょ。
小金井:え・・・?ばし・・・魔法使い・・・?
水道橋:あんだけウーロン茶、爆飲みしてたら行きたくもなるでしょ。
小金井:魔法使い仲間に初めて会えた・・・。
水道橋:魔法でもなんでもないのよ。推測なのよ。
小金井:もれちゃう。
水道橋:早くいってきて。
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小金井:ものすごくさっぱりする魔法だった。
水道橋:魔法ってなんなのもう。
小金井:ところでさ、いつからだったの?
水道橋:え?何が?
小金井:え?だから、秘密の話よ。
水道橋:・・・いつからってどういうこと?
小金井:え?
水道橋:ごめん、なんの話なの?ほんと。
小金井:いやちょっとここでいうのは・・・
水道橋:急に恥じらいはじめないでよ。
小金井:でも意外だったなー。
水道橋:意外?
小金井:そんな素振りなかったもん。
水道橋:・・・え、まって、コガ。本当に何を知ってるの?
小金井:え?なにって、ばしの秘密。
水道橋:・・・思い出したんだけどさ。
小金井:ん?
水道橋:あの秘密暴露大会って、私の番来る前に終わらなかった?
小金井:そうだっけ?
水道橋:そうだよ。ほら、見回りの三軒茶屋先生がきてさ。
小金井:あー!そうだったかも!こらー!寝ろー!ってめっちゃ怒ってた。
水道橋:そうだよね?じゃあさ、私秘密言ってなくない?
小金井:えー。ほんとだね。
水道橋:・・・なんの秘密?
小金井:御前崎(おまえざき)先生と付き合ってたんでしょ?
水道橋:んんん!?
小金井:あこがれちゃうなー。女子高生と先生の禁断の恋。
水道橋:ちょ、ちょっと
小金井:プレゼントしたネクタイが先生の趣味にあわなくて、それが原因で喧嘩したりしたんでしょ?
水道橋:まって、え、こわい、こわいこわい
小金井:学校ではまったくそんな素振り出さないで、週末だけ通い妻、くーっ!泣けるね!
水道橋:まってまって、ほんとまって。なんで知ってるの。
小金井:なんでだろ?
水道橋:見てた?ねえ、通うところ見てた?もしかして見られてた?
小金井:ばしって、首絞めプレイすきなんだね?
水道橋:わかった、認める。魔法使いだわ、あんた魔法使い。
小金井:えへへ
水道橋:やだもう、ほんと怖い。
小金井:魔法使いだよ!
水道橋:やってることはただのストーカーだよ
小金井:あ、またきた。魔法きた。
水道橋:え・・・な、なに・・・今度はなに・・・?
小金井:そろそろ深夜メニューからモーニングメニューになる!!!
水道橋:それは魔法じゃない!!!
小金井:あ、御前崎先生と結婚するんでしょ?もうばしって呼べなくなるね。ざきって呼ぶ?
水道橋:やっぱ怖いわあんた!!!!!!!
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