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臍帯とカフェイン

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ハシビロコウはごく稀に鳴く(0:0:2)

【配役】

サブロク:遊びに来ちゃった

キンベン:部屋から出れなくなっちゃった

サブロク:あー、回復薬が足りない
キンベン:大丈夫、調合するから
サブロク:でも蜂蜜もう無いし
キンベン:さっき採取してきた
サブロク:あー、やばいやばいやばい、だめ、やられる
キンベン:あっ
サブロク:あー!
キンベン:クエスト失敗
サブロク:はー、もうやめやめ
サブロク:全然倒せない
キンベン:途中で突っ込みすぎなんだよね、きっと
サブロク:もうおわり
サブロク:はい、おしまーい
キンベン:ありがと、付き合ってくれて
キンベン:廊下、寒くない?
サブロク:寒くない
サブロク:っていうか心配するくらいなら
サブロク:部屋入れろよってはなし
キンベン:ごめん
サブロク:いいけどさー
サブロク:なんかゲームも飽きちゃったな
キンベン:サブロク
サブロク:んー?なに?
キンベン:こんな、毎日来なくてもいいんだよ
サブロク:なんで?
キンベン:なんでって
サブロク:来たいんだからいいんよ
キンベン:……そっか
サブロク:昨日さ
キンベン:ん?
サブロク:昨日、テレビみてたんよ
キンベン:うん
サブロク:デデンデンデデン、問題です
キンベン:急に始まるね
サブロク:「雉も鳴かずば撃たれまい」
サブロク:さて、そのキジの鳴き声とはどんな鳴き声でしょうか
キンベン:ええ?
サブロク:はい、キンベン選手はやい
キンベン:いや、なんも言ってないんだけど
サブロク:ドアしか見えないからしょうがない
サブロク:はい、お答えください
キンベン:ぴょ、ぴょー?
サブロク:あー、おしい
サブロク:きょーきょーでした
キンベン:もうそれニュアンスの違いじゃない?
サブロク:デンデデン、「鶴の一声」、さあツルの鳴き声とは?
キンベン:だからなんのクイズなのよ
サブロク:さあ、お答えください
キンベン:パス
サブロク:パスなし、
キンベン:えー
サブロク:ほら、はやく
キンベン:ぷえー
サブロク:ぷえー?
キンベン:ぷえーっぷえっぷえぷえー
サブロク:何それもしかして鳴き真似?
キンベン:そうだけど
サブロク:ぷえっぷえーぷえぷえー
キンベン:ぷえー!
サブロク:全然ちがいます、残念
キンベン:違うかー
サブロク:だめだねー、キンベンはツルの気持ちがわかってない
キンベン:気持ち関係なくない?
サブロク:正解はコーウコーウでした
キンベン:もうそれはわかんないよ
サブロク:デデンデンデデン、ではハシビロコウはなんて鳴くでしょうか
キンベン:え
サブロク:ハシビロコウはなんて鳴くでしょうか
キンベン:……ハシビロコウって、あのハシビロコウ?
サブロク:どのハシビロコウのこと言ってる?
キンベン:だから、こう、ほら、こういう奴
サブロク:だから見えないんだってば
キンベン:そうだった
サブロク:どういう奴?
キンベン:えーっと、あの、あんまり動かないやつ
サブロク:正解
キンベン:よっしゃ
サブロク:いやこの場合の正解はポイントにはならない
キンベン:あ、ならない奴か
サブロク:そう、で、そのハシビロコウの鳴き声はどんな鳴き声でしょうか
キンベン:そもそも鳴くの?あいつ
サブロク:はい、お答えください
キンベン:ねえ
サブロク:お答えください
キンベン:話聞いて
サブロク:キンベンに与えられてるのは権利じゃなくて義務だから、はやく答えて
キンベン:ええー……むちゃくちゃだなあもう
サブロク:さあ、お答えください
キンベン:うーん……ぎょ、ギョェー
サブロク:おおっ
キンベン:え?いいかんじ?
サブロク:もうひとこえ!
キンベン:も、もうひとこえ?
キンベン:じゃ、じゃあ、ギョピーギョピー
サブロク:おおおおお!!
キンベン:い、いいかんじ!?
サブロク:全然ちがう
キンベン:なんだよ!
サブロク:しゃべれるよねー
キンベン:ハシビロコウしゃべんの!?
サブロク:ちがうよ
キンベン:じゃあなにが
サブロク:キンベン
キンベン:……あ
サブロク:よかったよ、しゃべれるようになってさ
キンベン:……ありがと
サブロク:まださ、やっぱ怖い?
キンベン:ちょっと、きつい
サブロク:そっかあ
キンベン:ごめん
サブロク:いや謝ることなんもないし
キンベン:そう、かな
サブロク:そうだよ、ソーシャルディスタンスも保てるし
キンベン:それはそうかもだけど
サブロク:ゴリラの鳴き真似して!
キンベン:え、ご、ゴリ……う、うほ!うっほうほうほ!うっほ!!
サブロク:うほほほ!うほ!うきー!!
キンベン:うきー!!うきーうきーうほほ!
サブロク:ゴリラはウキーとは鳴かなくない?
キンベン:いやウキーはサブロクから言い始めたんだよ?
サブロク:はじめはさ
キンベン:うん?
サブロク:キンベンのお母さんから頼まれたから、来てたんだよね
キンベン:……だよね、知ってた
サブロク:泣きながら言うからさ、キンベンのお母さん
キンベン:うん
サブロク:なんかその泣き方がさ
キンベン:……うん?
サブロク:アメリカビーバーがしかめっ面してる時みたいでさ
キンベン:おい?
サブロク:ツボっちゃって大変だった
キンベン:謝って?うちの母さんに謝って?
サブロク:歩き方も枝を集めたビーバーに似てるよね、キンベンのお母さん
キンベン:けなされてるのか、褒められてるのかわからないスレスレでくんな
サブロク:もう何年だっけ
キンベン:……なにが?
サブロク:部屋から、出られなくなって
キンベン:……四年
サブロク:四年か
キンベン:うん
サブロク:四年間で、キンベンが驚くほど外の世界は変わったよ
キンベン:……え?
サブロク:例えば、車は空を飛ぶし
キンベン:まて?
サブロク:犬はニャー、猫はキュプキュプユニュって鳴くようになった
キンベン:もう少しマシなチョイス無かった?
サブロク:デデン
キンベン:またクイズ
サブロク:キリンの鳴き声はどんな鳴き声でしょうか
キンベン:あ、それは知ってる
サブロク:お答えください
キンベン:んもぉ〜
サブロク:んもぉ〜
キンベン:そう、牛と同じなんだよね
サブロク:へー、そうなんだ
キンベン:知らなかったんかいっ
サブロク:デデン
キンベン:またか
サブロク:ラッコって鳴くの?
キンベン:それもうクイズじゃなくて質問なのよ
サブロク:どうなの?
キンベン:ごめんそれは流石に知らない
サブロク:デデン
キンベン:もー、またかよ
サブロク:どうしてキンベンは外に出られないのでしょうか
キンベン:……
サブロク:お答えください
キンベン:……答えなきゃだめ?
サブロク:……
キンベン:……
サブロク:人生ってさ
キンベン:……え?
サブロク:人生ってクソだらけだと思うんだよね
キンベン:クソだらけ……?
サブロク:運動会とかじゃさ、優劣を付けるのはよくないからって皆で手を繋いでゴールさせたりするじゃん
キンベン:そう、だね
サブロク:でも社会に出たらさ、全てに優劣がついてたりすんの
サブロク:例えばカップ麺にチョイがけするとなにが美味しいか?とかまでランキングにされてたりさ
キンベン:うん
サブロク:はたまた、営業成績で給料とかまで変わっちゃうの
キンベン:それが、働く意欲に繋がったり、するから
サブロク:ならさ、戦い方を教えてくれよ、って
キンベン:……うん
サブロク:人間って、そんな、あんたらが思うほど器用に生きれんよ、って
サブロク:そう思うわけ
キンベン:……
サブロク:はー!!!人生ってクソだらけ
キンベン:……そう、だよね
サブロク:そんなクソな人生の中でさ
キンベン:うん
サブロク:「なにも言えずに、ただ固まってるだけ」みたいになるのだけは、嫌だよなあ
キンベン:……ハシビロコウみたいに?
サブロク:ほんと動かないよね、あいつ
キンベン:……動かないね
サブロク:かかかかかかかかかかっ!!!
キンベン:な、なに?
サブロク:キンベンもやって
キンベン:え?
サブロク:ほら、はい
キンベン:か、かかかかかかかかっ!!!
サブロク:かかかかかか!!
キンベン:かかかかかか!!
サブロク:かかかかかか!!
キンベン:かかかかかか!!
サブロク:これハシビロコウの鳴き声
キンベン:うっそだろ
サブロク:正確には、くちばしをうち鳴らす音
キンベン:声ですらないじゃん
サブロク:でもすごい爆音でさ
キンベン:そんなに?
サブロク:うん、そんなに
サブロク:機関銃みたい
キンベン:……すごいな、そりゃ
サブロク:すごい?
キンベン:……すごいよ、動かずじっとしてるのに
キンベン:きっと必要な時にそうやって機関銃みたいな音をはっきり出せるんだ
キンベン:「できない」んじゃない、「あえてしない」を出来てる、そんな感じがする
サブロク:キンベン
キンベン:真似出来ない、な
キンベン:いっつもさ、ここぞって時に
キンベン:言いたいこと、飲み込んじゃう
キンベン:人生がクソだって言うんならさ
キンベン:そのクソみたいな人生で
キンベン:なにも言えず部屋に閉じこもっちゃう
キンベン:こんな人生のほうがよっぽどクソな気がするよ
サブロク:デデン
キンベン:な、なに?
サブロク:デデン
キンベン:ま、またクイズ?
サブロク:問題です
キンベン:……はい
サブロク:ハシビロコウはなんて鳴くでしょうか
キンベン:え?
サブロク:ハシビロコウは、なんて鳴くでしょうか
キンベン:だ、だからさっきのあれだろ?
キンベン:機関銃みたいな
サブロク:鳴き声でお答えください
キンベン:ええ?
サブロク:鳴き声でお答えください
キンベン:か、かかかかかかかか!!
サブロク:ぶー、不正解です
キンベン:なんで!?
サブロク:それ鳴き声じゃなくてくちばしを合わせて出してる音だもん
キンベン:じゃあその理論でいくとハシビロコウ鳴かないじゃん
サブロク:鳴くよ?
キンベン:え?
サブロク:ハシビロコウ、鳴くよ
キンベン:……鳴くの?
サブロク:うん
キンベン:な、なんて?
サブロク:くるるるーって
キンベン:く、くるるるー?!
サブロク:くるるるー
キンベン:ど、どういう時に鳴くの
サブロク:いちばん信頼してる飼育員さんに甘える時だってさ
キンベン:……そう、なんだ
サブロク:だから、いいんじゃない?
キンベン:え?
サブロク:無理に鳴かなくて
キンベン:サブロク
サブロク:動かなくても
サブロク:鳴かなくてもさ
サブロク:それが味になって
サブロク:ハシビロコウはなんかかっこいい
キンベン:……サブロク、お前
サブロク:デデン!
キンベン:は、はい
サブロク:コアラはなんて鳴くでしょうか!
キンベン:こ、こここあーら!こあーら!
サブロク:なにそれきも
キンベン:わ、わかんないでしょコアラの鳴き声なんて
サブロク:正解はぶもーーー!!でした
キンベン:ぶ、ぶも?
サブロク:はい、そんなんじゃ君の中のコアラ
サブロク:オーストラリアで生きていけないよ
サブロク:もっと腹から声だせ、有袋類なめんな
キンベン:ぶ、ぶもーーー!!!
サブロク:ぶもーーー!!!
キンベン:ぶもーーー!!!
サブロク:かかかかかかか!!!
キンベン:かかかかかかか!!!
サブロク:うほー!!!うほっうほっうほうほうほ!ウキー!
キンベン:う、ウキー!!ウキー!!
サブロク:いやだからゴリラはウキーとは鳴かないって
キンベン:サブロクが言い始めたんよそれは
サブロク:デデン!
キンベン:もうなに
サブロク:外出れるようになったら一緒にどこ行きたい?
キンベン:……動物園
サブロク:おっけー

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