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臍帯とカフェイン

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鹿骨町めらんこりいず

【配役】
・探偵
・雑貨屋
・精神科医
・魔法中年


【鹿骨町とは】
東京都江戸川区鹿骨をモチーフにした架空の町。

【ギジン屋】【沖田メンタるクリニック】など
鹿骨町を舞台に作られた話となる。


探偵:それで、だ。
雑貨屋:ふむ。
探偵:今回集まってもらったのは他でもない、例の件について、なのだが。
雑貨屋:言うまでもない、探偵、貴様がすべて決めてしまえ。
探偵:馬鹿な事を言うな、私の一存ですべて決められるものではないだろう。
精神科医:……あのー……。
雑貨屋:なんだ、精神科医。
精神科医:長くなるようなら帰ってもいいです、かねえ。
雑貨屋:いいわけないだろう、貴様は阿保か。
精神科医:阿保とか言います!?ねえ、阿保とか言います!?
雑貨屋:あー、うるさいうるさい。声がでかいんだ貴様は。
精神科医:阿保とか言うからじゃないですか!阿保とか!
精神科医:そんなに親しくもない相手に開口一番「阿保」とか言います普通!
雑貨屋:貴様が「阿呆」な事を抜かすからだろう、精神科医。
探偵:まあまあまあ、二人とも落ち着いて。
魔法中年:遅くなりましたー、すいませーん
探偵:ああ、これはどうもどうも、ラブマスクさん。
探偵:すいません、忙しいところ、呼びたててしてしまって。大丈夫でした?
魔法中年:いやなに。ちょっと怪人が出ただけですから、楽勝ですよ、楽勝。
雑貨屋:なんだこの、ゴスロリはげだるまは……。
魔法中年:辛辣!!!
精神科医:知らないんですか?はー、知らないんですか!
精神科医:この鹿骨町に暮らしてて知らないんですか!?雑貨屋さぁぁぁん?
探偵:ほら、沖田先生も煽らない煽らない……。
探偵:ギジン屋さん、テレビとかあまりご覧にならないですか?
雑貨屋:深夜アニメくらいだな。
精神科医:深夜アニメみるんだ。
雑貨屋:住み込みの助手が好きでな。
探偵:ああ、猫宮さん、好きそうですもんね。
精神科医:え、なに、お二人知り合いなんですか?
魔法中年:あら、そうなのね。
精神科医:急なおネェ言葉。
魔法中年:変身してる間はこの口調じゃないと落ち着かなくって。
探偵:ちょっと前にね、少しお世話になったんですよ。
雑貨屋:で?テレビがどうしたんだね?
探偵:ああ、そうそう。鹿骨町で魔法少女やられてる、ラブマスクさんです。
探偵:朝のニュースとか見てるとたまーに出てると思うんですけどね。
雑貨屋:ほう。魔法少女。
雑貨屋:……ん?少女?
魔法中年:ラブリーミルキー、かわいいリズムで蔓延る悪をやっつける!
魔法中年:魔法少女戦士、ラブマスク、だゾっ
雑貨屋:魔法中年ではないか。
魔法中年:あー!!!!言った!!!絶対言ってほしくないこと言ったー!!!!
精神科医:いや、これは魔法中年ですよね……。
魔法中年:沖田先生までっ!?!?
探偵:ま、まあ。ほら、いろいろご事情があるんでしょうし……。
雑貨屋:中年が少女をうたう理由など、碌なものではないように思うんだが……。
精神科医:悔しいけど激しく同意。
魔法中年:色々あるのよ!!んもう!!!詮索しないで!!
魔法中年:そんな事言ったら沖田先生の所のクリニックなんて
魔法中年:しょっちゅう爆発してるじゃない!なんなのよあれ!
精神科医:詮索しないで。
雑貨屋:してるな、確かに、爆発。
精神科医:詮索しないで。
探偵:月1ペースで工事してますよね。
精神科医:詮索しないで!!!
雑貨屋:爆発といえば……探偵、例の人参はどうなったんだ?
探偵:あ、そこの話出します?
魔法中年:にんじん?
精神科医:なにそれ。
探偵:詮索しないで。
精神科医:ずるいでしょそんなの、言いなよ、小石川さん。
探偵:いやです。絶対いや。ギジン屋さんなんで言っちゃうの。
雑貨屋:雑貨屋に守秘義務などない。
探偵:そ、そんなこと言ったら!あれじゃないですか!
探偵:あの、ほら、あれ……
雑貨屋:なにかね?
探偵:……無いな、この人のなんかこう、詮索する所。
精神科医:ないんかい!
探偵:ない……。
魔法中年:鹿骨町でお店構えておいてなんもないってことはないでしょう!?
探偵:あ……。
精神科医:ほら、あった!ほら!
探偵:……「猫宮さん」とは……どういったご関係なので……?
精神科医:え、何?住み込みの助手さん女の子なの?
雑貨屋:ああ、そうだな
精神科医:え、なにそれ、え、くっそうらやま、え、なにそれ、は?
魔法中年:先生、落ち着いて
精神科医:いやいやいやいや、え、ずるくないですか?なにそれ
精神科医:この鹿骨町で、キャッキャウフフしてるってことですか?え?
雑貨屋:キャッキャウフフ?
精神科医:キャッキャウフフもしらねぇのかよ!!イチャコライチャコラしてることだよ!
魔法中年:沖田先生ってこんなキャラだったかしら。
探偵:ほら、なんか、色々あったらしくて。
雑貨屋:イチャイチャした事はないな、猫宮さんとは。
精神科医:なーんだ、そうですよね、うふふふ、そんな、女の子と同居してて
精神科医:しかも女の子が自分の事大好きで、寝起きに毎朝ホットミルクいれてくれるなんて
精神科医:そんな夢みたいな世界線、あるわけないですもんねー!
雑貨屋:ああ、それなら毎日だな
精神科医:呪ってやる
雑貨屋:ほう、やるかね。
探偵:まって!!まってまってまって!今ここで何か色々おっぱじめないで!
探偵:なんとなく探偵のカンであなた達二人、なんか強靭的な何か持ってそうだから!
魔法中年:やだこわい
探偵:あ、一番攻撃力ある人こっちだったわ
魔法中年:ラブリーミルキーシャワーしとく?
探偵:いや、それはこう、最終手段で。
精神科医:雑貨屋呪う雑貨屋呪う雑貨屋呪う雑貨屋呪う。
探偵:沖田先生も、ちょっと、落ち着いて。
雑貨屋:さっさと話し合いを始めたらどうだ?探偵。時間だけが過ぎてるぞ。
探偵:あ、ああ、そっか、そうでした。
探偵:皆さん本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
精神科医:……で、結局どうするんですか。
魔法中年:え、ごめんなさい、なんのお話なのかしら
探偵:ラブマスクさんの為にもう一度簡単に説明しますね。
探偵:鹿骨町南商店街では、毎年子供会の出し物で色々な事を持ち回りでやってきたんですが
探偵:今回どうやら我々が担当となってしまっているみたいで。
魔法中年:ああ、なるほど
探偵:で、去年はどうやらマカロン工場で大量発生したかわいいコグマちゃんを
探偵:配布したり、配布したり、配布したりしたみたいなんですけど
精神科医:在庫処分かよ!!
雑貨屋:情報量が渋滞していて、もはや突っ込む気にもなれないな。
魔法中年:でも、大盛況だったみたいよ?私も一匹欲しかったわ
探偵:ええ、なんかすごい人気になったみたいで。
探偵:ニュースにもなってましたよね。
雑貨屋:で、今年は同じ手は使えぬわけだろう?
探偵:ええ、そうなんですよ、だからどうしたものかなーって。
精神科医:んー、子供会の催し物かぁ……。
魔法中年:難しいわね……。
探偵:ラブマスクさんって確か、娘さんいらっしゃいましたよね?
雑貨屋:貴様、子供がいるのか。
魔法中年:え、ええ。いるわよ?
雑貨屋:……子供の心中を察するな……。
探偵:ギジン屋さん。
雑貨屋:失敬。
探偵:子供が喜びそうなことって何か思いつきませんか?ラブマスクさん
魔法中年:そうねえ……うちの娘はもう大きいから、もっぱらゲームやテレビばかりだしねえ……。
精神科医:……必ずしも、何かを配るとかじゃなくていいんですよね?
探偵:おっ、沖田先生、何かありますか?
精神科医:ええ、その、すごく簡単な事なんですけど、この鹿骨町って
精神科医:なんていうか、こう、ちょっと特殊な町じゃないですか。
探偵:ええ、はい、わかります
精神科医:だから、その自分たちの町を知ってもらう為に、名所を巡るスタンプラリーとか
精神科医:やってみたらいかがでしょうか?
探偵:おおおおお……貴方からこんな真面目な意見が出ると思ってなかったので
探偵:ちょっとそこが以外ですが、これはすごい!!沖田せんせ、貴方という人は!
精神科医:それ褒めてます?けなしてます?
雑貨屋:両方だろう
精神科医:えんっ!!!
雑貨屋:しかし、確かにいい意見だ。
雑貨屋:この都心の中に存在する下町文化を、より一層感じてもらうという
雑貨屋:文化的活動の一つだな。
精神科医:ね?いいでしょ?いいよね?この意見、いいよね?
魔法中年:ええ、素敵だと思うわ。それじゃあ、どこを回るのか、スポット決めもしちゃいましょうか!
探偵:ええ、いいですね、勢いが出てきましたね、ちょっとラップしたくなってきました。
雑貨屋:やめとけ。
探偵:はい……
精神科医:まずは、「タピオカミルクティーの海」ですかね。
雑貨屋:ちょっと待て。
雑貨屋:なんだそれは。
精神科医:知らないんですか?
雑貨屋:え、なんだ?知ってて当然なのか?これは。
精神科医:え、わりと有名ですよね?ね?小石川さん
探偵:ええ、週末は結構混みますよね。
魔法中年:タピオカミルクティーの生産量、日本一ですし、これくらいはね。
雑貨屋:なんだこれは。私がおかしいのか?
精神科医:あ、そっか。雑貨屋さん、テレビ見てないんだもんね?
精神科医:「鹿骨町めらんこりい」見てないんだ?
雑貨屋:なんだその番組は。
精神科医:ニュースですよ、ニュース。
精神科医:ほら、お題のコーナーにも割と序盤のころよく投稿されてたじゃないですか
精神科医:最近めっきりだけど。
雑貨屋:お、お題?序盤?
精神科医:あ、ごめんなさい、メタ発言許されてるの僕の作品だけでした。
雑貨屋:メタ……?
魔法中年:なんの話をしているのでしょうか。
精神科医:気にしない気にしない、で、あとは……「鹿骨リンドブルムパーク」ですかね。
雑貨屋:そ、それは知っているぞ。大きな「鹿骨ちゃん」のモニュメントがある公園だろう?
探偵:あそこって公園なんですか?レストランだと思ってた。
魔法中年:え?ショッピングセンターでしょ?
精神科医:何言ってるんですか。遊園地ですよ。
雑貨屋:なんで全員の見解が違う、次元でも歪んでるのか。
精神科医:あと忘れちゃいけないのが、「聖鹿骨ルボワール高校」ですよね。
雑貨屋:高校……学校なのか?
探偵:全国さくらんぼの種飛ばし甲子園の優勝校ですよね。
雑貨屋:それはすごい。
魔法中年:あ、私そこ出身校です。
探偵:えー!それはすごい!じゃあ、決まりですね、ラブマスクゆかりの地とも言える!
精神科医:あとは……
雑貨屋:あとは?
精神科医:……ないですね。
探偵:ないんかい
魔法中年:え?もう一個あるじゃない、沖田先生。
精神科医:だめです。
魔法中年:どうしてよ?
精神科医:いや、あそこはだめでしょ!?
雑貨屋:なんだ?あるなら言えばよいだろう。
探偵:そうですよ、楽しい場所は多いほうがいいでしょ。
精神科医:いやダメですって、ぜったいダメ。
魔法中年:みんなで楽しめて、さらには絶対笑顔になる最高の施設があるじゃないの。
精神科医:だから!!!絶対に!!!ダメですって!!!!
探偵:そんなエンターテイメント性抜群なところあったんですか?この町に。
魔法中年:ええ、あるんですよ、この間家族3人でお邪魔しちゃって。
魔法中年:ひーひー言いながらも、最後には笑い転げちゃって。
雑貨屋:ほう、いいじゃないか。何を嫌がってる、精神科医。
精神科医:あそこが最高の施設とか、何言っちゃってるんですかあなた!
精神科医:楽しいとかそういうんじゃないんですよあそこは、なんていうかもう、こう
精神科医:「ぴろぴろぴろ」なんですって。
精神科医:夜煮るミョルニルに言い寄るミョルニルなんですよ。
精神科医:あんなところスポットにしたらPTAのこわーいおねえさまがたから
精神科医:なんていわれるかわかりませんよ!?
雑貨屋:なんだそれは。
精神科医:いやもうほんとやめよ、これ、話するだけで転送されそうな気がするもん。
探偵:転送?
魔法中年:いざとなったら私がラブリーミルキーシャワーで
精神科医:そういう問題じゃないの!もう行くことすら嫌なの!
精神科医:あ、そっか小石川さんのシリーズと、雑貨屋のシリーズはまだ行ってないじゃん
精神科医:だからそんな悠長なこと言ってられるんだよ、あそこはほんとだめ、絶対だめだから
探偵:はあ、まあ、沖田先生がそんなに頑なに嫌がるならやめておきましょ。
探偵:他にもスポットにしてもいいお店とか無いか、組合に確認してみます。
探偵:それじゃあ、このあたりで本日は解散ということで。
魔法中年:お疲れさまでした!
雑貨屋:……ん?おい、探偵。
探偵:どうしました?
雑貨屋:扉があかないぞ?
精神科医:……えっ
魔法中年:あら、ほんとね、何か引っかかっちゃってるのかしら。
探偵:あれ?なんか、部屋の隅に意味ありげな立て看板が立ってる
探偵:なになに、「この部屋は、言葉を噛むと時間が巻き戻る部屋です」?なんだこれ。
精神科医:最悪オブさいあきゅだーーーーー!あっ……。(ぴろぴろぴろ)

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