カケヨルメソッド【2】声劇シナリオを書こう! ①実際に物語を作るには?
【2】声劇シナリオを書こう! ①実際に物語を作るには?
①では実際にどのように物語を書いて行くのがよいか
物語を書く、となったときに多くの人がまず「面白い設定」を考える。
実際、著者もそうやって物語を書き始める事がある。
どんな風に物語を書き始めても構わない、ルールや規則なんてものは存在しないから。
でも少し待った。
実はこの「設定からまずは考えよう」で始めた物語、書けない夜に繋がっていく場合がある。
なぜか?
プロッターとしても、パンツァーとしても
「設定から書く」は「書き始めるべき世界の基礎」が大きすぎてあやふやになりがちだからだ。
たとえば、
1.魔王を倒す話
2.幽霊が出る学校の話
3.ラジオ番組のコメディ
4.楽団員たちの青春劇
これらはすべて、「設定」と呼ばれるものだ。
もちろんこの段階からでもシナリオを書く事は全然できる。
スキルや経験、あとはあんまり言いたくないけど才能がある人なんかはここから
とんとんとーんと物語を派生させて、想像して、執筆を完了させることができる。
でも実際、物語というのはこの「設定」から始まるわけではない。
物語が始まる瞬間というのは
1.魔王を倒したくない勇者がいる
2.幽霊よりも「友達を失う事」の方が怖い
3.ラジオを続ける理由を見失っている
4.楽団を辞めたい人がいる
このように、「誰かの感情が動き始めた瞬間」に「物語」は始まる。
②まずは「問題」を作る
声劇シナリオ初心者にありがちなのが、
「世界観だけ作って終わる」
「キャラクター紹介だけで終わる」
「会話はあるけど話が進まない」
という状態だ。
なぜこれが発生するのか?
キャラクターの設定はできてる、世界観もできてる、それぞれキャラクターは会話できている。
でも、「話が進んでいない」の原因。それは、
「問題」が存在していないから、だ。
物語というのは基本的に
「何か問題が発生し」▶「誰かがそれに向き合う」
この流れで動いている。
これは、その問題を必ずしも解決する話でなくてもいい。
より悪化させてみたり、より複雑化させてみたり
「解決できませんでした」という結末だってもちろん構わない。
ただ、その発生した「問題」に「誰かが向き合わないといけない」
最初は難しく考えず、簡単な「問題」でもいいのだ。
例えば、「主人公が遅刻しそう」「喧嘩した」「秘密がばれそう」「仕事をやめたい」
など日常的にあり得そうな小さな問題で構わない。
上記リンクの前回のパートで以下のような事を説明した。
◆②台詞とキャラクターがあれば、もう物語は出来上がっているも同然。ここまでのポイントで、ライターには「パンツァー」と「プロッター」が存在する事を学んだ。そして、物語、声劇とは台詞とキャラクターがあれば成立する事がわかった。もっと丁寧に説明するなら、声劇シナリオというのは、 ①登場人物 ②柱(はしら) ③ト書き ④台詞の4点があれば、成立するのだ。たとえどんな物語、お話であっても。壮大な物語であったり、短めのコメディであったり、長くても短くても面白くても面白くなくても、上記の4点さえあればそれは「物語」として成立している。
この「台詞」というものと「登場人物」を「繋げる」為に
「設定」と、その設定の中で起きている「問題」が必要なのだ。
だから実は、物語を書く人間というのは
臆病で、ネガティブで、悩みの多い人のほうが向いている、
なぜなら、「自分がぶち当たる問題」をここで出す事ができる。
「問題」というものの引き出しが多くなるってことだね。
先ほどの例題を元に、どういった問題が発生しているのかを細かく考えてみよう。
1.【設定】魔王を倒す話
【問題】魔王を倒したくない勇者がいる
▶本来魔王を倒す話であるはずなのに、なぜか魔王を倒したくない勇者がいる。
倒したくないということは、何か理由があるはず。
例えばそれは「面倒くさい」でもいいし「魔王に恋をしている」でもいい。
ではそんな勇者を君はどうしたいだろうか?
戦いに行かせたいのか、それとも「そうだよね」と同調したいのか。
それにあわせて、勇者の抱えた問題を「幇助(ほうじょ)」するか「阻止」する役が 出てくる。
その2人が「魔王を倒すべきか、倒さないべきか」を話す事で
勇者の感情と、対峙する役の感情が動く。
2.【設定】幽霊が出る学校の話
【問題】幽霊よりも「友達を失う事」の方が怖い
▶幽霊が出る事が噂になっている学校で、幽霊よりも「友達を失う」事のほうが怖い
と思う主人公が存在している。幽霊騒動よりも人との繋がりのほうが大事なのだ。
幽霊幽霊って皆うるさいなと思っている主人公、もしかすると友達と喧嘩を
しているかも知れないし、この幽霊騒動で友人が行方不明なのかも知れない。
友達と喧嘩しているのであれば、例えば騒動の元凶である幽霊と「友達とはなんだ」
という話になっても良いかもしれない。なにせこの主人公は幽霊が怖くないのだ。
友人が行方不明のパターンなら、友情に熱い主人公を描けるだろう。
3.【設定】ラジオ番組のコメディ
【問題】ラジオを続ける理由を見失っている
▶ラジオ番組をしたいのに、主人公はそれを続ける理由を失ってしまっている。
例えばそれが「やりたいのに、上層部からの圧力で今日かぎりで辞めなければいけない」という理由ならその物語は「主人公がヤケになり、してはいけない事をしてしまう」と
いう感情の動かし方が出来るかも知れない。
「相方が死んでしまって、続ける気力がなくなった」という問題であるなら
リスナーが電話を繋げてきて、どれだけあなたが私達に必要なのか
死んだ相方が本当にそれをのぞむのか?というヒューマンドラマな動かし方ができる。
4.【設定】楽団員たちの青春劇
【問題】楽団を辞めたい人がいる
▶では、この4つめはどんな問題でどんな感情が動くのか?
君が考えてみよう。
③「キャラクター」ではなく「感情」を動かす
初心者の頃ほど、
「このキャラはこういう性格です!」
を作り込みたくなる。それはそうだ、当然のこと。
だって産み出した大切な「自分の子」だから。
「このキャラクターは熱血漢で、こういう台詞や語尾があって~」っていうのを考えている時が一番シナリオを書いて居て楽しいときだ。
でも、声劇というのは「設定」よりも「感情の動き方」のほうが
遙かに重要なのだ。
たとえば、
・強気キャラが弱音を吐く
・冷静な人が怒鳴る
・明るい人が黙り込む
漫画や小説、アニメ、映画を見るときに
上記のような展開があると、その瞬間我々は息を飲む。飲むよね?見入ってしまわない?
「いつもこんなに強気なキャラクターが、涙を流しながらチームの負けを自分のせいだと責めている」なんてシーンがあったら
気づけばそのキャラクターの事が好きで好きでたまらなくなって、
お土産にそのキャラクターの缶バッジやクリアファイル、目印チャームなんかを買ってたりしないだろうか。
物語を書く為に設定を考える、これも必要なこと。
でも、それ以上に「その設定の中で」「キャラクターが」「どんな問題を抱え」
「どのようにそれに向き合い」「どう感情が動いたか」に「物語」が産まれる。
キャラクターメイキングの話にも関わってくるが、
つまり、
キャラを作る
ではなく、
「感情が揺れる状況」を作る
これが何よりも一番重要なのである。
そしてそれを、声劇キャスト、いわゆる演者という方々はこう捉える。
「今回の劇の、自分が演じるこのキャラクターには見せ場がある」と。
④会話劇は「反応」でできている
声劇シナリオは、基本的に「会話」で進んでいく。
会話が発生したら、それに対してまた会話が発生する、会話、会話、会話。
会話で劇は成り立っている。キャプションや柱、モノローグが聞きたくて
声劇をする人はあまりいない。
会話、会話なのである。
目の前にいるキャストさんと、そのキャストさんが演じるキャラクターと
会話をする、会話、会話、会話なのである。
だから重要なのは、
「次に何を言うか」
ではなく、
「相手の言葉にどう反応するか」ということ。
たとえば、
A「俺、楽団やめようかな」
と言われた時、
Bが、
「えっ!?なんで!?」
と返すのか、
「また始まった」
と返すのか、
「……そうか」
と返すのかで、空気は全部変わる。
会話劇とは、
セリフの応酬ではなく、「感情の反応」の積み重ねであると考えて欲しい。
その今から書こうとしている「セリフ」は、「セリフ」ではない。
今あなたが産み出したキャラクターの「心」や「感情」から出た言葉を
セリフという形で喋らせているのである。
最初は「短く」でいいのだ。
初心者ほど、「長編を書かなきゃ」と思いがち。実際に、いきなり長編を書き始める人もいる。
でも実際は逆です。
最初は、5分の劇で、配役は2人芝居。
場面転換もなく1シーン完結している、そんな物語でいい。
他のシナリオライターさん達にすこーし喧嘩を売ってしまうような発言にもしかしたらなるかも知れないが、これだけは絶対に覚えて居て欲しい言葉がある。
「完結していない長編作品よりも、いくら短くても完結している短編作品」のほうが
俄然価値は上なのである。価値とか言っちゃいけない。
そう、比べるのはいかんよ!だめよ!?比べるとか!
でも、事実なのである。
物語は、いくら面白い展開を考えようが思いつこうが
素晴らしい設定を書いて居ようが、「完結」させてなければ意味がない。
それはシリーズの完結という意味ではなく、今目の前に存在するその1話を完結させているかどうかということだ。
言い換えれば「未完の傑作」に意味はなく「完結した駄作」のほうが何億倍も価値があるのである。
そして、不思議と物語というのは「完結させたときにしか経験値が入ってこない」のである。
起承転結、感情の流れ、セリフの整理、どこが見せ場で、どう見せたいか
何を見せたいか、どういう物語なのか。そして、どう終わる話なのか。
短い作品を何本も書く事で、「物語の筋肉」が育っていく。
なので、最初は短くて良い。簡単な設定でいい。
ただ、その短い物語の中でキャラクターの感情が、目の前にある問題をどう捉えていくのかを描くようにしよう。
⑤「書けない」は普通
このパートの最後に一番大事な話をしようと思う。
物語を書こうとすると、
面白くない気がする
セリフが浮かばない
展開が思いつかない
他人と比べてしまう お前価値とかいう話さっきしてたやないかいという突っ込みは置いておいて
こういう時間が必ず来ます。
どれだけ長く書いていても、どれだけ慣れていても、これは必ず存在する。
悲しいかな、いつか必ずそう思う日が絶対に来る。
でもそれは、才能が無いからでは無い。
単純に、「物語を作る」という作業が、めちゃくちゃ難しいのだ。
プロでも悩んでいる。
何百本書いても悩む。
著者は、先日2026年5月に自身の作成したシナリオが200本を超えた。
200本といえばかなりの大台だ。
大体平均して一つのシナリオが7500文字で在ることが多い為、単純計算で
150万文字の物語を書いてきた。
それでも、
面白くない気がする
セリフが浮かばない
展開が思いつかない
他人と比べてしまう
なんて事はしょっちゅうなのである。本当にしょっちゅう。ほぼ毎日だ。
だからまずは、
「完成させる」
これを目標にすることが一番重要であるのだ。
完璧じゃなくていい。
短くてもいい。
拙くてもいい。
一本完成させた人だけが、
次の一本を書けるようになる。
そしてその積み重ねが、
やがて「自分だけの脚本術」になっていきます。
◆次回「桃太郎」って、なんで「桃太郎」なんだろう?作品の見せたい部分とは
0コメント