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「ギジン屋の門を叩いて」⑰遥かなアルカナ

弋 七名:いぐるみ ななな。女性。東立石高校「アルカナ部」部長。
「リビングデッド」:りびんぐでっど。あるく死体。
寺門 眞門:てらかど まもん。店主。男性。いわくつきの道具を売る元闇商人。
猫宮 織部:ねこみや おりべ。助手。女性。家事全般が得意です。
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 : 「ギジン屋の門を叩いて 『遥かなアルカナ(はるかなあるかな)』」
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 : 
 : 
弋 七名:おそらく貴方は意中の女性と結ばれません。
「リビングデッド」:……そんなバカな。
寺門 眞門:当たってるだろ
「リビングデッド」:そんなはずない、猫宮織部、そうだろう?
猫宮 織部:え、ええ?いや、それは、ないのではないでしょうか……
「リビングデッド」:なぜだ
弋 七名:さらには恐らく、孤独でいる期間が長い、ともありますね。
寺門 眞門:当たってるじゃないか、独身腐れ外道
「リビングデッド」:なんて事を言うんですかあなた
寺門 眞門:当たってるだろう?
「リビングデッド」:……否定はできませんが
弋 七名:む
寺門 眞門:お、次はなんだ
弋 七名:……いや、これは、その
「リビングデッド」:……なんですか?
弋 七名:え、ええー……ちょっと私のくちからは言いづらいというか
猫宮 織部:な、なんでしょう、気になりますね
寺門 眞門:気になるね
「リビングデッド」:……いいです、言ってください
弋 七名:……「不感症」なんですか?
「リビングデッド」:許可しなければよかった
寺門 眞門:急に生々しいじゃないか
猫宮 織部:あ、あはは……
「リビングデッド」:ですが、すごいですね。今のところすべて当たっていますよ。
弋 七名:ありがとうございます
猫宮 織部:これが、タロットカード?の力なんですか?
弋 七名:いえ、正確には「私自身」の力を、タロットというアイテムを使って
弋 七名:わかりやすく視覚化してるだけと言ったほうが正しいのかも知れません。
猫宮 織部:すごい……
寺門 眞門:「鹿骨町」随一の占い師、「黒い足」「鹿骨のメラムプース」と呼ばれているだけの事はあるな
寺門 眞門:弋(いぐるみ)。
弋 七名:恐縮です。
猫宮 織部:旦那様と、弋さんはお知り合いなんですか?
寺門 眞門:ああ。弋は昔、この店の隣に住んでたんだよ。
弋 七名:その時に、眞門さんから頂いたタロットで、この力に目覚めました。
「リビングデッド」:「未来を見る」だけではなく「過去すらも見る」。
「リビングデッド」:人生そのものを垣間見る、そういったところですか。
弋 七名:はい。私はこの力を『捻転する運命の写実碌(ねんてんするうんめいのしゃじつろく)』、
弋 七名:通称『アカシックレコード』と呼んでいます。
猫宮 織部:わ、すっごく中二病っぽい
弋 七名:恐縮です。
寺門 眞門:弋、今日お願いしたいのはこっちの腐れ外道ではなく
弋 七名:腐れ外道……?
「リビングデッド」:あ、私、死んでるんですよ
弋 七名:……はい?
猫宮 織部:いや、その反応が本来正しいですよね
「リビングデッド」:私、一度死んで、蘇った身体でして。
弋 七名:なにそれエモい。
寺門 眞門:大丈夫だったみたいだ
猫宮 織部:で、ですね
寺門 眞門:ごほん、弋、今日はこちらの猫宮さんの事を見て欲しかったんだ。
弋 七名:なるほど。どんな事を見て欲しいんですか?
猫宮 織部:えっと……私、幼いころの記憶がなくて
猫宮 織部:今、悩んでる事に対しての、ヒントになるんじゃないかなって
「リビングデッド」:……そもそもの悩んでいる事そのものを見ていただいたほうがよいのでは?猫宮織部
猫宮 織部:あ
弋 七名:確かにそうだね、そのほうがまどろっこしくない
弋 七名:……でも、残念ながら
寺門 眞門:ん?残念ながら?
弋 七名:そのお姉さん、猫宮さん?の事は「見る」ことができないよ、眞門さん
寺門 眞門:……なぜだ?
弋 七名:さっきから、見てみてるんだけどね。
弋 七名:なにも「私」の「脳内」にビジョンが入ってこない。
猫宮 織部:え……?
「リビングデッド」:それはつまり、どういう事なんです?
弋 七名:わからない、こんなの初めて。
弋 七名:今まで見れなかった「人間」なんていなかった。
寺門 眞門:……なるほど
猫宮 織部:呪いのせい、ですかね。
「リビングデッド」:ないとは言い切れなさそうですね、猫宮織部
寺門 眞門:うん……
弋 七名:なんだろうね、こう、完全に本当に何もないわけじゃないんだけど
弋 七名:私の能力って、多分、共感しながら相手とリンクするんだと思う
弋 七名:それがなにか、靄がかかってしまって。
「リビングデッド」:それで、見えないと。
弋 七名:うん。
寺門 眞門:そう、か。
弋 七名:うん、ごめんね、眞門さん。猫宮さん。
猫宮 織部:い、いえ、大丈夫です!
寺門 眞門:こちらこそ、忙しい時に呼んでしまってすまない。
猫宮 織部:えーっと、お茶にしましょうか?
寺門 眞門:ああ、そうだね、そうしよう。
猫宮 織部:ちょうど、「ら・マルキ」のフルーツタルト買ってきたんです!
寺門 眞門:……腐れ外道、お前は帰ってもいいぞ
「リビングデッド」:ありがとうございます、いただきます
寺門 眞門:ちっ……
猫宮 織部:弋さんは飲み物は何がよろしいですか?
弋 七名:緑茶。あれば。
猫宮 織部:あ、実は今茶葉を切らしてしまっていて……
弋 七名:緑茶しか飲めない
寺門 眞門:え?いや、お前……
猫宮 織部:あら……じゃあ、ちょっと買ってきます!
寺門 眞門:え?ちょ、ちょっと。猫宮さん
猫宮 織部:大丈夫です!せっかくならお客様にはおいしく召し上がっていただきたいじゃないですか!
猫宮 織部:びゅびゅーんと!まっはまっはのまっはんまー!!って行ってきます!
寺門 眞門:あ、ね、猫宮さん…!……いっちゃった。
「リビングデッド」:……私も、猫宮織部の買い物を手伝ってきますね。
弋 七名:……ありがとう、お兄さん
寺門 眞門:……猫宮さんには聞かせられないような内容なのか?弋。
弋 七名:うん
寺門 眞門:……なんだ?
弋 七名:確証は無いよ、でもね。
弋 七名:本当は、「見えてる」ものもあるんだ。
寺門 眞門:……と、いうと。
弋 七名:2個。記憶が存在してる。
弋 七名:一つはさっきいった「見えない記憶」。
弋 七名:もう一つは、活発でお茶目な女の子の幼い記憶。
寺門 眞門:なんだ、見えてるんじゃないか。
弋 七名:その記憶が、小学校低学年あたりを境に見えなくなってる。
寺門 眞門:……見えなく?
弋 七名:うん。
寺門 眞門:それは一体どういう意味なんだ?
弋 七名:わかんない。私にはその2つの記憶が見えたっていうだけ。
弋 七名:あとさ、眞門さん。
寺門 眞門:……ん?
弋 七名:見るつもりはなかったんだけどさ。
寺門 眞門:ああ。
弋 七名:死ぬよ、眞門さん。
寺門 眞門:知ってる。
弋 七名:あ、知ってるのか。
寺門 眞門:ああ、自分で寿命を捧げたんだ。わかってるさ。
弋 七名:……「冥府に落ちる」よ。
寺門 眞門:え?
弋 七名:眞門さんは、「冥府に落ちる」。
寺門 眞門:はは、それはそうだろうな。
寺門 眞門:いまさら極楽に行きたいなんて思わないさ。
弋 七名:……うん、そう、だね。
寺門 眞門:弋は?学校はうまくいってるのか?
弋 七名:ぼちぼち。嫌いではない。
寺門 眞門:そうか、よかった。また名前でいじめられたりしてないか?
弋 七名:してない。皆「ななちゃん」って呼ぶ。
寺門 眞門:いい傾向じゃないか。
弋 七名:うん。
寺門 眞門:よかったよ、少しだけ心配していたからな。
弋 七名:……ありがと。
寺門 眞門:ん?
弋 七名:眞門さんが、私の能力を肯定してくれてなかったら、今頃腐ってた。
寺門 眞門:そう、か
弋 七名:腐れ外道って名乗ろうかな
寺門 眞門:やめとけ
弋 七名:なんで?
寺門 眞門:碌な事にならんぞ
弋 七名:でも、声に出して読みたい日本語。「腐れ外道」
「リビングデッド」:呼びましたか?
寺門 眞門:うおっ、い、いつからそこに居た
猫宮 織部:「ななちゃん」って呼ばれてる、のあたりからです!
猫宮 織部:リビングデッドさん、荷物ありがとうございました。
「リビングデッド」:いえいえ、いいんですよ、私は、猫宮織部、貴女の為ならなんでも致しますからね
猫宮 織部:あ、あはは
寺門 眞門:なんかもう最近はお前が不憫に思えてきたよ、腐れ外道。
「リビングデッド」:ありがとうございます
寺門 眞門:いや、褒めてない
猫宮 織部:さーて!お茶を入れて参りますねー!
「リビングデッド」:猫宮織部、私、ホットミルクがいいです。
猫宮 織部:あら……甘くします?
「リビングデッド」:ええ、うんと甘く
猫宮 織部:ふふ、わかりました
寺門 眞門:……なんでホットミルクなんだ。
「リビングデッド」:いえね、存外おいしいものであると気づきまして
弋 七名:お子様おじさん二人……
「リビングデッド」:言うねえ
寺門 眞門:弋。
弋 七名:失敬
寺門 眞門:お前まで言うかそれを。
「リビングデッド」:……ミルクって、元々は血液じゃないですか、寺門眞門
寺門 眞門:……そうだな?急になんだ?
「リビングデッド」:たまには自分語りさせてくださいよ。
「リビングデッド」:私ね、不死の身体になったのはちょうど今から300年くらい前でしてね。
寺門 眞門:さ、三百年だと?お前そんな前から不死者だったのか
「リビングデッド」:ええ、ちょうど江戸時代あたりですかね。
弋 七名:お侍……
「リビングデッド」:ええ、侍でしたよ、私。
寺門 眞門:……お前が?
「リビングデッド」:ええ。
弋 七名:ちょんまげ
「リビングデッド」:生えてましたねえ
弋 七名:まじで
「リビングデッド」:ええ、立派なのが
寺門 眞門:お前が……ちょんまげ……
「リビングデッド」:似合いそうですか?
寺門 眞門:逆だ逆!なんでお前はいつもそう、すこしプラス思考なんだ
「リビングデッド」:その方が人生楽しいですから。
弋 七名:ねえ、腐れ外道さん
「リビングデッド」:なんですか?占い師さん
弋 七名:人斬った事ある?
「リビングデッド」:……無いんですよ
寺門 眞門:ほう?
「リビングデッド」:私、こう見えてすごく繊細でしてね
「リビングデッド」:怖かったんですよ、刀を持つことが。
寺門 眞門:ふむ……
「リビングデッド」:元侍って言いましたけどね、本当は元農民だったんですよ、私。
弋 七名:元農民で、元侍……?
寺門 眞門:なるほど。「買った」んだな、侍の立場を。
「リビングデッド」:そうですね。私が、ではなく。父が、でしたが。
寺門 眞門:相当の金持ち百姓だったというわけだな。
「リビングデッド」:ええ、今でいう所のぼんぼん。
弋 七名:どういうこと???
寺門 眞門:江戸時代では、当時、金さえ払えばだれでも侍になれたんだよ。
弋 七名:ええ。
猫宮 織部:お待たせいたしましたー!
猫宮 織部:みなさんどーぞ、私と弋さんは緑茶、お二人はホットミルクです。
寺門 眞門:ありがとう、猫宮さん
「リビングデッド」:ああ、芳醇なミルクの香り……
弋 七名:いただきます。
猫宮 織部:ふふ。
猫宮 織部:当時、大体今でいう所の2500万円を払えば
猫宮 織部:誰もが侍を名乗ってもいいし、苗字も名乗っていい、刀も帯刀できたんですよね。
寺門 眞門:なんだ、聞こえてたかい
猫宮 織部:はい、面白くて笑っちゃいました
猫宮 織部:それで、その話とホットミルクがどう関係が……?
「リビングデッド」:ああ、そうですね。ミルクって、血じゃないですか、元々は。
猫宮 織部:ええ
「リビングデッド」:私、血って苦手だったんですよ、侍のころから。
「リビングデッド」:生きてるって感じがすごく強いじゃないですか、血って
「リビングデッド」:刀は、その、革袋に詰まった血を、容易に噴出させる、そんなイメージが
「リビングデッド」:強くてですね。一度も、刀を誰かに使った事などありませんでした。
寺門 眞門:なるほど、その割に散々殴ってくれたがな、貴様
「リビングデッド」:殴るのと斬るのとでは、違うじゃないですか寺門眞門
寺門 眞門:まあいい
「リビングデッド」:ふとした拍子にね、この不死の力を手にしてから
「リビングデッド」:「血」というものへの感覚が更に強くなりましてね。
「リビングデッド」:私、心臓が動いていないのに、血が勝手にめぐってるんですよ。
猫宮 織部:ち、血が勝手に?
「リビングデッド」:ええ。おそらく、血そのものに不死の力が宿っているのでしょうね。
「リビングデッド」:体内を「血」という蟲(むし)が蠢く(うごめく)感覚とでも言いましょうか。
弋 七名:気持ち悪い、想像したら
「リビングデッド」:ええ、ちょっと身体がかゆくなりますよね
寺門 眞門:そんなかわいいものではないだろ……
「リビングデッド」:その「血」からできた「ミルク」というものがね、なんだか苦手だったんですよ
猫宮 織部:リビングデッドさん……
「リビングデッド」:でも、存外悪くない、この生き物のにおいがすごくして、
「リビングデッド」:それでいて、こんなにも甘くて。喉を潤すのではなく、幼少期の
「リビングデッド」:一人で眠る寝屋の、さみしい子供心を満たすような、そんな感覚です。
弋 七名:わかる気がする
猫宮 織部:……へへ、よかった、おかわりもできますからね
寺門 眞門:…腐れ外道、お前はなんで不死者になったんだ?
「リビングデッド」:まあ、簡単に言うなら、呪いだったのではないですかねえ。
猫宮 織部:呪い。
「リビングデッド」:ええ。呪い。この「鹿骨」という町はそんなことばかりじゃないですか。
「リビングデッド」:知ってますか?なぜこの町が「鹿骨町」と呼ばれているか。
弋 七名:知らない
猫宮 織部:そういえば、知らないですね……
寺門 眞門:「神の鹿」の遺体が、埋まってるのさ。
「リビングデッド」:さすが寺門眞門、ご存じでしたか。
寺門 眞門:ああ。奈良時代の話だな。春日大社の創建に合わせて、神の鹿……「神鹿(しんろく)」と呼ばれる鹿を
寺門 眞門:輸送中、この地で死んでしまったんだ。
「リビングデッド」:ええ、そして、それからというもの、この「鹿骨町」は不可思議な事が多く起きる町となった。
寺門 眞門:マカロン工場でファンシーな子グマが大量発生したりな。
「リビングデッド」:懐かしいですね。
弋 七名:あったね、そんなことも
猫宮 織部:あれ結局どうなったんですか?
寺門 眞門:わからん。
「リビングデッド」:ですから、私が急に不死者になったのも、その神鹿のなんらかの気まぐれ、もしくは呪いなんだと思うんですよねえ
弋 七名:ふうん、だからか
「リビングデッド」:え?
弋 七名:腐れ外道さんは、その神鹿に愛されているのかもしれない
寺門 眞門:と、いうと?
弋 七名:「しあわせに死ねる」って、占いがでてる
「リビングデッド」:……私、もう死んでますよ?
弋 七名:わかんない、でもそう出てる。
「リビングデッド」:……よくわかりませんねえ
猫宮 織部:……。
寺門 眞門:猫宮さん?
猫宮 織部:……誰にも、死んでほしくないです。
弋 七名:あ……ごめんなさい、無神経だった
「リビングデッド」:おお、私の事で猫宮織部がもの悲しそうな顔をしている……!
「リビングデッド」:これはもう、恋とおなじ
寺門 眞門:そんなわけがあるか
弋 七名:……仲いいの?二人
寺門 眞門:よくない
「リビングデッド」:よくないです
弋 七名:仲良く見えるけど
寺門 眞門:よくない!!
「リビングデッド」:ええ、よくないです
0:眞門、リビングデッド口々に悪態をつきはじめ猫宮と弋を放置
猫宮 織部:……ふふ
弋 七名:……猫宮さん
猫宮 織部:あ、はい
弋 七名:あなたの中の、一番古い記憶って、どんな記憶?
猫宮 織部:一番、古い記憶、ですか
弋 七名:そう
猫宮 織部:……水の音に、横たわる私、泣きじゃくる幼馴染
弋 七名:……そう。
猫宮 織部:……はい
弋 七名:少し酷な未来になるかもしれないけれどね、猫宮さん
猫宮 織部:……はい
弋 七名:きっとそれは全部意味のあるもの。
猫宮 織部:……
弋 七名:だから、決して悲しまないで。
猫宮 織部:……はい、大丈夫。大丈夫です。
猫宮 織部:だって私には、旦那様と、皆さんがいますから。
弋 七名:……うん。
弋 七名:これ、あげる。なんの効果もない、ただのカードだけど。
猫宮 織部:……?
猫宮 織部:これは?
弋 七名:「戦車」のカード。意味は、「実行力」「強い意思」「勝利」
猫宮 織部:凄そう
弋 七名:でも、逆位置の「戦車」は「無鉄砲」。
猫宮 織部:無鉄砲。
弋 七名:そう、だから、気を付けて。
猫宮 織部:……大丈夫です、弋さん、「車」という文字が「門」を通ったら
猫宮 織部:どうなるかご存じですか?
弋 七名:……?
弋 七名:わからない。
猫宮 織部:「閳(せん)」、「明らかになる」という意味です。
弋 七名:明らか。
猫宮 織部:はい。「謎が解ける」という意味でもありますけど
猫宮 織部:「曇りなく明るい」という事を指すと思うんです。
猫宮 織部:だからきっと、どんなに辛くても、この先に続いてく事なんだって信じてるから。
猫宮 織部:だから、大丈夫です。
弋 七名:強いね。猫宮さん。
猫宮 織部:そう、ありたいです。
寺門 眞門:だあもう!!少しでもお前に気持ちを許した私が阿呆だった!!!
「リビングデッド」:あれ、気持ちを許してくれてたんですか。光栄ですね、寺門眞門。
寺門 眞門:うるさいうるさい。知らん!
「リビングデッド」:あれですかね、寺門眞門の窮地に駆け付けたのがよかったんですかね。
寺門 眞門:うるさい!関係ない!
「リビングデッド」:まあ、貴方を助けたわけではなく、私は猫宮織部を辿っていっただけですがね
寺門 眞門:辿っただ?どうやって?
「リビングデッド」:においですよ
寺門 眞門:犬か貴様は!
「リビングデッド」:違います
寺門 眞門:このやり取りいつもは猫宮さんとするんだよ!私は!
「リビングデッド」:たまには私とでもいいじゃないですか、寺門眞門
寺門 眞門:はー!うざい、あー、うざい。
弋 七名:……仲、いいよね?
猫宮 織部:ふふ、ええ、いいと思います。
寺門 眞門:どうせ貴様あれだろう、侍だった時の名前なんてそれはもう貧相な名前だったんだろ。
「リビングデッド」:ああ、名前ですか?
猫宮 織部:あ、私も気になりますそれ。
「リビングデッド」:「隠岐平 伝衛門(おきだいら でんえもん)」ですね。
弋 七名:「門」ついてる。
猫宮 織部:本当だ、「門」ついてる。
寺門 眞門:……。
「リビングデッド」:お揃い、ですね。寺門眞門。
寺門 眞門:いやだ。
「リビングデッド」:「伝衛門」って呼んでいただいても、構いませんよ。
寺門 眞門:絶対にいやだ。
「リビングデッド」:遠慮せずに。
寺門 眞門:誰が呼ぶか!!近づくな!!触るな!!
「リビングデッド」:いいではないですか、同じ「門」仲間同士。
寺門 眞門:仲間じゃない!やめろ!!
「リビングデッド」:私も甘い物好きになってきましたから、「甘党同志」でもありますよ、ねえ、寺門眞門
寺門 眞門:絶対に認めん!!!
弋 七名:……仲、いい、よね?
猫宮 織部:ふふふ、ええ、そう思います。

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