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臍帯とカフェイン

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恋人はひよこ鑑定士(1:1:1)

【配役】

正太郎:しょうたろう

アキナ:あきな

ひよこ:ひよこ

ーーーーーーー
正太郎:オス。
ひよこ:ぴよ!
正太郎:こいつもオス。
ひよこ:ぴよ!
アキナ:……はぁ。
正太郎:はい、こいつはメス。
ひよこ:ぴっよ!
アキナ:ねえ。
正太郎:またオス。
ひよこ:ぴよ!
アキナ:ねえってば。
正太郎:おっ、メスだ。
ひよこ:ぴよー!
アキナ:ねーーーー!!
正太郎:なんだようるさいな!
アキナ:暇なんだけど。
正太郎:暇って。仕事中なんだけど。
アキナ:わかってるよ。
正太郎:じゃあ邪魔するなよ。
アキナ:だってつまんないんだもん。
正太郎:つまらないってどういう事だよ。
アキナ:フリーランスって言ってたじゃん。
正太郎:そうだよ?
アキナ:言ってたじゃん。
正太郎:フリーランスだよ?
アキナ:ひよこの性別鑑定のフリーランスってなに。
正太郎:最近は増えてるんだよ。
アキナ:おかしいじゃんそんなの。フリーランスって感じしないじゃん。ゼロじゃん。
正太郎:なんでだよ。
アキナ:フリーランスってさ、デザイナーとかプログラマーとか、そういう今どきのスマートな仕事にだけつけていいんだよ。
正太郎:そんな法律はない。オス。
ひよこ:ぴよ!!!
アキナ:無くてもだめ!
正太郎:気が散るからちょっと静かにしてよ。はい、メス。
ひよこ:ぴっよぉーーー!
アキナ:気が散るって、適当にひよこ掴んでモミモミして裏側みてるだけじゃん!!!
正太郎:適当にじゃないから!はい、オス
ひよこ:ぴよん。
正太郎:的確にひよこを傷つけずにソフトに掴んで、ほんの数秒の確認で性別を確かめる高等テクニックなんだぞ。メス。
ひよこ:ぴよぉ~ん
アキナ:運動会の玉入れの数数えるみたいにポイポイやってるじゃん
正太郎:そんなガサツにやってません、めっちゃ丁寧ですメス
ひよこ:ぴよほほぉ~ん
アキナ:やだやだやだ!!でもなんかやだなの!!!
アキナ:手堅い飲食業で店長やってたはずなのに、ある日急に「俺、フリーランスなるわ、なる、なるわぁ」って言って
アキナ:3年間くらい音沙汰なくて、やっと帰ってきたと思ったらずーっとひよこひよこひよこひよこ。
アキナ:部屋みて!部屋みてよ!!!黄色!ここは風の谷かしら?ってくらい床が黄色!黄金に輝いてる!
正太郎:お、ちょっとおもしろいじゃん。
アキナ:面白さは求めてないの!!!!!
アキナ:ずーっとぴよぴよぴよぴよ、うるさい!ひま!つまんない!!!
正太郎:オス、メス、メス、オス、オス
ひよこ:ぴよ!ぴぴ!ぴよよ!ぴっよ!ぴよーん!
アキナ:もう無理。
正太郎:なにが。何が無理なんよ。オス。
ひよこ:ぴっよ
アキナ:別れる。もう正太郎とは別れる。
正太郎:なっ、おま。メス。
ひよこ:ぴよぉん
正太郎:さっきから聞いてれば好き勝手言ってるけどな、アキナ。オス。
ひよこ:ぴよ
正太郎:この、ひよこの性別鑑定士が居なかったら、どうなるかわかるか。オス。
ひよこ:ぴよ
アキナ:しらない、どうでもいい。
正太郎:いいか、まず卵を産ませるメスのにわとりと食肉にするオスの鶏の区別がつかなくなる。はい、メス2匹。
ひよこ:ぴっよーん、ぴよぉーん
正太郎:そうすると、本来卵を産ませるはずのメスを食肉に回す事になる。オス。
ひよこ:ぴよ
正太郎:するとどうだ?見る見るうちに鶏とひよこの数が激減。
正太郎:鶏程効率のいい食物があるか!?一気に世界は破滅だ。メス。
ひよこ:ぴよぉんぴよぉぉぉほぉん
アキナ:えっと、つまり……?
正太郎:ひよこ鑑定士っていうのは、世界を守ってるんだよ。オス。
ひよこ:ぴっ
アキナ:何それ超かっこいいじゃん。
正太郎:だろ?それに近年ではひよこ鑑定士の給料もあがってきて年収600万くらいだ。
ひよこ:え、割ともらえますね?
正太郎:ひ、ひよこが喋った!?
アキナ:え、えええええ!!!!
ひよこ:ええ、正太郎さん、ひよこだって喋りたくもなりますよ。
アキナ:びっくり
ひよこ:はは、ちなみに正太郎さん、私はオスですか?メスですか?
正太郎:む、少し待ってくれよ、うん、お前はオスだな、間違いない。
ひよこ:ふふ、やはりそうですか、そうじゃないかとは思っていました。
アキナ:おいしいおにくになるんだよ
ひよこ:ええ、それが世界を回すんです、まかせてください。
ひよこ:でもね、正太郎さん。
正太郎:ん……?なんだ?
ひよこ:いくら僕らひよこのオスとメスをね、瞬時に判断できたとしてもね。
ひよこ:一番大事なものを、あんた、鑑定できてねぇよ。
正太郎:んな……
アキナ:一番、大事なものって……?
ひよこ:オスでも、メスでもない。
ひよこ:正太郎さん、アンタぁ、今一番鑑定しなきゃいけねぇのはよ。
ひよこ:オスでも、メスでもなく、「キス」、じゃあ、ネェのかい?
正太郎:・・・・っ!!!!
アキナ:ひよこ・・・・(とぅんく)
ひよこ:正太郎さん、いくら世界の食物フローが改善されたって、どうにもならねぇもんが一つある、そうだろ?
正太郎:ああ……そうだな、そうだ、忘れてたよ、そう、オスやメスなんかより、俺はアキナとの「キス」を鑑定しなきゃ。
アキナ:しょ、しょうたろぉ(頭沸騰しちゃうよ!!!!はにゃぁぁぁぁ)
ひよこ:さあ、特上の「キス」を、鑑定してくれよ、フリーランスの凄腕鑑定士さん?(きらりんレボリューション)
正太郎:ああ!!
正太郎:アキナ……ぶっちゅうううううう!!!!!!
アキナ:しょうたろぉ!ぶっちゅううううう!!!!!
ひよこ:そうして、正太郎とアキナは特上の「キス」を鑑定して、最高の愛を手に入れたって話さ。笑えるだろ?
ひよこ:その後どうなったかって?はっは!野暮な事を聞くんじゃあねえぜ?そう、ほろんだのさ、地球が。
ひよこ:ぴよっ

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