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臍帯とカフェイン

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朗読詩「もしもこの命が終わるなら」

もしもこの命が終わるなら

もしもこの命が終わるなら
その瞬間に大きく息を吸って
すこしでも胸を張ったまま
終わりを迎えたい
もしもこの目が見えなくなるなら
美しくて息を飲む風景よりも
誰かの寂しい路地裏を
目に焼き付けておきたい
もしもこの耳が聞こえなくなるなら
一番長く鳴く鳥の
はじまりの一番と
終わりの掠れた鳴き声を
聞きながら耳を澄ませたい
もしもこの足が無くなるなら
誰にも邪魔されない
孤独の沼に嵌りながら
足先の冷たさを感じたい
もしもこの手が無くなるなら
さいごの手紙は
書かなくてもいい
ほんのすこしだよ
そうやって終わりのことを
考えるのは
黙って俯いて
未来の話なんて
聞かなくたって
本当は構わないんだ
もしもこの命が終わるなら
寒空の下の恋人たちの繋いだ手を
夢に見ながら終わりたい
もしもこの命が終わるなら
黒くて長いピカピカの机に
ほっぺたをあてながら終わりたい
もしもこの命が終わるなら
終わらないでくれと何度も泣いて
みっともなく最後を迎えたい
もしもこの命が終わるなら
終わらなくてもいいよって
しぬのがこわい
きみにつたえたい。
こわいよねって
きみにつたえたい。

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