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臍帯とカフェイン

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socks life(0:1:3)

【配役】(0:1:3)

◆ウィンストン:

元・売れない画家。まだ、レストランの給仕。ウィンストン・パノマール。

作中男性だが、性別は不問とする。


◆メイヴ:

元・天才役者。国立劇団座長。メイヴ・ハーティ。

作中男性だが、性別は不問とする。


◆クロード:

元・若き天才俳優。国立劇団の専属脚本家となった。クロード・クリスウェル。

作中女性だが、性別は不問とする。


◆リリアーナ:

不思議な雰囲気のあるウィンストンのフィアンセ。リリアーナ・パズス

女性。


すべての創作者と、すべての表現者へ。

0:メイヴ宅。テーブルの上にはフォークやナイフが並ぶ。


ウィンストン:は、破滅的に……破壊的に……絶望的だあ!!!!!


クロード:ウィニー、うるさい、それも減点です。


ウィンストン:も、もう嫌だぁ!!!


リリアーナ:嫌なの?ウィンストン……


ウィンストン:い、嫌じゃない……好き……


メイヴ:そういう事じゃあないだろ?


ウィンストン:もう訳わかんなくなってきちゃった……


リリアーナ:「角の折れたユニコーン」?


クロード:いや、これは多分「翼の折れたペガサス」だね


メイヴ:まだまだだな、お前たち。これは、「沸騰したチョコチップアイス」だよ。


リリアーナ:ああー!なるほど!これが!


クロード:惜しかったなあ。


ウィンストン:君たち僕で楽しんでないかい。


リリアーナ:楽しいわ!あなたの話をしてるとなんでも楽しい!


ウィンストン:え、えへへへ、そう?


リリアーナ:うん!うふふふ


クロード:ちょろ過ぎでしょ。


ウィンストン:うるさいな、いいでしょ、ちょろくたって!


メイヴ:……ぷっ、あははは!


メイヴ:本当、お前ら仲がいいな。


クロード:仲良くないです。


ウィンストン:仲良くないよ!!


リリアーナ:仲良くないの……?


ウィンストン:仲良くする。


クロード:なんでだよ。


ウィンストン:リリィの悲しい顔みたくないだろ!?

ウィンストン:それとも何!?クロードはそういうの見たいタイプの人間なの!?


クロード:僕のことなんだと思ってるんだ?君は。


リリアーナ:ふふ、仲良しだね


メイヴ:ね、仲良しだな


クロード:仲良くないですってば!!!


ウィンストン:仲良くしようよ!!!!


メイヴ:あはははは!もう、やめてくれ、腹痛い。


クロード:はー……もう。

クロード:ほら、もう一度最初からですよ、ウィニー。


ウィンストン:ぐ、ぐぅ……はい……やります……。


リリアーナ:頑張って、ウィンストンっ!


ウィンストン:う、うん!

ウィンストン:えっと、まず、ナイフとフォークは並んでるやつの内側から使う……


メイヴ:外側だよ。外側。


ウィンストン:んなぁ!もう!外側か!

ウィンストン:あああ、もう、ややこしいよ!

ウィンストン:近いところから使ったほうがやりやすいじゃない!?

ウィンストン:こんなの非効率的だよ!破壊的に非効率だぁ!


クロード:食事に効率とか求めないんですよ、特に上流階級の方は。

クロード:外側から使う方が見た目も美しいでしょ?


ウィンストン:美しいの?美しいのかな……美しいか……?

ウィンストン:美しいってどういうこと?

ウィンストン:美しさってなんなの!?

ウィンストン:ああもうわかんないよ!


メイヴ:なあ、リリアーナ。


リリアーナ:はい、なんですか?


メイヴ:こういう感じのウィンストン、どう?


リリアーナ:ふふ、とっても可愛い。


メイヴ:はは、だよな。


リリアーナ:うん、なんだか口の中いっぱいにひまわりの種を詰め込んじゃったハムスターみたい。


メイヴ:ハムスターぁ?


リリアーナ:ええ!ハムスター!

リリアーナ:ちょっと眉毛が八の字になってる所がね、とってもキュートなの!


メイヴ:ハムスターに眉毛はあるのか?


リリアーナ:あったら、そんなかんじだわ、きっと!


メイヴ:君も大概面白いな。


クロード:はい、そこ、私語は謹んで!

クロード:ウィニーが集中できなくてコメカミからスライム出てきそうです。


ウィンストン:世の中のテーブルマナーなんて全て爆発してしまえばいい。


クロード:レストランの給仕が言っていいセリフじゃないぞ、ウィニー。


ウィンストン:世の中のレストランなんて全てチワワになってしまえばいい。


リリアーナ:わー!レストランがチワワに?とっても可愛い!


クロード:リリアーナ、ややこしくなるからお静かに。


リリアーナ:はーい、ごめんなさい。


ウィンストン:世の中のクロードなんて全てケルベロスになってしまえばいい。


クロード:もはやどういう感情なんだそれは。


メイヴ:少し休憩するか?ウィンストンもクロードも疲れたろ?


ウィンストン:さ、賛成、賛成だよ。

ウィンストン:休憩しよう、絶対休憩しよう。


クロード:はあ。10分だけですよ?


ウィンストン:ああ!女神の10分間!最高の10分間!


メイヴ:なかなか時間が掛かりそうだな、ウィンストン?


ウィンストン:うー……なんかもう、頭の中がグルングルンで訳がわからなくなってきたよ……。


クロード:レストランの給仕ならテーブルマナーくらい知ってそうだったんだけどなあ。


リリアーナ:ウィンストンのレストランは大衆向けの所だから、テーブルマナーとかはなかったもの。


ウィンストン:うう……そうなんだよね……。


メイヴ:この年で新しい事に挑戦できるわけだろ?

メイヴ:最高じゃないか、そんなの。


ウィンストン:そういうものかなぁ……。


メイヴ:そういうものだよ。

メイヴ:いつだって、新しい体験や新しい経験が俺たちには最大の栄養だろ?


クロード:その考え方、いいですね。


ウィンストン:……そっか、そうだよね。

ウィンストン:出来ないことを恥じるんじゃなくて、学べる事を喜ぶべき、か。


メイヴ:そう、学びは俺たちの味方だろ?いつだってさ。


ウィンストン:……そうだね、そうかもしれない。


クロード:……少し、やる気でた?


ウィンストン:やる気は、あるよ?最初から!


クロード:そうかあ??


ウィンストン:あ、あるよお!


リリアーナ:ふふ、やる気はばっちりだったわよね。


ウィンストン:う、うん。やる気だけは……。


リリアーナ:ナイフでね、スープを飲もうとしてたの、ほんと今思い出しても可愛い。


ウィンストン:い、言わないでよ!リリィ!


クロード:ウィニー、それはもはや知識とかの問題じゃない。


ウィンストン:緊張してたんだよぉ!!!


メイヴ:はははは、まぁ、緊張もするよな。


ウィンストン:うー……するよぉ……。


リリアーナ:するの?


ウィンストン:するでしょう!!!

ウィンストン:そりゃ、するでしょうよ!!!

ウィンストン:だって……だって……けっ、けけ

ウィンストン:けけけけけけ!!!!


クロード:結婚?


ウィンストン:うわーーーーーー!!!!!


メイヴ:クロード、自分から言わせないと。


クロード:あ。またやってしまいました。


リリアーナ:ふふふふふふ、可愛い。


ウィンストン:ぼ、僕は、僕は!僕はもう!

ウィンストン:「暴走するオニテンジクネズミ」だよ!もう!


クロード:オニテンジクネズミってなに?


リリアーナ:カピバラぁ~!


クロード:あー、カピバラかぁ。


メイヴ:あれだけ女っ気のなかったウィンストンが俺より先に結婚かぁ。

メイヴ:なんだか先を越されてしまったなぁ。


ウィンストン:ま、まだだよ!まだ!結婚の!

ウィンストン:あ、挨拶にいくって話なんだから!


クロード:挨拶に行くならそれはもう結婚だろ?


ウィンストン:そ、それは、そうだけど、そうなんだけと!

ウィンストン:あんまり結婚結婚って言わないでー!!!


リリアーナ:結婚、嫌?


ウィンストン:嫌じゃない、今すぐしたい。すぐしたい。


リリアーナ:ふふふ、私も。


クロード:……ねえ、リリアーナ、なんでこんな奴がいいの?


ウィンストン:こんな奴ってなんだよ!クロード!失礼だぞ!


リリアーナ:ふふ、なんでだと思う?クロード


クロード:んー……見てて飽きないから?


リリアーナ:あはは!それもあるかもね!


ウィンストン:あるの!?


リリアーナ:もちろん!あなたと居て退屈したことなんて無いもの。


ウィンストン:え、えへへ、照れるな。


クロード:ウィニー、その顔やめて。「伸ばしすぎたナン」みたいになってる。


ウィンストン:い、いいだろ!?ナンは伸びてたほうが!!


クロード:はいはい、静かに。

クロード:それで?リリィ、他にも理由があるって言い方だったけど?


リリアーナ:……グリーンブーツ、初公演の時にね。

リリアーナ:二人で見に行ったの。


クロード:来てくれてたんだ。


リリアーナ:うん。絶対に観たいって思ってたから。


クロード:嬉しいな。


リリアーナ:その時にね、ウィンストンが遅れてきたの。


クロード:ウィニー……?


ウィンストン:僕は本当ダメなやつです。


リリアーナ:ふふ。

リリアーナ:その時の理由がね、長さの合わない靴下をね。

リリアーナ:切って調節してたからなの。


クロード:ウィンストン・パノマール。


ウィンストン:僕は本当ダメなやつです。


リリアーナ:他のものを履けば良かったのに、って私は言ったの。

リリアーナ:その時ウィンストンはね、気づかなかったって言ってて、すごくね、可愛い人って思ったの。


クロード:メイヴさん、ひょっとしなくてもリリアーナって変わってますよね。


メイヴ:面白いよな。


リリアーナ:でもね、違うのよ。


クロード:違う?


リリアーナ:うん。違うの。その靴下じゃなきゃ、ダメだったのよ。


ウィンストン:……。


リリアーナ:ね、ウィンストン?


ウィンストン:……そう、だね、へへ。


リリアーナ:「緑色」だったのよ、その靴下。


クロード:……緑色?


リリアーナ:うん、緑色。大事な親友二人の劇をね、観るのに。

リリアーナ:どうしても、緑色の靴下を履きたかったのよ。


クロード:……。


リリアーナ:靴下なんてね、ほとんど見えないでしょ?

リリアーナ:誰にも、ほとんど見せない、なのにね、拘りたかったのよ。

リリアーナ:その拘りを守るためならね、靴下を切れちゃうの、ウィンストンって。

リリアーナ:わたしね、彼のそんな所がね、愛しくてたまらないの。


ウィンストン:……は、恥ずかしくて、なんか、泣けてきちゃうよ……?


リリアーナ:ふふ、泣いて?

リリアーナ:泣いちゃうあなたのこともね、大好き。


クロード:……。


メイヴ:クロード?


クロード:ウィンストン、もう1回、やろう、テーブルマナー。


ウィンストン:え?


クロード:何回でも付き合うよ、何時間でも。


ウィンストン:クロード……。


クロード:言っとくけど、君のためじゃないよ。


ウィンストン:ええ!?


クロード:こんなに愛が深い人、逃しちゃだめだ。

クロード:僕はリリアーナのために、君にテーブルマナーを教えるんだ。


リリアーナ:それって、結局ウィンストンのためってことじゃー……


メイヴ:リリィ、しー。


リリアーナ:あっ、ふふ、しー、ね。


ウィンストン:……そうだね、うん、ありがとうクロード。頑張るよ、僕。



0:集中してテーブルマナーの練習をするウィンストンとクロード



メイヴ:……なあ、リリアーナ。


リリアーナ:はい、なんでしょう?


メイヴ:良い奴なんだよ、あいつ。


リリアーナ:ふふ、ええ、とても。


メイヴ:友達も多くてさ、飄々としてるところもあってさ。


リリアーナ:うん。


メイヴ:でも、気が小さくて、無邪気で、すぐ自信無くしてさ。


リリアーナ:うん。


メイヴ:部屋の隅で、コケ生やしてたり

メイヴ:なかなか立ち直れなかったり

メイヴ:なのにいっちょ前にさ、人の心配ばっかりするんだ。


リリアーナ:うん、知ってる。


メイヴ:自分が辛い時にさ、他人のために自分を犠牲に出来るやつなんだよ。

メイヴ:自分よりさ、相手のことを考えられるやつなんだ。

メイヴ:少し、考え方が独特なだけでさ。


リリアーナ:うん、そんな所がね、大好き。


メイヴ:俺も。


リリアーナ:ふふ、一緒ね。


メイヴ:ああ。


リリアーナ:寂しい?


メイヴ:……ちょっとね。


リリアーナ:大丈夫だよ、きっと。


メイヴ:そうかな。


リリアーナ:うん。だって、ウィンストンもあなたも。

リリアーナ:相手の為に、自分の弱さを見せられる人、でしょ?


メイヴ:……そう、だな、そう在りたい。


リリアーナ:知ってるようで知らない事も、知らないでいて知ってる事もある、でしょ。


メイヴ:ん?


リリアーナ:ウィンストンもね、同じ事言ってたから。


メイヴ:え?


リリアーナ:メイヴは、自分が辛い時に他人のために自分を犠牲にできる人なんだ、って。


メイヴ:……。


リリアーナ:知らないでいることなのに、二人は同じこと言ってる。

リリアーナ:だから、きっと大丈夫。


メイヴ:やっぱり、寂しいな、なおさら。


リリアーナ:ふふ、結婚式であれやってみる?

リリアーナ:誓いの言葉の最中に入ってきて……


メイヴ:その結婚、ちょっと待った!ってやつか?


リリアーナ:そうそれ!楽しそう!


メイヴ:あははは!確かに一度は憧れるけど、それはいつかの為にとっておこうかな!


リリアーナ:ふふ、残念。


メイヴ:よろしく頼むよ、あいつのこと。


リリアーナ:当然。私が一番彼の事愛してるもの。


メイヴ:言うねえ。


リリアーナ:ふふ、だってね、私、どうすればいいか本当は知ってるの。


メイヴ:え?



0:リリアーナとメイヴが話している中、段々とウィンストンとクロードの声が荒ぶる。



クロード:だぁから!!!!

クロード:スープはスプーンで掬って飲むんだよ!!!

クロード:なんでフォークなんだよ!

クロード:あんたはカルボナーラをスプーンで食うのか!?


ウィンストン:違う違う違う!!!今のは違う!!!

ウィンストン:ちょっと間違えただけ!間違えただけだってば!


クロード:あー!もう!何回言えばわかるんだ!もう!

クロード:もはや全部箸で食べろ!

クロード:僕はジャポネーゼから来ましたって自己紹介しろ!


ウィンストン:どう考えてもジャポネーゼ顔じゃないからそんなの無理だよぉ!


リリアーナ:ふふふ、ねえ、二人とも、ちょっといい?


クロード:はあ……なんですか、もう……。


ウィンストン:うう……リリアーナ……角が折れそうだよ僕……


リリアーナ:ねえ、ウィンストン?


ウィンストン:うう……なあに……?


リリアーナ:この端っこのフォークはね、最初の前菜を食べるのに使うの。絵を描く時のね、下書きに使う炭ってこと。


ウィンストン:……なるほど?


リリアーナ:それでね、隣のこれはメインディッシュ用のフォークだから少し大きいでしょ?これはね、下地の黄色を塗る時の太めの筆ね。


ウィンストン:そうか!じゃあこの隣の奴は最後のデザートを食べる用だから小さいんだ!仕上げ用の筆ってことか!


リリアーナ:そう!大正解!さっすが私のウィンストン!


ウィンストン:なるほど!あー、そういうことか!

ウィンストン:クロード、もう一度お願い!


メイヴ:はは、敵わないよ、君には。

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