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臍帯とカフェイン

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ホットドッグ・パーティ(0:0:2)

【配役】

◆ガス:

 小劇団「テレサ」の俳優。ガスパール・トラットリオ。劇中の性別は男性ですが性別不問。


◆アクセル:

 小劇団「テレサ」の俳優。アクセル・エスコバル。劇中の性別は男性ですが性別不問。




すべての創作者と、すべての表現者へ。




ガス:座長さんは?


アクセル:急患だってさ。


ガス:ふーん。


アクセル:塩もみしてポリポリ食べるんだろうなあ。


ガス:俺は酢につけてピクルスにする方が好きだけど。


アクセル:おい!ガス!ガスパール!それはキューカンバーだろってツッコミを待ってたんだぜ


ガス:それはキューカンバーだろってツッコミを待ってるってわかったから乗ったんだぜ、アクセル


アクセル:だろうなと思った


ガス:思ってると思った


アクセル:思ってると思ってると思った


ガス:思うのやめた


アクセル:ツレないぜそりゃ


ガス:お前俺の事好きだよな


アクセル:お前のほうがだろそれは


ガス:アイラブユー


アクセル:言わねえよ


ガス:ツレないぜそりや


アクセル:で、どうする?


ガス:まぁ中止だろうな、座長が居ないんじゃ話もまとまらないだろ?


アクセル:そりゃそうだ、俺は何にも決めらんない


ガス:それ誇って言うことか?


アクセル:何にも決めないでここまで来たんだからむしろ誇るべきだろとも思う


ガス:それはそうか


アクセル:納得されるとそれはそれで傷つくんだけど


ガス:めんどくさいやつだな


アクセル:なんかやっぱ止める役かツッコミ役が欲しいところだよな


ガス:今更だぜアクセルそんなのは


アクセル:座長~、リモートで良いから止めにきてぇ~


ガス:はいはい、解散しましょうね~

ガス:無意味な会議ほど意味の無いものは無いからね~

ガス:明日にリスケでいいか座長にメールしとくわ


アクセル:明日で大丈夫なのか?


ガス:まあ、夜からなら大丈夫だろ、これ、会社員の辛いとこね


アクセル:接待だとか言ってなかった?


ガス:あ、やば、そうだった

ガス:やっぱり明後日でよろしくしてもいいですかね


アクセル:俺は別にいつでも


ガス:……ホントに仕事辞めたの?


アクセル:辞めたんじゃないの、探してるだけ


ガス:目処は?


アクセル:実は立ってる


ガス:お、珍しくやるじゃん


アクセル:まあね


ガス:どんな仕事?


アクセル:大統領


ガス:それは目処たってるって言わないんだよ、アクセル


アクセル:ツッコミありがとう、ガスパール


ガス:今は?


アクセル:有給消化期間、悠々自適ってこういうことね


ガス:それもまたひとつの道だよな


アクセル:あんがと


ガス:やめないよな?


アクセル:なにを?


ガス:テレサ。


アクセル:お前それ本気で言ってる?


ガス:一応。


アクセル:俺がテレサを辞める時は、多分国立劇団に隕石がぶつかって粉々になる日だわ。


ガス:安心した、無理すんなよな。


アクセル:無理してる感じに見える?


ガス:全然。


アクセル:だろ?


ガス:おつかれさん。


アクセル:……なんだよ?


ガス:大変だったの、なんとなくわかるからさ。仕事。


アクセル:……まあねえ。


ガス:よく耐えたよ。


アクセル:まあね。


ガス:生活は?大丈夫なのか?


アクセル:仕事終わったらテレサで演劇やるだけの生活で金使うことあると思う?


ガス:無いな。


アクセル:ホットドッグ代ぐらいなもんだぜ。

アクセル:2年くらいは遊んで暮らせるよ。


ガス:案外溜まってるのね、アクセルちゃん。


アクセル:おっと、だからって奢ったりはしないぜ?


ガス:だめ?


アクセル:だあめ


ガス:ホントにだめ?


アクセル:だあめ


ガス:ホットドッグでも?


アクセル:ホットドッグならいいよ


ガス:優しいじゃん


アクセル:ホットドッグは誰かと食べて初めて美味いからな


ガス:名言集乗せとけそれ


アクセル:腹、減ってる?


ガス:超減ってる


アクセル:ホットドッグ買ってきてあるけど、食べる?


ガス:当然!流石だぜ相棒!お前ってホットドッグ頭から食べる?尻尾から食べる?


アクセル:ホットドッグの頭と尻尾ってどっち?


ガス:そんなもの後ろ足がついてるほうが尻尾だろ


アクセル:本当にホットドッグ食べたことある?


ガス:あれ?このやり取り前にもやらなかった?


アクセル:毎日やってるんだけど記憶大丈夫そ?


ガス:飽きないよな、俺たちも。


アクセル:まぁ飽きないからこうやって毎週一緒に演技してんだけど。


ガス:それはそう、間違いなくそう


アクセル:はい、ホットドッグ、ケチャップも。


ガス:サンキュー。これ、このさ(ケチャップの袋を口で噛みきろうとする)これがさ


アクセル:喋るか開けるかどっちかにしろよ


ガス:んぎー!(袋が開く)

ガス:開いた開いた、よいしょっと


アクセル:あーあー、もう、ほら、はみ出してるよケチャップ


ガス:このケチャップをさ、ホットドッグにかける瞬間が一番幸せじゃない?


アクセル:いいから手元見てかけろよ、はみ出してるって


ガス:頭からシッポまでこうやってさ


アクセル:だから頭とシッポどっちだって


ガス:あ、やべ、指についた


アクセル:ああもう、だから言わんこっちゃない

アクセル:ナプキンは?紙は?ないの?


ガス:ポケットにあるかも、とって、とって


アクセル:自分でとんなさいよ


ガス:このケチャップ塗れの手で?


アクセル:ガスパールさんは手がかかりますね、よっと、動くなよ、とるから


ガス:優しくして


アクセル:気色悪いからやめるねごめんね


ガス:嘘だって、頼むよ


アクセル:はいはい、動くなよ……っと


ガス:なんかくすぐったい


アクセル:あー、なんか紙入ってるわ、よいしょ


ガス:あ、それ違うわ


アクセル:……手紙じゃん、誰から?


ガス:「先生」から。


アクセル:は!?まじ!?


ガス:すっかり忘れてた。

ガス:今日皆で読もうと思って持ってきたんだった。


アクセル:お前それ早く言えよ。

アクセル:え、どうする、え、読む?ていうかなんでお前に手紙来んの?


ガス:え、だって俺たち恋人関係だったから。


アクセル:…………………………まじ?


ガス:嘘だけど。


アクセル:お前ホントそういうところだよ。


ガス:そういう所が好き?


アクセル:大好き。読もうぜ。


ガス:座長居ないのに?


アクセル:居ないからこそだろ。


ガス:それもそうだ、よし、貸せ、開ける。


アクセル:ばかお前、手ケチャップまみれだろうが。


ガス:ホットドッグパーティに遠慮なんて要らねえんだ!


アクセル:手紙がケチャップまみれになるだろ!


ガス:手紙パーティにケチャップなんて要らねえんだ!


アクセル:……そうだな?


ガス:あ、うん、そうだな。


アクセル:とりあえず手を拭けよ。


ガス:ごめん先生、俺危うく先生の手紙をケチャップ臭くするとこだったわ。


アクセル:もっとちゃんと謝りな。


ガス:ごめん先生。


アクセル:もっと。


ガス:先生ごめん。


アクセル:逆にしただけだろ。


ガス:やっぱお前開けて、それ。


アクセル:はじめからそのつもりだけど。


ガス:俺はホットドッグ食べるわ。


アクセル:よく噛んで食えよ。


ガス:(食べながら、当たり前だろと話す)


アクセル:なに?なんて言った?


ガス:(食べながら、いいから開けろと話す)


アクセル:はいはい、開けますよっと。

アクセル:……本当に開けていいのかな?


ガス:(ホットドッグをもぐもぐしたあと飲み込む)

ガス:勢いで開けさせようと思ったのに、いきなり素に戻るなよアクセル。


アクセル:だって、座長居たほうがいいんじゃないの、こういうのって。


ガス:ちゃんとあの後仲直りしたろ?


アクセル:した。


ガス:薔薇の花束プレゼントして送別会もしたろ。


アクセル:12本の花束って、私と結婚してくださいって意味だったらしいよ。


ガス:だからあの時先生苦々しい顔してたのか。


アクセル:本気にしてたらどうしよう。


ガス:本気にしてたら手紙送って来ないだろ。


アクセル:そうか。


ガス:そうだよ。


アクセル:そうか?


ガス:バカになれよ、アクセル。


アクセル:無茶言うなよ、これでも元銀行マンだぞ。


ガス:よっ、エリート!


アクセル:辞めたけど。


ガス:返しに困ること言うなよな、ほんと。


アクセル:頭の中をPDCAサイクルがデスマーチ鳴らしながら回っていく……


ガス:おおお……やめとけやめとけ、考えるのやめとけ……


アクセル:……で、ホントに読んでいいと思う?


ガス:……ちゃんと宛名のとこ、見てみろよ。


アクセル:……アクセルと、ガスへって書いてある。


ガス:じゃあ、俺たちが読むべきだろ?むしろ。


アクセル:……なあ、ガス。


ガス:なんだよ。


アクセル:ちょこーーーっとだけ、ちょこっとだけ、弱音言ってもいい?


ガス:いいよ。ちょこっとだけな。


アクセル:傷つけちゃってたら、どうしよ。


ガス:先生のこと?


アクセル:うん。


ガス:めちゃくちゃ悩んでる相手に、自分の気持ちぶつけ過ぎたから?


アクセル:う、うん


ガス:あげく、相手が話を聞ける状態じゃないかもしれないのに追い詰めるすれすれの感情でキャンキャン吠えたから?


アクセル:ね、ねえ、俺のこと嫌い?


ガス:あれはお前にしか言えないことだったよ、アクセル


アクセル:……そうかな


ガス:そうだよ、売り言葉に買い言葉だったけどさ

ガス:あの時お前が言ったことは何一つ間違ってないし

ガス:先生にも、それは伝わってると思う


アクセル:……そうかなああああ?


ガス:お前案外うじうじ考えすぎるよな


アクセル:そうじゃなきゃ、仕事やめたりしてないってええええ


ガス:ははは、それもそっか

ガス:……あの時、俺はお前のこと誇らしかったよ


アクセル:……そうなの?


ガス:うん。

ガス:一番、対等だったろ?


アクセル:対等……?


ガス:そう。先生と、一番対等だった。

ガス:だから、「怒れた」んだよ。


アクセル:そう、なのかな。


ガス:そうだよ。

ガス:結局俺たちがやってる事ってさ、コミュニケーションの延長じゃん。


アクセル:演劇?


ガス:そ。表現である以上に、コミュニケーションじゃん。演劇はさ。

ガス:絶対一人では、完成しないんだから、演劇は。


アクセル:……そうかも。


ガス:気を使ってるだけじゃ、だめなんだよ、俺たちは。

ガス:ぶつかる事が出来る、それこそがさ、必要なんだ、俺たちには。

ガス:平和な道なんて、演じる意味、無いだろ?きっと。


アクセル:……ふう。ありがと、相棒。


ガス:ここからは有料な。


アクセル:サブスクだといくら?


ガス:月5ホットドッグ。


アクセル:年間だと?


ガス:年50ホットドッグ。


アクセル:安いの?それ。


ガス:わかんない。


アクセル:……よし、開けるか。


ガス:よし、開けろ開けろ。


アクセル:……ぺりぺりぺり。


ガス:口で擬音を発しても手紙は開かないのであった。


アクセル:心の準備って知ってる?


ガス:前振りが長いと冷めるって知ってる?


アクセル:知らなかった。


ガス:覚えときな。


アクセル:よし、開けます。


0:アクセル、手紙を開ける。


ガス:……なんて書いてある?


アクセル:……は、はは


ガス:なあ、おい、なんて書いてあるんだよ


アクセル:ガス


ガス:なんだよ


アクセル:ガスパール


ガス:だからなんだって


アクセル:パーティだ


ガス:……ええ?


アクセル:今日はホットドッグ・パーティだ!!!!










魔法は、いつかなくなってしまう。


でも、「魔法や幻」だと思っていたことが、


いつの日か、「現実」になるときが来る。


その時きっと、あなたは最高の魔法を唱えたあとだ。


「諦めない」


ただ、それだけ。


それだけの、魔法が、幻を、現実にしていく。

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