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魔法少女を、終わらせて。(0:1:3)

【配役】


◆ひびき:

 性別不問、男性として演技 双子の妹『藍沢 れん』の兄。 妹の一周忌に、ずっと閉ざし続けていた妹の部屋を開けたところ 契約魔獣である『ちりぢん』と出会う。 妹の死をまだ受け入れる事のできないひびきと、 ひびきとれんの区別がつかない『ちりぢん』。 『恋宮はあとになれ』と呼びかける契約魔獣を前にひびきは揺れる。 人は死ぬ。簡単に。『恋宮はあと』がいた事で世界は恋宮はあとにすべてを擦り付けていた。 なら、恋宮はあとなんて居ない方がいいのでは? 彼の葛藤が始まる。


◆ちりぢん:

 藍沢れん扮する『恋宮はあと』の契約魔獣だった。ちりぢんは錬金術の力を経て誕生した契約魔獣であり、彼に触れて呪文を唱えることで藍沢れんは『恋宮はあと』となっていた。 れんとひびきが同じ魂の形をしているがために、区別がつかずひびきをれんと勘違いし 変身して闇の住人と戦う事を強要する。 死という概念に希薄。ひびきの言う『れんの死』を理解できず、語る言葉がひびきの知らないれんの一面を埋める。


◆『にぐれど』:

  錬金術を悪用し、使役魔獣を一般民に植え付けていく存在。現在『U市(舞台)』では、使役魔獣に取り憑かれた人々を『びいすと』と呼び、出現の際は射殺の許可が降りている。 警察の発砲により『びいすと』が死ぬ事を悲しく思っており、鋭意死なない個体を作成中。 恋宮はあとが出てこなくなった事で退屈さも感じている。


◆れん:

 『びいすと・はあと』と兼ねる。

 女性配役。

 終わらせてほしい、魔法少女を。




※注意

この作品は、

【★ゲキアサ】魔法少女は死んでいた。

の続きとなっています。

必ず先に上記シナリオを読破するか、

上演を行ってからこちらのシナリオをお読みください。

ーーーー

こちらの作品は、ヒスイ様主催の声劇企画「ゲキアサ!-全員、メタモろーぜ!-」の一般参加シナリオです。 https://gekiasa.amebaownd.com/ ※このシナリオのアーカイブは、【ゲキアサ】公式企画のアーカイブ総数にはカウントされません。



【本編】



れん:(モノローグ)

れん:「恋宮(こいみや)はあと」は絶対無敵の皆の希望。

れん:魔獣『びいすと』を浄化して、皆の笑顔を取り戻す。

れん:絶対無敵で、究極最強の、魔法少女。

れん:私は、みんなを守れてしあわせだ。すごく、すごく。

れん:私の大切な人がここには居て、私が大事にしたい時間がここにあって。

れん:それを、私と、ちりぢんの錬金術の力で守れることが、嬉しくて堪らない。

れん:だから、終わらせなくちゃ。

れん:魔法少女を、終わらせなくちゃ。



0:決戦



『にぐれど』:ちぃっ……!!! この、似非(えせ)魔法使い

『にぐれど』:いや、魂のスペア風情が。


ちりぢん:効いてるッッ!!効いてるもふ!ひびき!


ひびき:「ひびき」じゃない!今は「恋宮はあと」だって、言ってるだろ!ちりぢん!


ちりぢん:ま、また間違ったもふ!まだ慣れないもふー!!!


『にぐれど』:まだ、まだだ。

『にぐれど』:『びいすと』の材料はいくらでも転がっている。

『にぐれど』:集えッッ!!『ほむんくるす』達よ!!

『にぐれど』:貴様らの『器』は、熟している!!!!


ちりぢん:また『びいすと』を増やすつもりもふ!ひびき!


ひびき:次から次へと……ッッ!!!

ひびき:ワンパターンなんだよ!!!オラッ!


『にぐれど』:反復行動の継続こそが、物量となり

『にぐれど』:繰り返される波状となってゆく。

『にぐれど』:息が切れているぞ、似非魔法使い。


ひびき:うるせえ!それしか能が無いだけだろ!


ちりぢん:最大出力の光魔法を詠唱するにはまだ魔力が足りてないもふ!ひびき!


ひびき:くっ……なら、肉弾戦で潰していくしか……!


ちりぢん:形状変化させられるもふよ!ひびき!


ひびき:形状……変化……?


ちりぢん:ひびきのイメージした通りに!

ちりぢん:ちりぢんは自分の身体を自由に変化させられるもふ!

ちりぢん:「れん」の時は杖、「ひびき」の時は剣だったように

ちりぢん:さらに形を理想に近づけることができるもふ!!!


ひびき:なるほどね……

ひびき:なら、ちりぢん!!!もっと、もっと大きく!!

ひびき:両手でぶん回すようなッ!巨大な剣に!!!


ちりぢん:任せるもふ!!!


『にぐれど』:それを黙ってみていろと?

『にぐれど』:甘いな、ちりぢん。


ちりぢん:『メタモルフォーゼ!ドラゴンスレイヤー!』


『にぐれど』:くっ……形状変化の速度が、1000年前と段違い……。

『にぐれど』:成長……しているのか?

『にぐれど』:『ほむんくるす』風情が。


ひびき:……悪くないじゃん、ちりぢん。


ちりぢん:おおきくなったもふ!


ひびき:他には!今ならどんな魔法が使える!ちりぢん!


ちりぢん:速度上昇、質量変化、温度構築、魔力の消費が少ない魔法ならなんでもござれもふ!


ひびき:よく、『れん』も使ってたな……!

ひびき:ちりぢん!速度上昇だ!


ちりぢん:任せるもふ!詠唱するもふ!


ひびき:纏(まと)いし風よ!我が身は木の葉、踏みつけるは無量の箱……!!!吐き出すは、大龍(たいりゅう)の吐息!ラピッド・バーニア!


ちりぢん:行くもふ!ひびきーーーー!!!


『にぐれど』:受け止めろ!!!!『びいすと』!!!


ひびき:喰らえ!!『びいすと』!!!



0:巨大な剣を振るい、一刀両断される『びいすと』

0:闇の鎧を砕かれたその身体は、人間へと戻っていく。



ちりぢん:いける!いけるもふ!ひびき!


『にぐれど』:……ふむ。


ひびき:ハァ……ハァ……どーだ、参ったか、くそ錬金術師


『にぐれど』:……物理攻撃と魔法の相乗効果はここまで飛躍的に能力を伸ばすか。

『にぐれど』:なるほど、これも、黄金を研(と)いた結果か、なるほど、なるほど。

『にぐれど』:ちりぢん、私はお前を見くびっていた。


ちりぢん:……人間には、たくさんの可能性があるもふ。

ちりぢん:いがみ合って、奪い合うだけが、人間じゃないもふ。

ちりぢん:『にぐれど』、わかって欲しいもふ。

ちりぢん:魔法と同じなんだもふ。錬金術と同じなんだもふ。

ちりぢん:魔法も錬金術も、使い方一つで黒にも白にもなるもふ。

ちりぢん:黒になったからって、魔法や錬金術が悪いってわけではないはずだもふ。

ちりぢん:人間だって、人間だっておなじなんだもふ。


『にぐれど』:……ふむ。『人間』も、同じ。

『にぐれど』:『人間』にも、可能性は、ある。

『にぐれど』:なるほど、ちりぢん、そうだな、そうなのかもしれない。

『にぐれど』:可能性か、確かに、考慮していなかった。


ちりぢん:『にぐれど』……


『にぐれど』:発想の転換だ、そうだな、なるほど。

『にぐれど』:つまり、こうすればよかったのだ。なるほど。

『にぐれど』:『元となる人間が脆いから、作られる魔獣も弱いのだ』



0:回想



れん:ねえ、お兄ちゃん、ちゃんとハンカチ持った?


ひびき:持ったよ、うるさいな


れん:筆記用具は?お弁当も持った?


ひびき:持ったってば!なんだよ、母親かおまえは


れん:心配なんだもん


ひびき:妹に心配されるほど落ちぶれてません


れん:心配、なんだよ


ひびき:……なあ、なんか最近変だぞ、おまえ


れん:そうかな


ひびき:そうだよ、なんか帰りも遅いしさ

ひびき:やたら絡んでくるし


れん:やたら絡むのは、前から、だよ?


ひびき:……それも、そう、か?


れん:そうだよ、ブラコンだもん、わたし


ひびき:おまえそれ絶対外で言うなよな


れん:なんで?恥ずかしい?


ひびき:恥ずかしくないやついんの?


れん:わたしは、恥ずかしくないよ


ひびき:恥ずかしいヤツ


れん:恥ずかしくありません


ひびき:……やば、話してる場合じゃなかった


れん:ねえ、お兄ちゃん


ひびき:なんだよ、もう遅刻しそうなんだけど


れん:もし、もしね


ひびき:なんだよって


れん:わたしがね


ひびき:はやくしろって


れん:わたしが、わたしじゃなくなっても

れん:お兄ちゃんだけは、変わらないでいてね。



0:決戦の場



『にぐれど』:酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リン、イオウ、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウム、鉄、フッ素、ケイ素。

『にぐれど』:それさえあれば簡単に『肉体』を再生することは可能だ。

『にぐれど』:変身媒体となる『ほむんくるす』は、私が触媒(しょくばい)となればいい。ちりぢんに行える事が私にできないわけがない。



ちりぢん:なにを、言ってる……もふ……?



『にぐれど』:素材は全て、揃っている。

『にぐれど』:なんだ、なんてことは無い、簡単な事だったのだ。

『にぐれど』:成長とは、素晴らしい金貨だな、ちりぢん。

『にぐれど』:礼を言う。私はまだ、深淵(しんえん)に近づけるようだ。



ひびき:さっきからあいつ、なにを言ってるんだ、ちりぢん。


ちりぢん:わからないもふ……酸素に、炭素……?

ちりぢん:フッ素……ケイ…………そ…………?



ちりぢん:………………だめもふ。



ひびき:え?



ちりぢん:だ、だめもふ!ひびき!!!

ちりぢん:奴を!!『にぐれど』を!!!

ちりぢん:止めてもふ!!!!



『にぐれど』:(詠唱)『錬金実行(プラティケ・ラ・ルシミ)』



ちりぢん:だめもふーーーー!!!!!



0:『にぐれど』の身体から、ドロドロと溶けだしたのは

0:人の身体だった。



れん:ぅ……ぁ……あ………………



ひびき:………………そんな、嘘、だろ。


『にぐれど』:簡単な話だ。

『にぐれど』:弱い人間ではなく、強い人間を使えばいい。

『にぐれど』:そう、魔法にも、錬金術にも、『ほむんくるす』にも適合する。

『にぐれど』:『死んだ恋宮はあと』の肉体を使えばよい。


れん:ぁ……ぁ……おにい、ちゃん…………?


ひびき:………………この下衆野郎!!!!!!!


『にぐれど』:『変身』


0:『にぐれど』の詠唱の後、数秒の時が止まった。

0:それは、永遠にも感じられる刹那だった。

0:止まったように、感じただけだったかもしれない。

0:「少女」の叫びが、響く。



れん:(悲痛な叫び)



ひびき:そんな、そんなの、だめだ、れん……!!!

ひびき:そんなの、だめだって、だめだろ!!!!!


ちりぢん:あ……あ……だめもふ……だめもふ!!!!


『にぐれど』:「メタモルフォーゼ、デスサイズ」


『びいすと・はあと』:………………。


ちりぢん:「れん」もふ……ひびき、あそこに、れんが居るもふ。


ひびき:やめろ、ちりぢん。


ちりぢん:居るもふ。「恋宮はあと」が、れんが、居るもふ。


『にぐれど』:なるほど、メタモルフォーゼ、悪くない感覚だ。

『にぐれど』:使われるというのが少しばかり気味の悪さがあるが。

『にぐれど』:『恋宮はあと』、さすがの器だ、魔力の循環が円滑である。


『びいすと・はあと』:……『にぐれど』様、如何なさいましょうか。


『にぐれど』:私を使い、目の前の似非魔法使いを消し炭にしろ。『びいすと・はあと』。


『びいすと・はあと』:……畏(かしこ)まりました。


ちりぢん:……来るもふ!!!ひびき!!!構えて!!!



ひびき:く、くそ……!!!



0:巨大な剣を構え、攻撃に備えるひびき。



『びいすと・はあと』:お兄ちゃん、似合わないよ、そんなの。



0:ほんの一瞬、本当に一瞬で、れんはひびきの目の前で大鎌を振るっていた。



ひびき:ちっ……くしょう!!!!


ちりぢん:くぅっ……!!!


『びいすと・はあと』:まだ、始まったばかりだよ、お兄ちゃん


ひびき:ぐあっ……!!!!


ちりぢん:な、なんて重たい攻撃もふ……ッ!!!


『にぐれど』:素晴らしい、魔力が一切の抵抗なく身体中を巡っている。触媒と呼ぶのも烏滸(おこ)がましい。


『にぐれど』:これは、一体化。同一化だ。

『にぐれど』:これが、これが『びいすと』の最終形態。

『にぐれど』:到達地点。『人間』の可能性!!!

『にぐれど』:『人とホムンクルス』!!

『にぐれど』:『クズ石と黄金(おうごん)』!!

『にぐれど』:史上最大の『錬金術』!!!!

『にぐれど』:素晴らしい、素晴らしいぞ、『びいすと・はあと』!!!!!


ひびき:れん……やめろ……やめてくれ……ッ


『びいすと・はあと』:お兄ちゃんこそ、やめて、抵抗するの


ひびき:くそ……ッ!!!


ちりぢん:ひ、ひびき、もう、攻撃に耐えられ、ない、もふ……!!!


ひびき:ちりぢん!!!頼む!!!持ちこたえてくれ……!!!


ちりぢん:そ、そうしたい気持ちは、やまやま、だ、けど……!!!!


ひびき:ちくしょう……!



0:『びいすと・はあと』から距離を置くひびき



『びいすと・はあと』:逃げられるわけないでしょ、お兄ちゃん



0:大きく振るった鎌が、ひびきを襲う



ひびき:うわあーーーー!!!!


ちりぢん:ひ、ひびき!!!!!



『にぐれど』:脆いな、やはりスペアでしか無いか。

『にぐれど』:双子とは言え、たかが代わりの器。


『びいすと・はあと』:……どうして、こんな事になってるの?ちりぢん。


ちりぢん:れん……


『びいすと・はあと』:お兄ちゃんは巻き込まない、そういう約束で、契約したはずよね、わたし。


ちりぢん:……そう、もふ。


『びいすと・はあと』:お兄ちゃんの居る世界を、大事な人たちが暮らす世界を守るために魔法少女になったのに。

『びいすと・はあと』:ねえ、ちりぢん、おかしいよね、なんで?ねえ、なんでなんでなんでなんでなんで!?


ちりぢん:れ、れん……


『びいすと・はあと』:なんでお兄ちゃんが変身してるの!!???

『びいすと・はあと』:私との約束は!?この嘘つき、嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき!!!!!!!


ひびき:く……れ、れん……


『びいすと・はあと』:お兄ちゃんは黙ってて!!!!!!


ちりぢん:れん……お願い……負けないで……

ちりぢん:その感情は、れんの……れんの本心じゃないはずもふ…………

ちりぢん:その暗い感情は……れんが、れんが持っていたものじゃ、ないはずもふ………………


『にぐれど』:いいや、ちりぢん。

『にぐれど』:『闇』とは本来、人だけが持ちうるもの。

『にぐれど』:罪とは、人間が、人間を、人間たらしめる為に課した、器の形だ。


『びいすと・はあと』:誰でもいいんだ。

『びいすと・はあと』:世界を救うのは、私じゃなくても。

『びいすと・はあと』:そうだよね。だって、テレビでやってるアニメの魔法少女なんて

『びいすと・はあと』:いくら世界を平和にしても

『びいすと・はあと』:一年経ったらまた新しい魔法少女が世界を救ってる。

『びいすと・はあと』:誰だっていいんだ。

『びいすと・はあと』:なんだっていい。

『びいすと・はあと』:魔法少女は、消耗品で、魔法少女は都合良く誰かの世界を救って。

『びいすと・はあと』:魔法少女は、世界を平和にしたら、もう用済み。

『びいすと・はあと』:だから、だから私の事だって、

『びいすと・はあと』:どうだっていいんだ。私じゃなくたってよかったんだ、そうでしょ、ねえ、ちりぢん、私なんかじゃなくたって!!!

『びいすと・はあと』:誰だってよかったんだ!!!!


ひびき:……違う……。


『びいすと・はあと』:お兄ちゃんは黙ってて!!!


ひびき:黙ってられるかよ!!!!!


『びいすと・はあと』:……。


ひびき:大事な妹が!!!間違った事をしてる時に

ひびき:黙ってなんか居られるかよ!!!!


ちりぢん:ひびき…………。



ひびき:魔法少女だから、世界を救うのかよ。

ひびき:魔法の力があるから、誰かを助けるのかよ。

ひびき:違うだろ、なあ、違うよな!?

ひびき:誰かを助けたかったから、魔法少女だったんだ!!

ひびき:世界を救いたかったから、魔法少女だったんだ!!!

ひびき:おまえに適正があったから、ちりぢんはおまえに声をかけたのかよ!?

ひびき:違うだろ、れん、違う!全然違う!!!

ひびき:お前が!!!!泣きながら!!!

ひびき:怖くても、怖くても、泣きそうなくらい怖くても!!!

ひびき:それでもおまえが!!!ちりぢんを助けたから!

ひびき:だから、ちりぢんはお前を選んだんだろうが!

ひびき:だから、だから、おまえが『恋宮はあと』だったんだろうが!



0:回想



れん:(モノローグ)

れん:「恋宮(こいみや)はあと」は絶対無敵の皆の希望。

れん:魔獣『びいすと』を浄化して、皆の笑顔を取り戻す。

れん:絶対無敵で、究極最強の、魔法少女。

れん:私は、みんなを守れてしあわせだ。すごく、すごく。

れん:私の大切な人がここには居て、私が大事にしたい時間がここにあって。

れん:それを、私と、ちりぢんの錬金術の力で守れることが、嬉しくて堪らない。

れん:だから、終わらせなくちゃ。

れん:わたしが、わたしじゃなくなっても

れん:お兄ちゃんだけは、変わらないでいてね。



ひびき:なーに言ってんだ、おまえ。


れん:……えへへ、ごめん、引き止めちゃって


ひびき:おまえはずっとおまえだよ


れん:……そうかな


ひびき:そうだよ


ひびき:例え、例えおまえが悪い男に捕まろうが

ひびき:金(かね)に目が眩んで悪い女になろうが

ひびき:食べ過ぎでばけもんみたいに太ろうが


れん:ふ、太らないもん!


ひびき:ははは


れん:もう!


ひびき:そうなろうが、おまえは変わらず

ひびき:俺の「妹」だよ。

ひびき:いつまで経っても、「俺の妹」だ。



0:決戦の場



『びいすと・はあと』:ぐ、く、ううううう………………


ちりぢん:れ、れん…………?


『びいすと・はあと』:ちり……ぢん……ごめん、ね


ちりぢん:れん……!


『びいすと・はあと』:酷い、こと、いっぱい、言っちゃった…………


ちりぢん:う、うううう、いいんだもふ、そんなこと、そんな事いいんだもふ


『びいすと・はあと』:う、ぐう……頭が……割れる……痛い……


『にぐれど』:なにをしている、『恋宮はあと』

『にぐれど』:気味の悪い感情が私に逆流している。


『びいすと・はあと』:……おあい、にくさま……。

『びいすと・はあと』:それが、私の全部の、感情なん、だよね……『にぐれど』……。


『にぐれど』:気色悪い!!!

『にぐれど』:闇に身を委ねろ!!!『恋宮はあと』!!!

『にぐれど』:人間の本質を忘れるな。

『にぐれど』:人とは、奪い、奪われることを循環している。

『にぐれど』:おまえだけが、与える者でいる必要はない!

『にぐれど』:そうだろう!?


『びいすと・はあと』:……誰かから、奪うくらいなら。

『びいすと・はあと』:わたしは、喜んで、ぜんぶあげるよ、『にぐれど』


ひびき:れん……


『びいすと・はあと』:……そう、だよね、お兄ちゃん。

『びいすと・はあと』:大事なのは、誰かの笑顔、へへ、その為に、私が、一番笑顔でいなくちゃ。


ひびき:もう、もういい、もういいよ、れん


『びいすと・はあと』:ありがとうね、私の代わりに、変身、してくれてたんだよね


ひびき:いいんだ、そんなこと、いいんだ


『びいすと・はあと』:お兄ちゃんだけは、絶対に、巻き込みたくなかったのに


ひびき:巻き込めよ、なんで隠してたんだよ


『びいすと・はあと』:だって、わた、しの、一番守りたいもの、だったん、だもん


ひびき:れん……


『にぐれど』:ええい!!!

『にぐれど』:肉体が黄金だとて、精神は塵芥(ちりあくた)そのものだ!

『にぐれど』:その身体の主導権を私に渡せ!『恋宮はあと』!!!


『びいすと・はあと』:ああああああ!!!(痛みにより叫ぶ)


ひびき:れん!!!


ちりぢん:れんーーー!!!


『びいすと・はあと』:ハァ……ハァ……

『びいすと・はあと』:へへ、残念、だけど、『にぐれど』、そうは、いかないんだよね


『にぐれど』:小娘が!抗うな!その肉体は私が錬金したものだ!!!


『びいすと・はあと』:でも、魂は、私のもの、だから。

『びいすと・はあと』:この、魂だけは、あなたに錬金されたものじゃない。

『びいすと・はあと』:私が、私として、ここにある、ここにいた証そのものだ……!!



『びいすと・はあと』:……ねえ、お兄ちゃん。



ひびき:なんだ……?れん……


『びいすと・はあと』:私、まだ、お兄ちゃんの妹かな。


ひびき:…………当たり前だろ。


『びいすと・はあと』:……へへ、ありがと。

『びいすと・はあと』:そしたらね、お兄ちゃん。


ひびき:……うん。


『びいすと・はあと』:お願いね。


ひびき:…………。


『びいすと・はあと』:終わらせなきゃ。


ひびき:……嫌だ。


『びいすと・はあと』:……お願い。


ひびき:…………嫌だ、れん……。


ちりぢん:ひびき…………。


『びいすと・はあと』:……へへ、いつもと逆だね。

『びいすと・はあと』:泣き虫は、私のほうなのに。



ひびき:(静かに涙を流す)



『びいすと・はあと』:……ちりぢん、お兄ちゃんのこと、お願いね。


ちりぢん:…………約束、守るもふ。


『びいすと・はあと』:うん、へへ、だいすき。


『にぐれど』:「限界」だ。



『びいすと・はあと』:ああああああ!!!!!!!

『びいすと・はあと』:(痛みによる叫び)


ひびき:れ、れん!!!!!


『びいすと・はあと』:……『ふう。初めからこうしていればよかったのだな。』


ちりぢん:………………『にぐれど。』



『びいすと・はあと』:『悪くない。』

『びいすと・はあと』:『自分で、自分を使うという感覚。』

『びいすと・はあと』:『この世界には、私だけがあれば良かったのだ。』

『びいすと・はあと』:『初めから、こうしていればよかった。』



ちりぢん:ひびき!!!来るもふ!!!

ちりぢん:構えて!僕を構えるもふ!!!


ひびき:…………れん…………。


ちりぢん:ひびき!!!!!


『びいすと・はあと』:まずは、目障りな塵(ごみ)から片付けるとしよう。


ちりぢん:ひびき!!!!!


ひびき:…………メタモルフォーゼ。


ちりぢん:!!

ちりぢん:了解もふ!!!


ひびき:思い描くのは、『魔法少女の願い』だ、ちりぢん。


ちりぢん:……へへ、じゃあ、笑顔でいなくっちゃね!


ひびき:ああ……!


ちりぢん:『メタモルフォーゼ!マジカルステッキ!』


ひびき:小細工は一切無しだ!!!!

ひびき:今出せる全ての魔力で、お見舞いするぞ、!!

ひびき:ちりぢん!!!!


ちりぢん:笑顔が足りてないもふぅ!!!ひびきぃ!!!


ひびき:わっはっはっはっは!!!


ちりぢん:いいもふいいもふ!!!最高のえっがおもふう!!!


ひびき:そっちこそ足りてないぞ!!!マジカルステッキ!!!笑え笑え!!!


ちりぢん:す、ステッキの姿だと笑顔がわかんないもふよお!!!!


ひびき:ばかやろー!!!見えてなくても、笑うんだよ!!!


ちりぢん:わ、わっはっは!わっはっはもふ!!!


ひびき:悪くない!!!!


『びいすと・はあと』:小煩(こうるさ)い蝿どもめ

『びいすと・はあと』:私と魔力で勝負するとでも?


ひびき:かかって来いよ!くそ錬金術師!


ちりぢん:そうもふそうもふ!笑って跳ね返してやるもふ!


『びいすと・はあと』:(詠唱)……蠢(うごめ)き、這いずり廻り、贖罪(しょくざい)を刃とし

『びいすと・はあと』:この世界に、ーー『真の絶望』の証を刻め。


ひびき:……来るぜ、ちりぢん。


ちりぢん:……ひびき、ありがとうもふ。


ひびき:……なあにが。


ちりぢん:怒ってくれて。


ひびき:……生き返らせるとかって話?


ちりぢん:……うん。


ひびき:……居るだろ、れんは。


ちりぢん:……うん。


ひびき:俺らの中にさ。


ちりぢん:居るもふ。


ひびき:これが、俺たちの、とっておきの黄金だろ。


ちりぢん:……最高もふね!


ひびき:いくぜ、ちりぢん。


ちりぢん:……どんと来いもふ!!!




0:『さいごのえいしょう』



ひびき:(詠唱)砕けた希望を束ね、祈りを刃に変え、 この世界に――『まだ終わらせない』という証を刻め。


『びいすと・はあと』:(詠唱)集え、闇。


ひびき:(詠唱)集え、光。


『びいすと・はあと』:(詠唱)我が名に従い、


ひびき:(詠唱)我が名に従い、


『びいすと・はあと』:(詠唱)空を裂け。


ひびき:(詠唱)闇を裂け。


『びいすと・はあと』:爆ぜろ!!!!ラ・プロスティテュエ!!!!


ひびき:喰らえ!!!!ラ・ピュセル!!!!




0:黒と白の光が、世界を覆う。

0:エピローグ『魔法少女を終わらせて』



ひびき:…………いてえ。


ちりぢん:…………痛い、もふ、ね。


ひびき:……空ってこんなに青かったっけ。


ちりぢん:いててて、からだがバッキバキもふ……。


ひびき:杖の状態でも痛いとかあんの?


ちりぢん:あるに決まってるもふ。形状が変わってるだけで、ちりぢんはちりぢんであることに変わりはないもふ!


ひびき:じゃあ剣になって切りかかってるときって?


ちりぢん:めっちゃ気合いで我慢してるもふ。


ひびき:魔法って案外、根性論なんだなあ。


ちりぢん:最後にものを言うのは根性もふ!


ひびき:……はは。あはははは。


ちりぢん:へ、へへ、えへへへへへ。


ひびき:笑っていようぜ、もうすこし。


ちりぢん:そうもふね。いい笑顔だもふ。


ひびき:ちりぢんもな。


ちりぢん:へへ!よくいわれるもふ!


ひびき:あっはっはっはっは!!!


ちりぢん:わっはっはっは!もふ!!




0:終

0:本当に、ありがとうございました。

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