ラジオ国立劇団「今夜もにゃはは」①(0:0:2)
【配役】
◆エコー:
国立劇団唯一のクラッシャー。天才ピアニスト。元幽霊?エコー・フォン・ベスティアンブラーヴェン。 作中女性だが、性別は不問とする。自らラジオDJをやると名乗り出ました。
◆パティオ:
夢をあゆみ始めた脚本家。パティオ・アンダーソン。劇中の性別は女性ですが性別不問とする。ラジオDJに抜擢されました。
【詳細】
ジャンル:ヒューマンドラマ
配役:性別不問2名
時間:約20分
すべての創作者と、すべての表現者へ。
エコー:はじまったぞ!
パティオ:ら、ラジオ国立劇団「今夜もにゃはは」
パティオ:お相手は私、パティオ・アンダーソンと……
エコー:天才ピアニスト!時代の麒麟児、そして
エコー:国立劇団最強のご意見番!
エコー:エコー・フォン・ベスティアンブラーヴェンの二人でお送りしていくぞ!にゃはは!
パティオ:誰が言い始めたのか、演劇の新しい情報発信の為にはじまったこのラジオ……
エコー:私だー!私がやれと言った!
パティオ:はい、エコーがやれと言ったそうですが
パティオ:どうして私とエコーの二人なんでしょうか……
エコー:それは私とパティオが同期だからだ!にゃはは
パティオ:え、あっ、そっか、私たち同期だ
パティオ:でも厳密にはあともう一人同期がいるじゃないですか?彼は?呼ばないんですか?
エコー:あいつはダメだ!表に出せない!
パティオ:表に出せない!?
エコー:前科者を出すとコンプライアンス的に問題だ!
パティオ:わあ!!!!語弊!語弊しかないよ!
パティオ:ちがいますよ!?国立劇団に前科者はいませんから!
エコー:む?違ったのか?
パティオ:エコーこれ生放送ってこと忘れないでよね!?
エコー:にゃはは!すまんすまん!
パティオ:心臓がもたないよ……
エコー:さてパティオ・アンダーソン。
エコー:このラジオの趣旨を説明してくれたまえ~。
パティオ:ああ、はいはい、では説明させていただきますね。
パティオ:「国立劇団は今、転換期に入っています」
パティオ:前任の座長から現在のメイヴ・ハーティに座長がかわり、今までの伝統的な要素はそのままに革新的な劇団へと変わろうとしています。
エコー:古典演劇に縛られていた国立劇団だったが、メイヴが座長になったことで現代劇や国立劇団のオリジナルの演劇なども行うようになったな!
パティオ:そうなんですよね。だから今までは脚本家が劇団に存在しなかったんですけど……
エコー:今では次は我こそが!と皆がこぞって脚本を書いているな!
パティオ:ま、負けてられないよね、本当に……
エコー:お前は大いに負けたほうがいいぞ、パティオ・アンダーソン!
パティオ:またそういうこと言う!
エコー:お前に足りないのは天賦の才だ!
パティオ:ぐっさぁー……
エコー:だがお前の良さはその反骨精神だ!
エコー:悔しい思いをしたらした分だけお前は努力ができる!
エコー:負けるつもりで書く意味はないが、負けることを怖がる必要はない!
パティオ:リスナーの皆さん、こいつ、こういう奴です、よろしくお願いいたします
エコー:おっ、もっともっと褒めてもいいぞ!
パティオ:半分褒めてる
エコー:えっ、あっ、褒めてる?
パティオ:半分ね
エコー:あ、え、あ、えへへ、ありがとう
パティオ:こういう奴です。
エコー:他には、国立劇場の改装も進んでいるな。
パティオ:そうそう、バリアフリーにも力を入れ始めてるんですよ。
エコー:目の見えない観客のために、副音声で動きを説明してくれるデバイスの無料配布なども行っているしな!私が!私が提言した!ふふん!
パティオ:はいはい、すごいすごい
エコー:もっと褒めていいぞ!
パティオ:今のはあんまり褒めてない
エコー:あ、なんだ、褒めてないのか
パティオ:ほかには、車椅子でもご来場頂けるようにスロープの設置や車椅子のまま観劇できる広めの席とかも用意してるよね
エコー:もちろん!トイレも抜かりはない!
パティオ:いや確かに、そこ大事だよね。
パティオ:お子様連れでも来やすいように、ベビールームも今建設中!多分もうすぐ完成かな……?
エコー:これも!私が提言した!ふふん!
パティオ:今後は、耳の聞こえない人にも観劇を楽しんで貰えるように字幕が見えるARグラスなんかも導入予定って座長さんは言ってましたね
エコー:それは私の提言では無い~……しゅん……
パティオ:これは私でしたー!ふふん!
エコー:く、くぬぬぬ、エクセレントブラボーだ、パティオ
パティオ:もっと褒めてくれてもいいよ?
エコー:ぐ、ぐぬぬぬ、素晴らしいパティオ・アンダーソン……私には、私には思いつかなかった……くっ……
パティオ:その反応はちょっと重たいかもしんない
エコー:と、まあこのように。
エコー:従来の良さはそのままに、時代に合わせた「誰しもが演劇に触れられる」を体現していく!
エコー:何せここは国立劇団、金だけは潤沢にあるからな!
パティオ:あけすけだよ、やめなそれ!
エコー:なんだ?利点を利点として言って何が悪い!?
エコー:金はあるのだ、使い道がわかっている方が透明性があるだろう!?
パティオ:い、言ってることは分かるけど敵も増えるってのぉ!
エコー:にゃはは。敵などいくらいてもよい!かかってくるが良い、我々国立劇団が返り討ちにしてくれよう!
パティオ:なまほうそう!!!!
エコー:にゃはは。
パティオ:なんか心臓が鍛えられてきた気がするよ……
パティオ:国立劇団は転換期、どなたでも気軽に演劇に触れられるようにこれからも精進して参ります。
エコー:たくさん観に来るのだ~
パティオ:それと同時に、国立劇団員のブラッシュアップと、新しい団員の募集もしてるよね。
エコー:うむ!主に我を筆頭に絶賛改革中だ!
パティオ:別にエコーが担当ってわけじゃないでしょ!
エコー:勝手に筆頭改革中だ!
パティオ:まったく……今日はそんな団員たちから募集したハガキが来てるのでそちらをご紹介しようかと思います。
エコー:どーんと来いだ!クソミソ集団め!
パティオ:またそういうこと言う!
パティオ:では1通目、ペンネーム「楽団ノススメ」さんですね。
エコー:おっ、楽団のメンバーか!?
パティオ:「エコー・フォン・ベスティアンブラーヴェンの家に隕石が落ちますように」
エコー:にゃはは!いいぞ、感情が籠っているな!
パティオ:に、2通目いきます。ペンネーム「俺の心はパイプオルガン」さん
エコー:お、今度も楽団メンバーか?
パティオ:「エコーくたばれ」
エコー:にゃはは!素晴らしいな、「俺の心はパイプオルガン」殿!貴様の練習メニューは他のやつの10倍にしてやる!エクセレントブラボーだ!
パティオ:楽団メンバー君の事嫌いすぎだろ!?
エコー:当然だ!もっと嫌っていい!
パティオ:また過激なこと言う~~~~~!
エコー:「お客様は、そんな事すら言ってくれない」!
パティオ:……。
エコー:ダメなものをダメと言えるのは、我々同じ輪の中でだけだ、にゃはは。
パティオ:……そういう所だよねえ。
エコー:どういう所だ!?
パティオ:さて、次のおハガキです。お、今度は多分劇団員さんからですかね?ペンネーム「舞台袖のジャガイモ」さん。
エコー:ジャガイモは美味しいよな!
パティオ:「パティオさん、クソミソエコー、こんにちは」
エコー:なんか余計なものがついているが?
パティオ:だ、だってそう書いてあるんだもん!
エコー:エクセレントブラボー、つづけたまえ!
パティオ:「私はバツ組と呼ばれる世代の劇団員です」
エコー:ふむ、バツ組。
パティオ:「バツ組とは、退団する劇団員が多すぎた年に、入団オーディションが甘くなった時がありました。その時に入団した、才能の無い、お零れで入団した世代のことです。」
エコー:……ふむ。
パティオ:「私は正直、あなた達が憎いです」
エコー:憎い?
パティオ:「あなた達が来たことで、国立劇団は良いものになっていってる。それは間違いないでしょう。でも、私たちの肩身はどんどん狭くなっていってる。」
エコー:……最後まで聞こうか。
パティオ:「才能の無い私たちは、」……んん……。
エコー:どうした、パティオ。
パティオ:……ごめん。ちゃんと読む。ちょっと待って。
エコー:うむ。
パティオ:ふう。
パティオ:読みます。
パティオ:「才能の無い私たちは、この劇団には必要無いのではないでしょうか?」
パティオ:……だって。
エコー:パティオ、生放送だぞ
パティオ:わ、わかってるけど、でも
エコー:はっきり答えてやろう、ああ、その通りだ、必要ない。
パティオ:え、エコー!
エコー:「自ら、才能が無い」なんて言うやつは、必要ない。
パティオ:え……?
エコー:底辺団員、クソミソ演奏者、そうやって、自分で自分を卑下することは
エコー:「ただの防御でしかない」
エコー:「それは、そう言われないようにする為だけの」
エコー:「自らを守る行為だ」
エコー:そこに、仲間である我々の存在がそもそも存在していない。
エコー:であるならば、必要ない、お前なんぞ、必要が無い。
パティオ:……エコー、生放送だってば。
エコー:だが。
パティオ:……だが?
エコー:「私たちは、いつだって、常に赤ん坊だ」
パティオ:あ、赤ん坊?
エコー:いつでも、ここから始めることができる。
エコー:諦めずに、歩み続ければ、その四つん這いはいつしか二足歩行になるだろう。
エコー:喉で喋っていたセリフが、腹から出てくる。
エコー:しかしそれは、「諦めずに毎日歩いた者にしか、諦めずに毎日声を出したものにしか、降り注がない。」
パティオ:……本当に、言葉が悪いよエコー。
エコー:私だからな!
パティオ:……舞台袖のジャガイモさん、私はあなたが誰なのかわからないけど
パティオ:気持ちはわかるよ、私も、一度は国立劇団を諦めた身だし
パティオ:自分なんて、って自暴自棄になっていたことあるから
エコー:うむ
パティオ:そんな時、くすぶってた私の背中を押してくれた人がね。言ってくれた。
パティオ:「叶うまで諦めなければ、いつか必ず叶う」って。
エコー:ふっ、潔い綺麗事だな!
パティオ:はは、そう、綺麗事なんだよね。
パティオ:そうもいかないことの方がたくさんある。
パティオ:でもね、思ったよ。
パティオ:私たちって、綺麗事を一生懸命表現してるんだ。演劇って、そうでしょ?
エコー:ふむ、なるほどな。
パティオ:人として、魅せたい物語を、遺したい物語を、綺麗事でも表現していく。
パティオ:そんな私だからこそ、綺麗事を信じてもいいんじゃないかなって思うんだよ。
エコー:いい事言うじゃないか!パティオ!
パティオ:改まって言われると恥ずかしいからやめてくれる!?
パティオ:っていうか、クソミソとか言うなって言ってたけど皆にクソミソクソミソ言ってるの君だからねエコー!?
エコー:私はいいのだ!
パティオ:いいわけあるか!
エコー:わたしが言い続ける限り、君たちが君たちにクソミソだなんて言うことは無いだろう?
パティオ:……ねえ、本当さ、そういうところだよエコー。
エコー:天才なのでな!
パティオ:はいはい、天才天才。
エコー:あ、褒めてないな。
パティオ:正解
エコー:んんんむう!!!
パティオ:……必要ないなんて、思わないで欲しいな。
パティオ:私たちみんなで、国立劇団だから。
エコー:なあ、舞台袖のジャガイモよ。聞いているか?
パティオ:聞いてくれてるかもね。
エコー:……こほん。
エコー:君はさ、なんで、退団してないの?
エコー:退団者が多いくらい、その年の国立劇団は荒れてたんでしょ。
パティオ:たしかに、前任座長の時にそういった時期があったみたい。クロードも、メイヴさんも居なかったころだね。
エコー:苦労したでしょ、つらかったんじゃない?
エコー:逆境だらけのなかで、どうして君はまだここにいるの?
パティオ:……そうだよね。
エコー:それは、君には、ここに居続ける才能があって、その為の努力をしたからでしょ。
エコー:……かっこいいんだよ、それって。
パティオ:……ふふ、エコー、キャラ忘れてるよ。
エコー:はっ!しまった!忘れてくれ、にゃはは!
パティオ:……そういうところだよ、ははは。
エコー:まあ!もし!演技の才能が無いと思ったら私のところに来い!超一流のピアニストに育ててやろう!
パティオ:楽団員からのブーイングが聞こえてきた気がするよ……
パティオ:さてさて、ハプニングもあったような気がしますが本日のラジオは以上で終了でした!
パティオ:お相手は、私、パティオ・アンダーソンと~
エコー:エコー・フォン・ベスティアンブラーヴェンだ!
パティオ:よい週末を~!
エコー:にゃはは!
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