ギジン屋の門を叩いて:ガチャペルソナ(1:2:1)
【配役】
◆寺門 眞門:
てらかど まもん。店主。男性。いわくつきの道具を売る元闇商人。
◆猫宮 織部:
ねこみや おりべ。助手。女性。家事全般が得意です。
◆尾石貝 茉希:
おせっかい まき。女性。大家の娘
◆「リビングデッド」:
りびんぐでっど。性別不問。あるく死体。
【詳細】
ジャンル:ローファンタジー、コメディ
配役:男性1名 女性2名 性別不問1名
時間:約20分
「リビングデッド」:大変大変、大変なのですう……
尾石貝 茉希:お、落ち着いて猫宮さん、落ち着いて
猫宮 織部:呼びましたかぁ、ギジン屋ぁ
尾石貝 茉希:お前じゃない!って、うわあ、猫宮さんにお前って言ってる感じになる……!
寺門 眞門:あーあ、眞門さんいけないんだー、お前呼びって一番女の子にしちゃいけないやつだよねー
猫宮 織部:そうですよねぇ、お節介さん、抱きしめてあげましょうかぁ
寺門 眞門:うわあ、でも猫ちゃんの声でそれ言われるとなんか脳がバグるぅ……
「リビングデッド」:み、みんな落ち着いて!おちついツイツイツイステッドワンダーランドなのです!
尾石貝 茉希:……一旦状況を整理しよう、どうしてこうなった
猫宮 織部:お、ギジン屋ぁ。読者の為に説明役を買って出るとは素晴らしい心構えですねぇ
尾石貝 茉希:読者とはなんだ読者とは。
「リビングデッド」:こ、ここはやはり説明の上手な茉希ちゃんにお願いしましょう……!
尾石貝 茉希:えっとそれは、どっちの?
寺門 眞門:私?
「リビングデッド」:や、ややこしい
「リビングデッド」:旦那様の中に入ってる茉希ちゃんでお願いします!
寺門 眞門:ってことはあたしね。
寺門 眞門:こほん、私は美少女名探偵まきちゃん。
寺門 眞門:今は訳あって、天然パーマ作務衣男、寺門眞門の中からおじゃましまーす状態なんだけど……
寺門 眞門:ようするに私たち、中身が入れ替わっちゃってるー!?のあんたの名前は!?状態なわけで。
猫宮 織部:やはり不用意に見た事のない呪物を触るものじゃあないですねぇ、猫宮織部ぇ
「リビングデッド」:わ、私が私に話しかけてる……
猫宮 織部:ですが、愛しの猫宮織部になれていると言うことは案外悪くない心地ですねぇ
「リビングデッド」:気持ち悪いです!
尾石貝 茉希:猫宮さん近づいちゃダメだよ、って顔見ると腐れ外道だからなんか変な気分だ……
「リビングデッド」:だ、旦那様ぁ……
寺門 眞門:この真っ黄色のスイッチ型呪物……そうね、名前を仮に『ガチャペルソナ』とでも名付けましょうか
尾石貝 茉希:勝手に変な名前をつけるな、茉希
猫宮 織部:案外悪くないですよぉ、お節介さん、なでなでしてあげましょうかぁ
寺門 眞門:や、やめろやめろぉ!なんか変な気分になる!
「リビングデッド」:あわわわ、なんだか私が汚されていっている気がする……
猫宮 織部:今ならなんでも好き放題やれてしまいますねえ、例えば胸のサイズを確認してみたり……
「リビングデッド」:せ、センシティブなのはいけないと思います!!!!!
尾石貝 茉希:こ、この場合どう止めればいいんだ!?
尾石貝 茉希:猫宮さんをとめればいいのか!?腐れ外道をとめればいいのか!?
寺門 眞門:どう考えても腐れ外道イン猫ちゃんを止めるのが得策に決まってるでしょ!?
寺門 眞門:落ち着いてよ私!
尾石貝 茉希:そう言われてもなあ!?というかなんで思った事全部話してるだ私はって思ったが、これこの指輪のせいか!!!!
寺門 眞門:どうだわかったか、なんでも話してしまう暴露の指輪の辛さが。
尾石貝 茉希:く、くううう、むかつく、むかつくがこれをお前に、いや、私につけたのは私だし、何も言えない……ってもう本当にややこしい!!!
猫宮 織部:まさかスイッチ博物館のお土産に呪物が紛れ込んでいたとは、いやはや不覚でしたねえ
「リビングデッド」:なんでそんな所に呪物があるんですかぁ……もう……
尾石貝 茉希:1000個以上のスイッチ、ボタンが展示されている博物館だ。何かしらの因果で呪物が紛れ込んでも致し方ないだろうね……誰かが故意に置いていった可能性もあるが……
寺門 眞門:そもそもスイッチ博物館ってなに?誰が行くのそんなの?
「リビングデッド」:帆柄家(ほがらか)さんですね!
寺門 眞門:あー……あの、眞門さんの甘党仲間の人か……
尾石貝 茉希:あいつの趣味、工場見学とかだから……
猫宮 織部:すこすこのすこ、スコティッシュフォールドですぅ……
「リビングデッド」:わ、私の姿で私みたいな事言わないでください!!!
寺門 眞門:……ちょっとダウナー気味の猫ちゃんも悪くないって思わなかった?眞門さん
尾石貝 茉希:悪くないどころがちょっといいとか思っちゃった
「リビングデッド」:旦那様!?
猫宮 織部:旦那様ったらぁ……猫宮、そんな事言われたらァ、困っちゃいますぅ……
「リビングデッド」:私の姿で私で遊ばないで!?
尾石貝 茉希:く、くそ、くそお!なんかちょっとときめいてる自分が恨めしい!落ち着け私!中身は腐れ外道だ!腐れ外道なんだぞ!?
猫宮 織部:素直になってよいのですよ、旦那様ぁ……
尾石貝 茉希:や、やめろ腐れ外道!今までで1番その攻撃が私に効く!やめろ!
寺門 眞門:……困ったもんだ、どうしたらいいかなこれ、猫ちゃん
「リビングデッド」:……。
寺門 眞門:……ん?どうしたの猫ちゃん?織部?
「リビングデッド」:あ……っ
寺門 眞門:ん……?
「リビングデッド」:も、もう一回お願いいたします……
寺門 眞門:……織部?
「リビングデッド」:あっ
寺門 眞門:あんたこのタイミングでちょっと私利私欲出してんじゃないよ!?
「リビングデッド」:す、すいませんすいません、中々名前で呼ばれることないもので……!
猫宮 織部:さて、とは言えこのままでは困りますね、ギジン屋、何かいい方法は無いものでしょうか
尾石貝 茉希:急にお前が真面目になるとちょっとびっくりするな
猫宮 織部:いやだなぁ、寺門眞門、私はいつだっておおまじめですよ
尾石貝 茉希:それはそれで問題だと思うが……
寺門 眞門:失敬、私からいいかね
尾石貝 茉希:私の真似をするな茉希
寺門 眞門:いいじゃん、雰囲気雰囲気
寺門 眞門:早いところこの身体から元に戻りたいのよ、私も
寺門 眞門:なーんか歳のせいなのか身体の節々が痛いし……
尾石貝 茉希:歳とか言うな
「リビングデッド」:そ、それで、茉希ちゃん、どうしたらいいとおもうの?
寺門 眞門:もっかい押してみちゃえばー?そのガチャペルソナ。
猫宮 織部:なるほどそれも一理。どうせ既にぐちゃぐちゃなのですから、リスクは無いに等しい。それでは失敬。ぽちっとな。
尾石貝 茉希:あ、ばか!
寺門 眞門:心の準備が!
「リビングデッド」:わわわわわわ……!!!
0:スイッチは押され、なんだか視界が歪む
尾石貝 茉希:う、うぅ~ん……
猫宮 織部:ま、茉希、ちゃん?
尾石貝 茉希:あ、戻ってる!猫ちゃんは?猫ちゃんなの?
猫宮 織部:わ、私は私だけど、本当に茉希ちゃん?
尾石貝 茉希:可能な限り働きたくないしいきなり石油王が私に大金くれないかなって常に思ってる。
猫宮 織部:茉希ちゃんだ!良かったぁ!
尾石貝 茉希:あんたこそ本当に猫ちゃん?
猫宮 織部:わ、私ですう!
尾石貝 茉希:本当の猫ちゃんなら夜のルーティンで、眞門さんが脱いだ作務衣を一旦ひと嗅ぎしてるのを……
猫宮 織部:わあ!!!!わあーーーー!!!!何言ってんの!!!!だめだめだめだめ!言っていい事と言っちゃいけないことがあるよ茉希!!!
尾石貝 茉希:あははは。本物だわ。
猫宮 織部:も、もお……
尾石貝 茉希:さて、そちらさんおふたりはどんな感じ?
「リビングデッド」:残念ながら、元に戻ってしまったようですねぇ……
尾石貝 茉希:そのねっとりして嫌な感じちゃんと腐れ外道野郎みたいだね
「リビングデッド」:そうですねぇ、お節介さん。
「リビングデッド」:こんな事なら下着の色くらい確認しておけばよかったですねぇ……
猫宮 織部:気持ち悪いです!!!
尾石貝 茉希:気持ち悪。
「リビングデッド」:ははは、ジョークですよジョーク
尾石貝 茉希:絶対ほとんど本気だったよなこいつ。
猫宮 織部:……旦那様は?
尾石貝 茉希:あれ?眞門さんどこ?
「リビングデッド」:おやぁ……寺門眞門、どうしてそんな部屋の隅にいるんですぅ?
寺門 眞門:……。
尾石貝 茉希:どったの?眞門さん
寺門 眞門:に。
猫宮 織部:に?
寺門 眞門:にゃぁぁぉん。
「リビングデッド」:……にゃおん?
猫宮 織部:だ、旦那様?
寺門 眞門:にゃぁん、にゃぁー。
尾石貝 茉希:……今私すごく嫌な予感してるんだけど。
猫宮 織部:奇遇だね、茉希ちゃん、私も……。
「リビングデッド」:……そうですかぁ、この呪物、人だけでなく動物も有効範囲に入るのですねぇ……。
尾石貝 茉希:やばすぎないか、それ……。
「リビングデッド」:動物ならまだマシですよ、お節介さん
「リビングデッド」:……どうします?有効範囲が『すべての生き物』だったりしたら?
猫宮 織部:す、すべての生き物……?
「リビングデッド」:先程の初めの一回が奇跡的に私たち4人の人格シャッフルで収まっていただけでぇ……
「リビングデッド」:本来すべての生き物が対象であった場合に……
尾石貝 茉希:…………猫ちゃん、ギジン屋ってゴキブリとか出る?
猫宮 織部:……滅多に出ないけど、そりゃ、人並みには……。
「リビングデッド」:アリンコや、ナメクジ、ダンゴムシや蜘蛛なんて、この店の周りにもいくらでも居ますよねぇ……
尾石貝 茉希:や、やばい、あ、やばい途端にやばくなってきた、ていうかあんた合意とか取らずよくもまぁスイッチ押してくれたもんだね!?
「リビングデッド」:ははは、一番最初にスイッチを押したのは貴方ではないですかぁ、お節介さん
尾石貝 茉希:それもそうだった
「リビングデッド」:しかもまたスイッチを押すことを提案したのもあなたですねぇ
尾石貝 茉希:やばい猫ちゃん私ピンチかも
猫宮 織部:ま、負けないでよぉ……!
寺門 眞門:ゴロゴロ……ゴロゴロ……
尾石貝 茉希:ああ……眞門さんが部屋中の角という角におでこを擦り付けている……
猫宮 織部:ま、マーキングしてる……
尾石貝 茉希:猫ちゃん今のうちにあんたもマーキングしてもらえば。
猫宮 織部:ま、またそういう事言う!!!!
「リビングデッド」:そうこうしている間に寺門眞門イン猫はどこにいるのか、って感じですねぇ……
尾石貝 茉希:はっ!そうだよ!猫は!?猫の方はどこにいるのよ!?
猫宮 織部:外に確認に行ったほうがいい!?
「リビングデッド」:いやー、私は得策では無いと思いますねぇ……
尾石貝 茉希:な、なんでよ
寺門 眞門:にゃあん?
「リビングデッド」:この呪いの有効範囲の条件がわからない以上、下手に動くと危ない可能性があるということですよ
猫宮 織部:私たちが動いたら、動いたぶんだけ有効範囲が広がる可能性もあるということですか……?
「リビングデッド」:わかりませんけどねえ、それも考慮しておく必要はありそうということですねえ……
尾石貝 茉希:これ真面目に今までで一番ピンチなのでは……?
寺門 眞門:にゃぁん
「リビングデッド」:しかし、やることは変わらずこのガチャペルソナを回す以外無いというのも事実ですねぇ……
尾石貝 茉希:う……他に解決策は……?
「リビングデッド」:ありますか?むしろ
猫宮 織部:…………これ所謂(いわゆる)あれですね、あれに似てます、スマホゲームで推しだけが出なくて残りの魔法石を使うべきか悩むやつ……。
寺門 眞門:にゃーん?
尾石貝 茉希:…………この場合、それよりヤバくない?
尾石貝 茉希:だって眞門さん以外は全員元鞘に戻ってるんだよ?
「リビングデッド」:そうですねぇ、確率で言うと12分の1、つまりは8パーセントの奇跡を引いたということになりますね。
尾石貝 茉希:ぴ、ピックアップガチャで考えたら確率的にはトントンって感じなんだけど……
「リビングデッド」:恐ろしいのは、この分母が今のところ予想できないというところですよ。
猫宮 織部:ど、どうしよう、どうしましょう旦那様……!
寺門 眞門:にゃぁん?
尾石貝 茉希:そのままにしておくってのもアリじゃない?
猫宮 織部:ナシだよ!
尾石貝 茉希:でもほら、みて、猫ちゃん
猫宮 織部:な、なに
寺門 眞門:にゃおーん
尾石貝 茉希:ちょっと可愛いよ?
猫宮 織部:……。
尾石貝 茉希:ほらちょっと揺らいだ。
猫宮 織部:揺らいでません。
尾石貝 茉希:ちょっと良いかもなって思ったでしょ。
猫宮 織部:お、思ってません!
「リビングデッド」:本当ですかぁ?
猫宮 織部:あ、当たり前です!
猫宮 織部:私は猫宮ですけど、猫に仕えてるわけじゃありません!
猫宮 織部:旦那様に仕えてるんですっ!
尾石貝 茉希:じゃあ、押す?
猫宮 織部:う……8パーセント……。
「リビングデッド」:いえ、8パーセントではないですね
猫宮 織部:え?
「リビングデッド」:8パーセントというのは先程の、私たち3人が元に戻った時の確率ですからぁ
尾石貝 茉希:……猫含む5人が元に戻るとしたら……
「リビングデッド」:120分の1です。
「リビングデッド」:先程の8パーセントも、前提条件としてそれぞれが毎回必ず別の人格になるのを前提とした場合の確率ですから。
尾石貝 茉希:120分の1って……なんぱーせんと?
「リビングデッド」:0.8パーセントですね。
猫宮 織部:い、いちぱーせんとを切ってる……!
「リビングデッド」:しかもこれはあくまで、最低、0.8というだけですよ。
尾石貝 茉希:入れ替わる元が5人とは、限らないもんね……
猫宮 織部:う……ううー!!!2人ともごめん!でも、このままじゃ居られないよ!
尾石貝 茉希:……そだね、うるさいけど、眞門さん居ないとなんか張り合いないしね
寺門 眞門:にゃ?
「リビングデッド」:私は猫宮織部、あなたに従いますよ
寺門 眞門:にゃん
猫宮 織部:猫ちゃんも、このままじゃ嫌だよね?
寺門 眞門:なーおう
猫宮 織部:……よし、いくよ、覚悟はいい!?
寺門 眞門:にゃあ!
尾石貝 茉希:どんとこーい!
「リビングデッド」:いつでもどうぞぉ
猫宮 織部:ぽちっとな!!
0:スイッチは押され、なんだか視界が歪む
寺門 眞門:にゃあ~ん
尾石貝 茉希:わ、くらくらするぅ
「リビングデッド」:くぬぬぬ
猫宮 織部:ううー……
尾石貝 茉希:……ん、んん、ど、どうなった?
猫宮 織部:茉希、ちゃん?
尾石貝 茉希:お、猫ちゃんはそのままっぽい?
猫宮 織部:茉希ちゃんも大丈夫そう?
尾石貝 茉希:働きたくない。
猫宮 織部:良かった!
尾石貝 茉希:たまに作務衣の匂いを……
猫宮 織部:やめてーーーー!!!!
尾石貝 茉希:お、良かった
寺門 眞門:し、死ぬかと思った、死ぬかと思った……!
寺門 眞門:絶対終わったと思った……!!!
尾石貝 茉希:……眞門さん?
寺門 眞門:ま、茉希……!私は今後猫には必ず優しくする!!!
寺門 眞門:あ、あんな思いするなんてもう真っ平御免だ!!!
猫宮 織部:ど、どうしたんですか、旦那様
寺門 眞門:めちゃくちゃ追いかけられた……!あれ、あれだ、野良猫回収して去勢する人たちだった!!!
寺門 眞門:怖い!人間って怖い!!!網ってめちゃくちゃ怖い!!!!
寺門 眞門:野良猫保護団体に募金する!!
寺門 眞門:もっと猫が怖くない捕まえ方してもらう!!!!
尾石貝 茉希:は、ははは、危うく去勢されるとこだったのね……
猫宮 織部:トラウマになるとこでしたね……
尾石貝 茉希:元に戻った猫はちゃんと逃げれたのかな……?
寺門 眞門:怖い怖い怖い、はあ、もう、人間怖い
「リビングデッド」:……。
寺門 眞門:くそ、もう絶対このガチャペルソナは禁止だ!どの範囲に呪いが及んでるのか訳がわからない!危険すぎる!ほら、腐れ外道!お前ももう帰れ!
猫宮 織部:…………リビングデッドさん?
尾石貝 茉希:…………おい、まさか。
寺門 眞門:ん?
「リビングデッド」:…………。
猫宮 織部:嫌な予感です。
「リビングデッド」:わんっ。
尾石貝 茉希:……終わったわ。
猫宮 織部:……もういやぁ……。
寺門 眞門:……も、もういいんじゃないか……これは、これで……。
尾石貝 茉希:眞門さん!!!
猫宮 織部:旦那様!!!
寺門 眞門:う、うー。失敬……。
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