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合作相手:伯方SHIO様(演分過多様)
【配役】
◆ドゥルスカ:
ドゥルスカ・ヤム。作中女性。性別変更を禁じる。
◆ハインスタイン:
ガブリエル・ミュージニア・ハインスタイン。神父。性別不問。
ドゥルスカ:あぁ、ハインスタイン神父、お会いしたかったです。
ドゥルスカ:おいたわしや。このような汚らしいところに閉じ込められて。
ハインスタイン:君にはここが「汚らしい」ところに見えるのかい。
ドゥルスカ:だってそうではないですか。
ドゥルスカ:このような薄暗く汚いところにあなたが収容されているなんて、私は耐えられません。
ハインスタイン:薄暗く汚い、それはここだけに限る話かね。
ドゥルスカ:そのようなところはごまんとあります、神父様。
ドゥルスカ:ですが私が言いたいのは、あなたのような方がこのようなところにいるのは、あまりに似つかわしくないと、そう思うのです。
ハインスタイン:私のことを随分と知った風に話すものだな。
ハインスタイン:いけすかない。
ドゥルスカ:お気を悪くされたのでしたら申し訳ございません。
ドゥルスカ:私は、私を救ってくださったあなたがこのような場所にいるのが、とても辛いのです。
ハインスタイン:救った? 私が? 君を?
ドゥルスカ:えぇ、そうです。覚えていらっしゃいませんか?
ハインスタイン:記憶にないな。
ドゥルスカ:そうですか。
ドゥルスカ:お気づきかとは思いますが、私はこの国の生まれではありません。
ドゥルスカ:言葉が通じず、食べるものにも困り、行き倒れていたところを、神父様、あなたが救ってくださったのです。
ドゥルスカ:あの時の恩はあまりに大きく、何年かかってもお返しできそうにありません。
ハインスタイン:黙りたまえ。ペラペラペラペラと。
ハインスタイン:君はしつけのなっていない犬も同然だ。
ドゥルスカ:久しぶりにお会いできて、気持ちが高ぶってしまっていたようです。申し訳ありません。
ハインスタイン:君こそ、このような場所に相応しくないのではないかね。
ハインスタイン:君の「客」はこの場所には居ないだろう?
ドゥルスカ:私が何の仕事をしているか、お分かりになるんですか?
ハインスタイン:質問をしているのは私だ。
ハインスタイン:しつけのなっていない犬は、「待て」もできないのかね?
ドゥルスカ:申し訳ありません。
ドゥルスカ:ですが私は今日、客を捕まえに来たわけではないのです。
ドゥルスカ:あなたにお会いしたくて参りましたのですよ、神父様。
ハインスタイン:帰りたまえ。
ハインスタイン:今すぐにだ。
ドゥルスカ:そのような冷たいことをおっしゃらないでください。
ドゥルスカ:今日あなたに会うために、何人客を取ったと思いですか。
ハインスタイン:だからだよ。
ハインスタイン:君は「稼げない」だろ?
ドゥルスカ:……そのようなことは。
ハインスタイン:段階も踏めない。
ハインスタイン:何よりテーブルマナーすら知らない。
ハインスタイン:礼儀も礼節もない。
ハインスタイン:開口一番、すんなりと股を開くことが価値になるとでも?
ハインスタイン:言っている意味が分かるかね?
ドゥルスカ:前戯がない、と。
ドゥルスカ:そうおっしゃりたいんですか、神父様。
ハインスタイン:多少は考えることができるようだ。
ハインスタイン:では、どうすべきか分かるね?
ドゥルスカ:えぇ、もちろん。
ドゥルスカ:あの手この手で私との時間に価値を見出していただければいいということでしょう?
ドゥルスカ:今のままでは、あまりに面白みに欠けますものね。
ハインスタイン:私が嫌いなことが分かるかね?
ドゥルスカ:お教えいただけますか?
ハインスタイン:「名を名乗らないこと」だよ。
ハインスタイン:君だけが私をハインスタイン神父と呼ぶ。
ハインスタイン:覚えていませんか? と。
ハインスタイン:私の何を知って、
ハインスタイン:私の何を理解して、
ハインスタイン:お労しいと言っているのか。
ハインスタイン:私は君を知らない。
ハインスタイン:礼節もなく、私を知った風な口を聞く女に客がつくかね?
ハインスタイン:「名を」名乗ったらどうかね?
ドゥルスカ:大変申し訳ありません。お会いできたことに喜びを覚え、つい失念していました。
ドゥルスカ:改めて、私はドゥルスカ・ヤムと申します。
ドゥルスカ:この町の片隅で娼婦をしております。
ハインスタイン:ドゥルスカ。それは、どちらが名でどちらが姓なんだね。
ドゥルスカ:そうでしたね。この国では入れ替わるのでしたか。
ドゥルスカ:姓をヤム、名をドゥルスカと申します。
ハインスタイン:であれば。
ハインスタイン:君はマリディアからの移民かね。
ドゥルスカ:あら、私を見ただけで国までお分かりになるんですか?
ドゥルスカ:とても優れた観察眼をしていらっしゃいますね。
ハインスタイン:その肌の色も相まってね。
ドゥルスカ:あぁ、この国では少し目立ちますよね。
ドゥルスカ:でも、客は喜んでくれるんですよ。
ハインスタイン:喜ぶ?
ドゥルスカ:えぇ、みんな私の体の部位の色が知りたいみたいで。
ハインスタイン:趣味がいい話だな。
ドゥルスカ:脱ぐと、たいそう喜んでくれるんです。
ドゥルスカ:神父様もご興味が?
ハインスタイン:それは、聖職者に対する侮辱なのか。
ハインスタイン:それとも、クレイジーなブラックジョークなのか。どちらかね?
ドゥルスカ:まさか。
ドゥルスカ:先程も申しました通り、私は神父様に返しきれないご恩があるんですもの。
ドゥルスカ:私にできることは何だってしますわ。
ハインスタイン:何だって、と言ったのかい、今。
ドゥルスカ:えぇ、神父様のお願いごとであれば何だって。
ドゥルスカ:それが今、私にできる精一杯の恩返しですわ。
ハインスタイン:では。
ハインスタイン:今、私が君に自害を願ったら?
ドゥルスカ:もちろん。
ドゥルスカ:何なら今ここで舌を噛み切ってみせましょうか?
ハインスタイン:……眼を見せなさい、ドゥルスカ。
ドゥルスカ:えぇ、飽きるほどご覧になって。
ハインスタイン:もっと近くへ。
ドゥルスカ:もちろんです。
ハインスタイン:……いい色の瞳だ。
ハインスタイン:この場にアクリルの板があることが恨めしく思うよ。
ドゥルスカ:客からもよく褒められるんですよ。
ドゥルスカ:……あぁ、この透明な板が憎い。神父様はすぐそこにいらっしゃるのに。
ハインスタイン:ドゥルスカ・ヤム。
ハインスタイン:君がこの国に来たのは、君が何歳のときだね。
ドゥルスカ:九つの頃でした。
ドゥルスカ:亡命し、逃げていたところを人さらいに遭って……。
ドゥルスカ:懐かしいですね。
ハインスタイン:……あの時に君が食べたクッキーの味は、アップルシナモン。
ドゥルスカ:えぇ、食べたことのない不思議な香りと甘さに、一口で魅力にとらわれてしまいましたわ。
ドゥルスカ:今では私の一番の好物ですのよ。
ハインスタイン:そうか。
ハインスタイン:君は、あの時の。
ドゥルスカ:あぁ、思い出していただけたんですね……!
ドゥルスカ:あの時は本当にお世話になりました。
ハインスタイン:何故、ここに来た。
ハインスタイン:君には、共に逃げてきた弟もいたはずだ。
ハインスタイン:いや、あれは本物の弟ではないのかもしれないが。
ドゥルスカ:あの子は、先日抗争で使い捨ての駒にされ死にました。
ドゥルスカ:結局、移民は真っ当な職に就くことが許されないのです。
ドゥルスカ:ここに来たのは、先程もお話しさせていただいた通り、神父様にどうしても会ってお話をさせていただきたくて。
ドゥルスカ:神父様、子どもたちを殺して埋めたなんて何かの間違いですよね?
ドゥルスカ:心優しい神父様が、そのようなことをなさるはずありませんよね?
ハインスタイン:それを、確かめに来たのかね、ドゥルスカ。
ドゥルスカ:えぇ、どうしても信じられなくて。
ドゥルスカ:警察に濡れ衣を着せられたのですか?
ドゥルスカ:だって、信じられません。どうして……。
ハインスタイン:君は、文字は読めるかね。
ドゥルスカ:えぇ、簡単な文字なら。
ドゥルスカ:神父様が教えてくださったので読めます。
ハインスタイン:では、新聞を買う習慣はあるかね。
ドゥルスカ:新聞は読みません。言葉が難しくて。
ハインスタイン:では、すぐに買って読みたまえ。
ハインスタイン:そこにはこう書かれている。
ハインスタイン:三十八人を殺し、一名を監禁暴行した神父が処刑されると。
ハインスタイン:それ以上、それ以下でもない。
ドゥルスカ:そんな……何かの間違いでしょう?
ドゥルスカ:その神父が……ハインスタイン神父なのですか?
ドゥルスカ:誰か、他の神父ではなく?
ドゥルスカ:冤罪をかけられていらっしゃるのですか!?
ドゥルスカ:そうなのでしょう!?
ハインスタイン:君は愚かだな。
ドゥルスカ:え?
ハインスタイン:ドゥルスカ、君は大変に愚かだよ。
ドゥルスカ:神父様、何が愚かなのか、浅学な私に教えてはいただけませんか。
ハインスタイン:そう、私は本当は殺していないんだよ、ドゥルスカ。
ドゥルスカ:では……!!!
ハインスタイン:そうだ。
ハインスタイン:無能な記者どもや、政府の犬に冤罪をかけられている。
ドゥルスカ:そうだと思いました!
ドゥルスカ:だって神父様がそのようなことをなさるはずがない!
ドゥルスカ:だって、行き場のない移民の私と弟を受け入れて、文字を読めるようにしてくださったお方だもの!!!
ドゥルスカ:あぁ、どうすればあなたをお救いできるのですか、神父様。
ハインスタイン:そうだ、分かってくれるか、ドゥルスカ。
ドゥルスカ:もちろんです!
ハインスタイン:では私のこの気持ちを汲んでくれるか! ドゥルスカ!
ハインスタイン:この、どうしようもない気持ちを!
ドゥルスカ:当然ではないですか、神父様!!!
ドゥルスカ:何かお力になれることはありますか?
ハインスタイン:「切り開いてみたくて、堪らない」
ドゥルスカ:切り開く……?
ドゥルスカ:どういう意味なのですか?
ドゥルスカ:お言葉が難しくて、よく理解ができないのですが……。
ハインスタイン:「その腹を切り開いてみたくて堪らない」
ハインスタイン:「脈動する心臓が本当に赤く鼓動しているのか知りたくて堪らない」
ハインスタイン:「愛を知らない人間が最後に見せる瞳が知りたくて堪らない」
ハインスタイン:「人体から命が流れ出す瞬間の祝言が意味のあるものなのか知りたくて堪らない」
ハインスタイン:「愛が何なのか、知りたくて堪らない」
ドゥルスカ:神父様……?
ハインスタイン:始まりは、そんな簡単な好奇心だ。
ドゥルスカ:好奇心……。
ハインスタイン:それを繰り返す度に、その好奇心に付加価値がついていった。
ドゥルスカ:神父様?
ドゥルスカ:何をおっしゃりたいのですか?
ドゥルスカ:私にはよく……。
ハインスタイン:愛を知ろうとすればするほどに、愛を知らない人間の心が見えてくる。
ハインスタイン:次第に、この好奇心は救済なのだと気づいた。
ハインスタイン:ドゥルスカ。
ドゥルスカ:はい、神父様。
ハインスタイン:君は、愚かだ。
ドゥルスカ:私が愚かなのは、とうの昔から分かっていたことですよ。
ドゥルスカ:何を今さら。
ハインスタイン:いいや、分かっていない。
ドゥルスカ:今日の神父様のお言葉はとても難しい。
ドゥルスカ:もっと私にも分かるようにお話ししてください。
ハインスタイン:「何故、ここに来た」
ドゥルスカ:だからそれは、神父様に会いに……。
ドゥルスカ:神父様に会って、あの世間で出回っているデマを確かめようと。
ハインスタイン:「何のために?」
ドゥルスカ:何のために……?
ハインスタイン:「何のために、それを確かめる必要がある」
ドゥルスカ:だって神父様はお嫌ではないのですか!?
ドゥルスカ:街の人々は皆噂してる、あなたが聖職者の皮を被った悪魔だって。
ドゥルスカ:みんな、あなたに世話になってきたのに……。
ハインスタイン:「私が嫌なのではない」
ハインスタイン:「それは、君が、嫌なのだろう?」
ハインスタイン:「ドゥルスカ・ヤム」
ドゥルスカ:それは……。
ドゥルスカ:その通りです、神父様。
ドゥルスカ:私は、私がお世話になった命の恩人がそんな風に言われるのが嫌なんです。
ハインスタイン:私のことを救ってくれた神父様が殺人鬼なわけがない。
ハインスタイン:私がこんなに辛くて苦しいのも、すべては、そう、すべては移民であることのせいだ。
ハインスタイン:それを救ってくれた、命を救ってくれた私の恩人が、恩人がまさか。
ハインスタイン:「殺人鬼なわけがない」
ハインスタイン:「私の人生は、殺人鬼に救われたんじゃない」
ハインスタイン:「何かの間違いだ」
ハインスタイン:「なぜなら」
ハインスタイン:「なぜなら」
ハインスタイン:「この不当な人生は、私が悪いわけではない」
ハインスタイン:「私のせいではない」
ハインスタイン:「この出会いが、間違いなわけがない」
ドゥルスカ:私はあなたと出会ったことを、一度たりとも間違いだと思ったことはありません。
ドゥルスカ:殺人鬼というのも何かの間違いでしょう?
ドゥルスカ:私はその言葉を聞きに、今日ここへ来たのです。
ハインスタイン:「神父が殺人鬼なのだとしたら、私も殺されていたはずだ」
ドゥルスカ:そうです、その通りです!!!
ドゥルスカ:でも、実際私は殺されてなんかいない!
ドゥルスカ:それどころか、クッキーを与え、文字まで教えてくださった。
ドゥルスカ:そんな方が、あんなことをするなんて到底考えられないのです!
ドゥルスカ:あなたはいつだって大きな愛を持った方でした。
ドゥルスカ:私や弟、それ以外の子どもたちにも。
ハインスタイン:「孤独では、なかったからだ」
ドゥルスカ:孤独を抱えていらっしゃったのですか。
ドゥルスカ:いつだって街の人々に慕われ、囲まれていたあなたが?
ハインスタイン:いいや。
ハインスタイン:ドゥルスカ。
ドゥルスカ:私、ですか?
ハインスタイン:君を殺さなかったのは。
ハインスタイン:君が、孤独ではなかったからだ。
ドゥルスカ:……。
ドゥルスカ:それは、まさか……。
ハインスタイン:だがね、ドゥルスカ。
ドゥルスカ:……はい。
ハインスタイン:君の瞳には一つ、今、どうにも捨てられない感情があるだろう。
ドゥルスカ:そんなものは……。
ハインスタイン:もっと近くで見せてくれるかい。
ドゥルスカ:はい……。
ハインスタイン:綺麗な瞳だ。
ドゥルスカ:ありがとうございます。
ハインスタイン:男たちに股を開いている間、君は愛を感じるかね。
ドゥルスカ:私には……。
ドゥルスカ:愛なんてありません、神父様。
ドゥルスカ:そんなものは、小屋の中で息絶えていった他の弟たちとともに捨ててしまいましたから。
ハインスタイン:弟を戦地に見送った時に感じたものは何だった。
ドゥルスカ:それは……。
ハインスタイン:何だった。
ドゥルスカ:あの締め付けられるような、泣き出したくなる気持ちは何だったのでしょう。
ドゥルスカ:私には分かりません。
ハインスタイン:ドゥルスカ。
ドゥルスカ:はい、神父様。
ハインスタイン:君は、大変に愚かだ。
ドゥルスカ:また、それですか。
ドゥルスカ:何が愚かだというのですか。
ハインスタイン:本当の君自身の気持ちに気づいていない。
ハインスタイン:いや。
ハインスタイン:その気持ちを、私に掘り起こさせようとしている。
ドゥルスカ:私は、私の感情が分からないのです。
ドゥルスカ:いつだって自分の気持ちを出すところがなかったのですから。
ハインスタイン:教えてあげよう、ドゥルスカ。
ドゥルスカ:はい。
ハインスタイン:あの時、文字を教えたように。
ハインスタイン:君は、確認しに来たんだ。
ドゥルスカ:確認……。
ドゥルスカ:何を。
ハインスタイン:「私が、善良なる聖職者ではなく」
ハインスタイン:「殺人鬼であることを」
ドゥルスカ:……!
ハインスタイン:君の瞳に宿るのは。
ハインスタイン:「羨望」
ドゥルスカ:そんなものは……。
ハインスタイン:「何故、私ではなかったのか」
ドゥルスカ:そんなこと……。
ハインスタイン:「生き延びて」
ハインスタイン:「生き延びて」
ハインスタイン:「生き延びた先に」
ハインスタイン:「幸せがなかった」
ドゥルスカ:そんな、こと……。
ハインスタイン:「身体を弄ばれ」
ハインスタイン:「心を蝕まれ」
ハインスタイン:「残る善良なる記憶は」
ハインスタイン:「あの教会で食べた」
ハインスタイン:「あのクッキー一枚の味だけ」
ドゥルスカ:確かに、あなたからもらったあの一枚は、私の中で特別なものです。
ドゥルスカ:ですが……。
ハインスタイン:ですが。
ハインスタイン:幸せだったのかね?
ハインスタイン:今、ここに至るまでの君は。
ハインスタイン:「生き延びて」きたのか?
ハインスタイン:それとも。
ハインスタイン:「死に損ねて」きたのか。
ドゥルスカ:私は、あの一枚のクッキーから感じた優しさだけで今日まで生きてきました。
ドゥルスカ:あの一枚がなければ、私はとうの昔に死んでいます。
ドゥルスカ:あなたは今まで出会ったどの大人よりも、愛にあふれていたと思います。
ドゥルスカ:だから、私はその愛を疑いたくなかった。
ハインスタイン:ではドゥルスカ。
ハインスタイン:私のことを愛おしく思うと、そう言うんだね。
ドゥルスカ:えぇ、そう思って今日ここに来たんです。
ハインスタイン:君は素晴らしいね、ドゥルスカ。
ハインスタイン:実に素晴らしい。
ドゥルスカ:けれどあなたは、私があの時孤独ではなかったから。
ドゥルスカ:一人ではなかったから、私を殺さなかったとおっしゃった。
ドゥルスカ:今、私はとても混乱しているのです。
ドゥルスカ:あの時に見た愛にあふれたあなたと、殺人鬼としてのあなた。
ドゥルスカ:果たして一体、どちらが本当のあなたなのですか。
ドゥルスカ:あなたに直接お話を聞けたことに満足すればいいのか。
ドゥルスカ:本当のことなど聞かず、きれいな思い出の中に留めていればよかったのか。
ドゥルスカ:私はもう分からないのです。
ハインスタイン:その答えが、知りたいかね。
ドゥルスカ:えぇ、神父様。
ドゥルスカ:果たしてあなたは、一体何者なのですか。
ハインスタイン:では、それを教えてあげよう、ドゥルスカ。
ドゥルスカ:はい……。
ハインスタイン:そのために、私を信用して、愛してくれるね? ドゥルスカ。
ドゥルスカ:……えぇ、もちろんです、神父様。
ハインスタイン:では。
ハインスタイン:今この場で舌を噛み切りたまえ。
ハインスタイン:大丈夫、最期まで見ていてあげよう。
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