朗読詩 アクアリウムライン
アクアリウムライン
#贅沢な骨
あまりにも貴方が泣くので、
貴方から零れたなみだをひとつ、
用意した水槽に閉じ込めた。
ゆらゆらと揺れながら貴方は、
よく冷えた水槽の中を、
まるでミキサーでかき混ぜたみたいに、
まわりはじめて、
いつの日にか、
本当の魚になってしまう。
#スイッチ
蛍光灯の卑しい光の中には、
言葉遊びをする貴方の、
大好きなAndroidの夢、
が詰まっていてなんだか、
淋しいとか哀しいとか、
よりも先に私はどうして、
も貴方の事を忘れる、
ことさえできずに今日、
もスイッチを押すかどうか、
のぎりぎりを生きる。
#アクアリウムライン
境界線を作り出した、私と貴方の為のそれは水槽。
呼吸をするために、魚たちは何も考えずくちを開いては閉じる。
一方私はと言うと、呼吸とか生きるとかよりも先に、発達した鰓を動かしながら少し前まで水槽に沈んでいた涙を掬いながら、
#さよなら、魚たち
言葉なんて必要なかった。
0コメント