朗読詩 しにいたるやまい
いつだって、明日死ぬための理由を見つけながら詩を書いてた。
だから、詩の中の僕はいつも未来を語る。
それが死に至る病で、詩に至る病であることもわかってたんだ。
一体、あの頃と比べて何が変わったっていうんだろ。
あのころの死にたかった僕と比べて変わったことなんて、
死ななくてもいい理由が増えただけだ。
死にたい理由なんて何も変わってないのに。
あの、小説の中で集まろう。
あの、エリオット詩集を片手に持ってさ。
あの、苦しかった事に名前をつけてさ。
どうだっていいよな、そんな事なんてもうさ。
書き損じた話がいくつか溜まったな。
破いて捨てた、自分の人生みたいでさ。
あれからいくつの詩を吐き出してきただろう。
なあ、もういいだろって誰も止めないから。
吐き出しては、破いて、破いては、吐き出して。
物語の中に行こう、そうやってバグらせたこの右脳。
誰から言われても、辞める気なんてないのに。
きっともっとどっかでそっとペンを置く日を。
夢見てははっと気づいてヒッチコックみたいに俯いてる。
あの、小説の中で集まろう。
あの、エリオット詩集を片手に持ってさ。
あの、苦しかった事に名前をつけてさ。
どうだっていいよな、そんな事なんてもうさ。
それでも幸せの渦の中にいることを忘れちゃいけないんだよ。
渦の真ん中は、何も変わっていなくとも
その渦の周りでは、人生が巻き上がっている。
大きくなった台風達をぶつけあって、それを愛と呼び続けてるのだから。
深夜のコンビニ行く、みたいにさ
明日の朝に、何食わぬ顔でたまご
焼いては、嘯いてる。
生きたいも、死にたいも、綯い交ぜにしては
掻き回して、朝のニュースの音量を少しあげる。
後ちょっとを、生きてみよう。
の繰り返し。
あの、小説の中で集まろう。
あの、エリオット詩集を片手に持ってさ。
あの、苦しかった事に名前をつけてさ。
どうだっていいよな、そんな事なんてもうさ。
まて、誰か笑ってるやつがいる。
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