朗読詩「LとかGとかBとかTとか。」
初めて買ったCDの話って覚えてる?なんて言葉で始まる
僕たちの会話は何となく空の青さが気まずくて
ひねり出した精一杯だったんだって本当は気付いてた
お互いの学ランの襟が外れている事とか
さっきの自販機に10円のおつりを忘れた事とか
もっと気楽に話せる事もあったはずなんだけど
それがまた、僕たちの空気感を表しているって思っても
なんだか悪くないよなって笑う日々が続いても良い
最近の世の中はさ、から始まる言葉なんて
上手い事話せない明日の事や
話すことすらできない自分のしょうもなさをごまかすための始まりだと思ってた
それでもやっぱり空は青くて
最近の世の中はさ、LとかGとかBとかTとか
はっきりさせないと上手くいかない事ばかりでさ
これじゃ本当にあの時の空は無くなってしまったんじゃないかって
なんだか悲しい気持ちになっていくんだよ、それすらも嘘のままの方がよかったんじゃないかって
初めて買ったCDはさ、宇多田ヒカルの「ファーストラブ」で
ちょうど初恋もそのころにあったと思うとなんだか感慨深いよな
MDに録音したのを一緒にイヤホンを分けて聞いたっけ
もう今の若い子にはMDなんて伝わらないって信じられる?
お互いの学ランの襟が外れている事とか
さっきの自販機に10円のおつりを忘れた事とか
もっと気楽に話せる事もあったはずなんだけど
なんだかそのままでもいいのかなって
思えたのは全部空のおかげだし空のせいでもあるんだよな
最近の世の中はさ、から始まる言葉なんて
上手い事話せない明日の事や
話すことすらできない自分のしょうもなさをごまかすための始まりだと思ってた
それでもやっぱり空は青くて
今考えても見てもさ、あの時お前がしたキスの意味は
あの頃の俺にはわからなくて当然だったのかもしれないな
最近の世の中はさ、LとかGとかBとかTとか
はっきりさせないと上手くいかない事ばかりでさ
この気持ちも、あの時の気持ちも
何もかもに名前をつけたり色を塗らないと生きづらいんだってさ
生きづらさなんて昔から1ミリだって変わってないのにな
最近の世の中はさ、LとかGとかBとかTとか
自分の名前の後につけとかないと落ち着かない世の中でさ
あの時のキスの意味なんて、わからなくてもよかったのにさ
何もかもを決めないと人間じゃいられないんだってさ
そんなことならさ、嘘ついたままのほうが
良かったのかもしれないよな
嘘つきなままのほうがさ
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