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臍帯とカフェイン|声劇シナリオ・ポエトリー

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スペクタクル・オーバーミント・ハニーバター(0:0:2)

【配役】


◆メイヴ:

 元・天才役者。国立劇団座長。メイヴ・ハーティ。 作中男性だが、性別は不問とする。


◆ウィンストン:

 元・売れない画家。まだ、レストランの給仕。ウィンストン・パノマール。 作中男性だが、性別は不問とする。


【詳細】

ジャンル:ヒューマンドラマ

配役:性別不問2名

時間:約20分

 


すべての創作者と、すべての表現者へ。



メイヴ:それ、要らないのか?


ウィンストン:ああ、うん、メイヴ要る?


メイヴ:ちょっと興味ある。


ウィンストン:じゃああげる、ちょっと僕には合わなかった。


メイヴ:ありがと。

メイヴ:(もぐもぐと咀嚼しながら)

メイヴ:ふーん?悪くない味だな?


ウィンストン:結構好きなかんじ?


メイヴ:うん、嫌いじゃない。

メイヴ:(咀嚼しながら)

メイヴ:これなに味?


ウィンストン:えーっとね、「スペクタクル・オーバーミント・ハニーバター」って書いてある。


メイヴ:スペクタクルってなんだよ。


ウィンストン:わかんない、なんかすごいとかそんな感じなんじゃないかなあ。


メイヴ:これミントも入ってる?


ウィンストン:入ってる、と書いてはあるね。


メイヴ:ミント嫌いなはずなんだけどな。


ウィンストン:そういえばそうだよね?


メイヴ:悪くないね。


ウィンストン:嫌いなものを克服する瞬間ってなんかアーティスティックだよね。


メイヴ:たしかにな。


ウィンストン:(鼻歌を歌いながら、雑誌をぺらぺらと捲る)


メイヴ:それ、なんの雑誌?


ウィンストン:これ?週刊世界のスイッチ


メイヴ:なんだそれ?


ウィンストン:世界中のスイッチというスイッチの特集が組まれた雑誌


メイヴ:例えば?


ウィンストン:んー、面白かったのはこれかな


メイヴ:なになに、「世界初、ボタンやスイッチの博物館」……へえ!ジャポネーゼにあるのか!


ウィンストン:そう!凄くない!?1048個もボタンが展示されてるらしいよ、行ってみたいなぁこれ。


メイヴ:行けばいいじゃないか、リリアーナと。


ウィンストン:ううーん


メイヴ:新婚旅行まだなんだろ?


ウィンストン:し、しししししし、新婚旅行!?


メイヴ:いい加減慣れろよ、ウィンストン


ウィンストン:な、慣れない、慣れないよぉ、そういうのって慣れるもの?


メイヴ:慣れるもんだろ、いや、どうなんだ?


ウィンストン:慣れないでしょ!


メイヴ:慣れた方がいいとはおもうけどな!


ウィンストン:う、うう、照れちゃうんだよなあ


メイヴ:ははは、まあ、その方がお前らしいけどな、ウィンストン


ウィンストン:新婚旅行ってやっぱり行ったほうがいいの?


メイヴ:そりゃそうだろ!当たり前だ!


ウィンストン:うう、ううーん、ううーん


メイヴ:リリアーナは?行きたがってないのか?


ウィンストン:なんかあんまり興味無さそうで……


メイヴ:興味ない?


ウィンストン:うん、どこか行きたいところはある?って聞いてみたりするんだけどさ


メイヴ:うん


ウィンストン:「どこでもいいのよ」って言うんだ。


メイヴ:……はいはい、それくらいにしとけよ~、ウィンストン


ウィンストン:な、なにがだよ


メイヴ:あっ、それ以上は厄介者だぞウィンストン、厄介者だ


ウィンストン:な、なんでだよー!


メイヴ:……ふふふ、分かりきってるだろそんなの。


ウィンストン:な、なにが?


メイヴ:どこでもいいんだよ、「お前が居れば」


ウィンストン:…………そういうこと!?


メイヴ:はいはい、ご馳走様


ウィンストン:ち、違うよ!メイヴ!惚気けたわけじゃないから!違うから!


メイヴ:はいはい、ご馳走様


ウィンストン:ああー!これじゃまるで角が大きすぎるバッファローだよお!!!!


メイヴ:はいはい、自滅自滅


ウィンストン:はー、顔赤くなってきちゃった


メイヴ:で、どこにいく?


ウィンストン:うーん、やっぱり、ジャポネーゼに行ってみたいかなあ


メイヴ:おお、いいじゃないか、スシ、テンプラ、ゲイシャ、ハラキリ


ウィンストン:は、ハラキリは見たくないけどね?


メイヴ:美術品も多いもんな


ウィンストン:うん、そうなんだ。浮世絵とかね、僕もリリーも興味あるから。


メイヴ:いいじゃないか、行ってこいよウィンストン


ウィンストン:そうだね、そうしようかな

ウィンストン:メイヴは?最近はどうなの?


メイヴ:どうって?


ウィンストン:クロードから聞いたよ?


メイヴ:なにを?


ウィンストン:幽霊の話?


メイヴ:(ガタガタッと椅子から落ちる)


ウィンストン:ちょ、ちょっと、大丈夫!?


メイヴ:な、なんでもない、なんでもないぞ


ウィンストン:………………ねえ、メイヴ?


メイヴ:なんだよ


ウィンストン:克服したって言ってなかった?


メイヴ:な、なにが


ウィンストン:幽霊とか


メイヴ:し、したさ!?


ウィンストン:ほんとに?


メイヴ:したよ!全然した!まったくもって平気だ、なんにも怖くない、楽勝


ウィンストン:メイヴ後ろの人誰?


メイヴ:はいいいいい!?


ウィンストン:……。


メイヴ:な、なんだよ、誰も、居ないじゃないか。


ウィンストン:克服した?


メイヴ:した。


ウィンストン:本当?


メイヴ:本当。


ウィンストン:厄介者だよ?それは。


メイヴ:……してない……。


ウィンストン:(口を塞ぎながらクスクス笑っている)


メイヴ:わ、笑うなよ!仕方ないだろ、怖いもんは怖いんだから!


ウィンストン:ごめんごめん、なんか懐かしくなって


メイヴ:……やったな、克服週間……。


ウィンストン:そうそう!いつだったっけ?


メイヴ:……国立劇団入ったばっかりの時。


ウィンストン:あー!そうそう!そうだ!入りたての時!思い出した!


メイヴ:思い出した……最悪だ……。


ウィンストン:大変だったもんねぇ、あの時。


メイヴ:何本ホラー映画を観たか思い出せない。


ウィンストン:お化け屋敷も行ったよねぇ~


メイヴ:やめろ、その話はやめよう、なあ、ウィンストン


ウィンストン:泣き叫びすぎて喉枯れてたもんね


メイヴ:二度と行かないと決めたんだ、絶対に、なにがあろうとも、絶対だ、二度と、行かない


ウィンストン:面白いのになぁ、お化け屋敷


メイヴ:……よく平気だよな?ウィンストン


ウィンストン:ふふ、ジョージ・A・ロメロのゾンビとか、大好きだからね


メイヴ:あああ、やめろ、タイトルを言うな!


ウィンストン:……13日の金曜日?


メイヴ:やーめろって!!!


ウィンストン:金曜日?


メイヴ:だあ!!!!


ウィンストン:き、金曜日しか、言って、ないよ、メイヴ、くふふふふ


メイヴ:ひ、人で遊ぶなよウィンストン!


ウィンストン:ごめんごめん、僕結構怖がってるメイヴ好きだよ


メイヴ:好かれても困る!


ウィンストン:ふふ……もっとそういう弱い所とかも見せればいいのに。


メイヴ:……だ、誰に。


ウィンストン:クロードとか、他の団員さんとか、なんか最近新しく2人入ったんだろ?


メイヴ:ああ……


ウィンストン:弱いところを見せるのも、チームワークにはきっと必要だよ?メイヴ


メイヴ:……わかってるよ


ウィンストン:あ、納得はしてないやつだ


メイヴ:……だって、怖いだろ、なんか


ウィンストン:おばけが?


メイヴ:ウィンストン?


ウィンストン:ごめんごめん


メイヴ:……傷つくのも、傷つけるのも、怖いだろ


ウィンストン:……そうだねえ、僕らは、創作者は、表現者は、心で動いてるもんね


メイヴ:青臭いって言われてしまうかも知れないけどな……


ウィンストン:いいじゃない、僕らまだまだ青二才。

ウィンストン:これからもずーっと青二才だよ。


メイヴ:……そうだな。胸に刻むよ。


ウィンストン:どうなの?新しい子は。


メイヴ:……ああ、一人はすごく頑張ってるよ。

メイヴ:天性の才能のようなものは無いかもしれないが、とにかく努力してる。一生懸命だ。


ウィンストン:ふふ、そっか、なんかいいね、そういうの。


メイヴ:たまーにクロードとバチバチやりあってるけどな。


ウィンストン:クロードが?


メイヴ:そう、最近は特に。少し落ち着いたと思ったんだけどな。


ウィンストン:……いいことじゃない。


メイヴ:そうかぁ?


ウィンストン:そうだよ、すごくいいと思う。

ウィンストン:「遠慮する必要」が、無くなったんだろう?きっと。


メイヴ:……俺はたまにお前がすごく羨ましくなることがあるよ。


ウィンストン:奇遇だね、僕も、メイヴが羨ましくなること沢山だ。


メイヴ:……そっか。


ウィンストン:ふふ、そうだよ。

ウィンストン:もう一人は?


メイヴ:てんでダメだ。


ウィンストン:あらら?


メイヴ:何にでも口挟んでくるわ、偉そうだわ、場をしっちゃかめっちゃかにするわ、人の気持ちは考えないわ。

メイヴ:もう、トラブルメイカーってあいつの為にある言葉だぞ、間違いなく。


ウィンストン:ははは!活きのいい子が入ったんだ?


メイヴ:……そうだな、活きがよすぎて毎日俺と喧嘩してるよ。


ウィンストン:毎日?


メイヴ:そう。


ウィンストン:君と?


メイヴ:そうだ。


ウィンストン:……いいこが、入ったんだねえ。


メイヴ:……なんでニヤニヤしてるんだ、ウィンストン。


ウィンストン:ふふ、してないよ、ニヤニヤなんて。


メイヴ:してるだろ、ずっと、ニヤニヤしてるだろ。


ウィンストン:えへへへへ、してないよー?


メイヴ:あー!こいつ!厄介者の顔になってるぞ!


ウィンストン:そう!僕は厄介者だし、角の折れたユニコーンさ!


メイヴ:このやろっ


ウィンストン:あははは!

ウィンストン:……羨ましいよ、メイヴ。


メイヴ:なんだよ。


ウィンストン:ふふ、いいじゃない、久しぶりだよ?こんな風に2人だけで目的なく過ごす夜なんて。


メイヴ:いつ以来だ?


ウィンストン:うーん。


メイヴ:もしかして。


ウィンストン:はは、そうかも。


メイヴ:『マグカップを探した日』


ウィンストン:懐かしいねえ。


メイヴ:なんだかさ、ウィンストン。


ウィンストン:……ふふ、わかったよ。


メイヴ:わかったのか?


ウィンストン:当然だろ?何年一緒に暮らしたと思ってるんだい。


メイヴ:……だな。


ウィンストン:淹れてくるよ、ウィンストン印の特製チャイを。


メイヴ:はは、ありがとう。


0:ウィンストン、チャイをいれながら


ウィンストン:そういえば、前の座長さんとは連絡とってるの?


メイヴ:いいや、全く音沙汰無し。


ウィンストン:便りが無いのは元気な証拠、って言うけどねえ。


メイヴ:あの人は、いつも急だからな。


ウィンストン:憧れの人だったんだろう?


メイヴ:……すごかったんだ、それこそあの人の舞台のチケットはまず買えないとこから始まる。


ウィンストン:ずっと?


メイヴ:ずっと


ウィンストン:じゃあどうやって買うの?


メイヴ:死にものぐるいで買う


ウィンストン:根性論じゃないか!


メイヴ:それぐらい、凄い人気だったんだよ。


ウィンストン:……すごいね。


メイヴ:ああ、いつまで経っても届かないよ。


ウィンストン:……そこが、メイヴにとっての頂上だった?


メイヴ:いいや。


ウィンストン:違うのかい?


メイヴ:ああ。


ウィンストン:……なんでだい?


メイヴ:超えなきゃいけないなら、それは頂上じゃないだろ?


ウィンストン:……ふふ、僕は本当に君が羨ましいよ。


メイヴ:そう言われたくて、登り続けてるのかもな。


ウィンストン:はい、できたよ。ウィンストン印の特製チャイ。


メイヴ:ありがとう、いい香りだ。


ウィンストン:ブラックペッパーが挽き立てだからね。


メイヴ:なるほど、この香りの正体はそれか。


ウィンストン:底の方が熱くなってるからね、気をつけてよ。


メイヴ:わかってるって。


ウィンストン:……触ると思った?


メイヴ:思った。


ウィンストン:あちっ!ってやると思った?


メイヴ:思った。


ウィンストン:ふふん、僕だって成長するんだよ。


メイヴ:成長おめでとう。


ウィンストン:本当に思ってる?


メイヴ:思ってる思ってる。


ウィンストン:怪しいなあ、そんなのチンパンジーの路肩走行じゃないか。


メイヴ:お、新しいウィンストン語録。ちょっとまて、グループチャットに送る。


ウィンストン:え?なに?なんて?


メイヴ:(スマートフォンを触りながら)

メイヴ:チンパンジーの、ろかた、そうこう、っと。


ウィンストン:ねえ、何してるの。


メイヴ:はは、流石リリアーナ。リアクションが早い。


ウィンストン:ねえってば。


メイヴ:グループチャットがあるんだよ。


ウィンストン:なんの?


メイヴ:お前の。


ウィンストン:はい?


メイヴ:お前の語録のだよ。


ウィンストン:いや待って、もう少しちゃんと説明して。


メイヴ:お前の語録を共有するチャットがあるんだよ。


ウィンストン:なにそれ!聞いてない!


メイヴ:はは、言ってなかったからな。


ウィンストン:誰がいるのそこ!


メイヴ:俺とリリアーナとクロード。


ウィンストン:僕も入れてよ!


メイヴ:お前の語録を集めるグループなのにお前がいたらおかしいだろ?


ウィンストン:なんだよそれー!


メイヴ:あ、クロードからもリアクション来た。


ウィンストン:なんてきたの?


メイヴ:怪訝そうな顔のマーク


ウィンストン:なんでだよ!


メイヴ:ははは!そういえば、新しい団員も語録がありそうだったよ。


ウィンストン:語録って言われるの不服だけども……そうかい、なんて語録を言ってたの?


メイヴ:チンパンジーのバナナ置き場だってさ。


ウィンストン:……そんなの普通じゃないか!


メイヴ:お?なんだ?認められない?


ウィンストン:当然だ!僕の語録と一緒にしないでくれ!


メイヴ:あはははは、語録バトルだな、これは。


ウィンストン:しないよそんなの!


メイヴ:なーんだ、しないのか。


ウィンストン:してほしいの!?


メイヴ:してたら最高。


ウィンストン:まったく!馬鹿なこと言ってないで飲みなよ!


メイヴ:そうだった、せっかくのチャイだからな。

メイヴ:いただきます。


ウィンストン:(飲みながら)ふー、落ち着くねえ。


メイヴ:(飲みながら)まったくだ。


ウィンストン:今日夜ご飯は?


メイヴ:なんも考えてなかった、お前は?


ウィンストン:リリアーナはクロード達とディナーだってさ。


メイヴ:なんだ、寂しいじゃないか。


ウィンストン:メイヴは?


メイヴ:クロードはリリアーナ達とディナーだってさ。


ウィンストン:なーんだ、寂しいね。


メイヴ:お互いにな。


ウィンストン:お互いにね。


メイヴ:何食いたい?


ウィンストン:せっかくだからガッツリ食べたいかな。


メイヴ:お、いいね。肉か?


ウィンストン:あ、もしくは。


メイヴ:もしくは?


ウィンストン:ほら、この間来れなかった時あったろ?


メイヴ:……あー、あの、なんだっけ


ウィンストン:ポテトグラタンがうまいとこ。


メイヴ:そこだ。肉料理もある?


ウィンストン:確か鴨のコンフィが美味かった気がする。


メイヴ:お、鴨、いいね。


ウィンストン:明日の予定は?


メイヴ:夜にミーティングがある程度。


ウィンストン:ってことは、久々に飲めるね。


メイヴ:いいね、悪くない。


ウィンストン:ふふ、じゃあ夜はそこで決まりだ。


メイヴ:じゃあそれまでゆっくりしますか。


ウィンストン:充分ゆっくりしてるけどね!


メイヴ:それもそうだ。

メイヴ:さっき貰ったお菓子も食べきっちまおう。


ウィンストン:チャイに合う?


メイヴ:うーん。

メイヴ:(咀嚼しながら)

メイヴ:合わなくもない。


ウィンストン:うげー、本当に?


メイヴ:なに味って言ってたっけ。


ウィンストン:ちょっと待って、全然覚えてない。パッケージ見てみて。


メイヴ:「スペクタクル・オーバーミント・ハニーバター」……だとさ。


ウィンストン:何もわかんないよそんなの。


メイヴ:ははは!だな!


ウィンストン:ちょっと1個ちょうだい。


メイヴ:もちろん、ほら。


ウィンストン:(咀嚼しながら)

ウィンストン:まあ、合わなくも、無い、か。


メイヴ:だろ?


ウィンストン:はは、だね。

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