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臍帯とカフェイン|声劇シナリオ・ポエトリー

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green bootsシチュエーション【メイヴ・ハーティと劇団員】

【説明】

当シチュエーションボイス用シナリオは、拙作「green boots」シリーズの

キャラクター達の日常生活を描写したものです。

キャラクターに成りきって、1人演技を行う目的で作成されたものになります。


【配役】

◆メイヴ・ハーティ:

 あなたが演じる国立劇団の座長です。

 劇中男性ですが、性別不問としています。




なんだ、まだ残ってたのか?

こんな遅くまで熱心だな。

鍵?いいよ、別に、気にするな。

自分の大事な劇団員が残るって言ってるんだ。

それに付き合わない座長なんて、国立劇団を背負う懐、無いだろ?


気にせずやってくれ。

俺もここで、少し休んでてもいいか?

……ありがとう。


(本をぺらぺらとめくる)


……気になるか?

はは、わかるだろ、それだけ見つめられてたら。


役者たるもの、目線だけで感情を伝えないとな。

それでいくと、今の目線はすごくよかった。

ああ、伝わってきたよ。

「気になる」って気持ちが。


これはな、普通に今流行りの本屋で平積みされてる小説だよ。

ああ、読むよ、小説。

ジャンルとか、作者とか、問わずなんでも、かな。


なんでって、そりゃ、俺が役者だからだよ。

……はは、まあ、これも師匠の受け売りみたいなもんだけどな。


今の時代、受け取りたい情報だけを受け取る世の中になっちまっただろ?


そう、ニュース番組とか、記事とかな。

自分が読みたいものだけを手に取って、それを飲み込める。


それって、すごく効率的だろ。

タイパっていうのか、今は。


でも、そうすると必要な感情や、必要な考え方しか俺らには残らない。

あとの要らないものは、どうしても捨てゆく人生になっちまうだろ?


……役者として、それは、少し寂しいよな。


持つべきではない感情や、持ちたくも無い感情をさ。

俺達は表現して、表現しつづけて、これからもそれらと共に生きる。

だから、役者、だろ?


そ。それ故の、小説。

なんでも、余計なモノほど、読み込んでいくほうがいいんだよ、俺らっていうのはさ。


稽古、いいのか?しなくて。


……はは、馬鹿。別にいつだって話くらい聞くぞ。

何度も言うが、大事な劇団員なんだからな。


……最近悩んでるだろ。

わかるさ、それくらい。表情にも、声にも出てる。


ま、たまにわかっててもあえて無視しちまうことも、あるけどな。


……自分で抱えて、自分で煮詰めて、自分で吐き出したほうが

より多く成長できるやつもいる、だろ?


はは、クロード?あいつなんて、まさしくそうだよな。

天才の苦悩なんて、そんな大げさなモノじゃ無いさ。

「結果」よりも、「過程」のほうが大事なヤツもいる。


……お前も、そうだと俺は思うよ。


苦しいか?今。

そうか。そりゃ、そうだよな。

うまく行かなきゃ苦しい、上手くいけば苦しくない。

当然だよな、でも、当然だからって簡単って話じゃない。


表現って、なんだろうって思うこと、無いか?

俺はな、いつでも思うよ。表現ってなんなんだろうな。


自分の感情を表しているかと思えば、

誰かの皮を借りてそれを吐き出している事もある。

いつまで経っても、その人物の事なんてわからなくて。

終いには自分自身の事もわかなくなったりしてな。


今、そんな感じだろ。

はは、そうだよな、わかるよ。

なにせ、俺も、あのクロードだってそうだったんだから。


でもな、俺はそんな今のお前を誇りに思うよ。

わかった気になって、全部を理解してます、なんて顔して演技してたら

俺は今頃お前とはっ倒してた。

嘘じゃないぞ、やってたな、うん、まあ、昔の俺だったら、だけど。


……そう、わからないんだよ、他人のことなんてな。


自分自身の感情すら、すべてコントロールすることなんて出来ないんだ。

他人の感情の一つ一つ、すべてがお見通しなんてこと、あったら怖いだろ。


「わからない」から、「それを追いかけ続ける」んだよ。


わからないから、表現を繰り返し続ける。

その、悩みながら、藻掻きながら、理解しようとするその「過程」に

意味があるんだよ。


その「過程」に意味があったから、舞台の上で「結果」を見せることができる。


俺達は、そういう生き物なんだ。


……やる気、出たか、そうか、そりゃよかった。


あと30分?いや、1時間は待ってやれる。

ちょうど、この小説を読み切る時間くらいだ。


じゃあ、また、1時間後。

お互い、集中しようか。


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