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臍帯とカフェイン|声劇シナリオ・ポエトリー

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カルペディエム(0:0:3)

【配役】

◆エコー:

国立劇団を新しくしていく覚悟をした天才ピアニスト。ご意見番。エコー・フォン・ベスティアンブラーヴェン。 作中女性だが、性別は不問とする。


◆パティオ:

道を理解した脚本家。パティオ・アンダーソン。劇中の性別は女性ですが性別不問とする。


◆ドルチェ:

スーパースターを目指す元詐欺師。ドルチェ・クラウン。劇中の性別は男性ですが、性別不問。



エコー:これはどこに置くのだ?


ドルチェ:あー、それはとりあえず奥の部屋で。


エコー:了解なっのだ~。


パティオ:ドルチェ、これは?


ドルチェ:ああ、それはここでいいや。


パティオ:ここね、了解、随分軽いね?


ドルチェ:そもそも、あんまり荷物っていう荷物無かったしな。


エコー:逃亡生活だったからなのだ?


パティオ:ちょ。ちょっとエコー?


ドルチェ:いや、実質その通りだよ。逃げては騙して、騙しては逃げて。根無し草だったから。


エコー:前科、つかなくて良かったなあ、本当に。


ドルチェ:……俺を追ってた警官って、俺がまだガキの頃俺を拾ってくれたマフィアの兄貴分でさ。血は繋がってないんだけど、本当の家族みたいにしてくれてた人で。


パティオ:待って待って、マフィアの兄貴分なのに、警官?


ドルチェ:そ。潜入捜査で入ってたんだってさ。


エコー:せ、潜入捜査とかドキドキするのだ……!


パティオ:ど、ドラマみたいだねえ!?


ドルチェ:……なんだかんだ、世話になりっぱなしだよ、あの人には。


エコー:……いいことなのだ、それだけ人との繋がりのある人生ということだ。


パティオ:本当、何があるかわからないねえ人生って。


パティオ:そういえば、ドルチェは前任の座長さんの紹介で、国立劇団に来たんだよね?


ドルチェ:シルバ先生ね。


エコー:シルバ・ブライトマンと言えば、銀幕のスター。素晴らしい俳優だったのだ~!


パティオ:エコーって結構俳優さん詳しいよね。


エコー:好きだからな、演劇というか。ドラマというか。そういうものが。


パティオ:ドルチェは、そのシルバ・ブライトマンと何処で知り合ったの?


ドルチェ:北ホリベスの田舎町に、ピーカブーって町があるんだけど。


パティオ:……ん?


ドルチェ:そこ病院で、拾われたというか。


パティオ:……ピーカブーの、病院?


ドルチェ:ああ。そこで、まぁ、詐欺をしようとした時があって……。


エコー:病院で詐欺とは、才能を感じぬな……


ドルチェ:わかってるよ……


パティオ:ピ、ピーカブーの、病院…………?


エコー:どうしたのだ、パティオ。


パティオ:……私、ピーカブーの出身なんだけど。


エコー:え?


ドルチェ:え?


パティオ:シルバ・ブライトマンって、ピーカブーに居たの……?


ドルチェ:ああ、それこそもう住んで5年以上経つって言ってたけど。


パティオ:ええええ!じゃあ住んでた時期かぶってる!くはー、なんだよー、ドルチェいいないいな、私もシルバ・ブライトマンに会いたかったよー!


ドルチェ:はは、多分いずれは会えるって。


エコー:そうだなぁ、ひょっこり劇団に顔出したりするかもしれぬものな!


パティオ:確かにね、可能性はまだあるかっ。

パティオ:……って、待って、ドルチェ。


ドルチェ:うん?


パティオ:ピーカブーの病院って、どこの?


ドルチェ:駅前のとこだよ。


パティオ:……隣に、ホットドッグのお店ある?


ドルチェ:ああ、あったかも。


エコー:なんだなんだ?


パティオ:……ルシオっていう看護師いなかった?


ドルチェ:ルシオさん!お世話になったよ!よく差し入れ貰ってた


エコー:おっ、なんだ、これは、まさか


パティオ:ル、ルシオと出会ってるの~!?


ドルチェ:知り合い?


パティオ:知り合いも何も!友達だし、私が前に入ってた小劇団の座長!


ドルチェ:あ。言ってたそういえば。小劇団の座長してたって!


エコー:にゃはは!これは面白いな!我々三人、同じ場所の由来があったのだなあ


パティオ:……三人?


ドルチェ:と、言うと?


エコー:私もピーカブーの音楽学校に通ってたことがある!


パティオ:ええ~~~~!?


ドルチェ:そういえば、確かに、あるな。


エコー:実際に通っていたのは数年だからな、厳密にはすれ違っているだろうが


パティオ:でもなんか、繋がりあると嬉しいよね


エコー:にゃはは、そうだな。


ドルチェ:ピーカブーストリートにさ、おいしいハンバーガー屋があるんだよな


パティオ:あ、知ってる!有名なとこでしょ!


エコー:ハンバーガー……


ドルチェ:知らない?


エコー:食べたこと、ないのだ。


パティオ:ハンバーガー食べたことないの!?


エコー:無い。まだ。一度も。


ドルチェ:おいおい、まじかよ。一度も?


エコー:い、一度も。


パティオ:……はい、ドルチェさん。


ドルチェ:はいはい、なんでしょう、パティオさん。


エコー:何が始まったのだ。


パティオ:我々は引越しの手伝いをしました。


ドルチェ:はい。ありがとうございます。助かりました。


エコー:ほとんど何もしてないのだ。


パティオ:お手伝いの報酬として飯奢りを求めます。


ドルチェ:奇遇ですね、私もそうするつもりでした。


エコー:おっ、おっ?なんだ?タダ飯か?


パティオ:ハンバーガー食べ行こうよ!この後!


ドルチェ:異議なし!


エコー:え、え、え、いいのか!?


パティオ:ドルチェの引越し祝いも込めて!ハンバーガーパーティしよ!


ドルチェ:異議な~し!


エコー:わ、わ、はじめての……ハンバーガー……っ!!


パティオ:ふふふ、ちょっと楽しみ。


エコー:やったのだ!念願のハンバーガーなのだ!

エコー:ドレスコードは!?事前に必要なものはあるのか!?


ドルチェ:ハンバーガー屋にドレスコードなんて要らないって


エコー:ひ、必要なものは!?


ドルチェ:その両手をしっかり洗っとくってだけ


エコー:素手で掴んで食べるんだな~!?


パティオ:引越し記念日だし、ハンバーガーはじめて記念日だこれは。


エコー:ううう~!楽しみだ~!


ドルチェ:はは、ハンバーガーで楽しみなんて安くていいなあ


パティオ:なんか、こういうの同期ってかんじ、するよね。


エコー:いいものだな、そういう関係は。


ドルチェ:……あんま照れくさくなること、言うなよ。


パティオ:言いたくもなるでしょ、なんせあのワークショップを経験した三人だからね、私たち。


ドルチェ:……ワークショップで、思い出したんだけど。


エコー:うん?


ドルチェ:……パティオ、お前、またあのアルマ・アンデルセンのとこ、行ってるだろ。


エコー:な、なんで!?


パティオ:あー……バレてたか……


ドルチェ:たまたま、見かけたもんで……


パティオ:別に隠してたわけじゃ、ないんだけどね。


エコー:ぱ、パティオ、どうして


パティオ:……なんか、悔しくてさ。


エコー:悔しい……


パティオ:あのまま、バカにされたまま。

パティオ:何も得られないまま、終わっちゃうのってさ。

パティオ:なんか、悔しくて。


ドルチェ:……酷いこと、されてないか?


パティオ:あはは、されてるされてる。


エコー:ぱ、パティオぉ……


パティオ:大丈夫だよ、ありがとう、エコー心配してくれて


エコー:心配するよそんなの……


パティオ:……座長さんの為にもね、何かを持ち帰りたいんだ、私。


ドルチェ:だからって……一人で乗り込まなくても


パティオ:ごめん、相談するべきだったかも。


エコー:……でも、それもまた、殻を破ること、なのだな?


パティオ:……うん。私、負けたくないし、もう逃げたくないんだ。だから、その為の戦い……かな。


ドルチェ:……パティオの夢ってなんなんだ?


パティオ:私の、夢?


エコー:……私も聞きたい。


パティオ:……そうだなあ。

パティオ:いっぱいあるけどね。

パティオ:……クロードに、負けないこととか。

パティオ:あるけど、一番はね。

パティオ:「私の書いた脚本を、国立劇団で上演したい」


ドルチェ:……だから、クロードさんがライバル?


パティオ:そゆこと。


エコー:グリーンブーツの興行収入、今までの中でもダントツだと言うしな。


ドルチェ:いい目標だな、最終的には国立劇団が誇る売れっ子脚本家か。


エコー:険しいな!その道は!


パティオ:うるさいうるさい、わかってますって!


ドルチェ:俺は、メイヴ・ハーティを超えたい。


エコー:とんでもないビッグマウスを叩いたものなのだ。


パティオ:私も大概だけど、座長超え宣言は……中々だね。


ドルチェ:……シルバ先生にも、座長にも、面と向かって言っちまったからな。


エコー:それはエクセレントブラボーだな!?


パティオ:す、すごい……座長2人に面と向かって……


エコー:喜んでたであろう?


ドルチェ:座長?


エコー:うむ。


ドルチェ:どう、なのかな。喜んでたかは、わかんないや。


エコー:……きっと、喜んでいたとも。


ドルチェ:……俺の下手な嘘を信じてくれた女の子がいたんだよ。


パティオ:……その、病院で?


ドルチェ:そ。……俺の嘘を、信じたまま死んじまってさ。

ドルチェ:……恥ずかしかったんだ、俺。


エコー:恥ずかしい?


ドルチェ:ああ、そんな劇的なことが無いとさ。

ドルチェ:俺は改心できなかったんだな、って。


パティオ:……少し、わかる気がするよ。


ドルチェ:……だから、その子の最後がさ。

ドルチェ:俺みたいな下手くそをメイヴ・ハーティと勘違いして死んだ人生じゃなくて。

ドルチェ:ドルチェ・クラウンっていうスーパースターの凄さにはじめて気づいた人生に、してやりたいんだ。


エコー:……道のりは、険しいな!


ドルチェ:おまえ~!その通りだから何も言えねえな!


パティオ:じゃあ、座長超えが目標?


ドルチェ:……まずは、『主役の座を勝ち取る』って所から、かな。


エコー:……うむ、明確でよい目標だな。


パティオ:で?


エコー:で?


パティオ:天才ピアニスト、最強のご意見番様は?


エコー:私?


ドルチェ:そういえば、あんまり目標とか聞いたことないよな。


エコー:確かにあまり言わないかも。


パティオ:目標どころか、あんまり自分の話しないからなあ、エコーは。


エコー:う……確かに、あまりしないのだ。


ドルチェ:じゃ、聞かせて貰いましょうか。


エコー:……い、言わないとだめか?


パティオ:私とドルチェは言いましたけど~?


ドルチェ:俺とパティオは言ったけどな~?


エコー:うう、そ、そうだな、それに答えないのは無粋というものだ。


パティオ:はい、エコー先生の目標をどうぞ。


エコー:……『国立劇団を壊す』、かな……。


ドルチェ:おいおい、物騒な事言ってるなあ。


エコー:ち、違うのだ!物理的に壊すとか、潰すとかそういう悪い意味ではないのだ!

エコー:……国立劇団は、もともと、シルバ・ブライトマンっていう神様みたいな人が座長だったでしょ……?


ドルチェ:今じゃただの腰の痛い俳優だけどな。


エコー:それでも、未だにアルマ・アンデルセンみたいに崇拝する人がいるレベル。

エコー:良くも悪くも『シルバ・ブライトマン』がすべてだった。


パティオ:……カリスマの統治、みたいな感じ?


エコー:そう。だから、レベルは高かった。みんな目指すべき場所が同じだから。

エコー:みんな、シルバ・ブライトマンを目指した。

エコー:……大量退団って、それが原因だと私は思う。


ドルチェ:……基準がすべて、シルバ先生なんだな?


エコー:……だから、新しいものが産まれない。

エコー:伝統も大事、でも、メイヴ・ハーティは

エコー:……座長殿は、そこを新しくしようとしてる。


パティオ:……すごいよね、本当。


エコー:だから、きちんと、いい意味で、国立劇団を壊したいのだ。新しく、皆がそれぞれの思いやそれぞれの武器で、エベレストに登ることができるように。


ドルチェ:……なるほどな。


エコー:だからまずは、座長の言うことだけを聞く、っていう簡単なチームにならないで欲しい。そう思うのだ。


パティオ:……だから、ご意見番してるんだもんね。


エコー:……そう。


ドルチェ:思ってたより一番考えててちょっと今感動してるかも。


エコー:本当にちょっと泣いてるのだ。


パティオ:……いいじゃん、なんか、三人それぞれ違う目標だけどさ。


エコー:……うん、目指すべき頂上は同じなのだ。


ドルチェ:そうだな、頂上は変わらず


パティオ:「いい劇団にする」


エコー:間違いないのだ。


ドルチェ:なんか小っ恥ずかしいけどな。


パティオ:いいじゃん、小っ恥ずかしいことも平然とやってのけるのが私たち国立劇団でしょ。


エコー:うむ、その通りなのだ!


ドルチェ:そっか、それで、いいんだな。


エコー:なかなか険しい道のりだけどな!


パティオ:ははは、エコーの道のりが一番大変そう!


ドルチェ:お前楽団メンバーから嫌われすぎだろう~?


エコー:し、仕方ないのだ!楽団メンバーはまだまだレベルに達してないからなのだ……!


パティオ:そこもほどほどにだよ、まったく


ドルチェ:嫌われすぎないよーにな


エコー:き、気をつけるのだ……


パティオ:……まずは。この三人から、だね。


エコー:え?


ドルチェ:お前の夢を叶えるために、なんでも言えるようにならなきゃな。


エコー:ど、ドルチェ~!


パティオ:違うことは違う、いいものはいい、私たちから言えるようにならなきゃ。


エコー:ぱ、パティオぉ~!


パティオ:私最近気づいたんだよね


ドルチェ:何が?


パティオ:エコーは結構、こういう仲間!って感じなことに弱い


エコー:分析するななのだ~!!!


ドルチェ:ははは、知ることって大事、だろ?


エコー:くぬぬぬ、その通りなのだ!エクセレントスーパーブラボーなのだ!


パティオ:それじゃ、我ら同期三人組、夢に向かうということで。


エコー:い、1個提案があるんだけど……


ドルチェ:提案?


パティオ:なに?


エコー:同期三人の、合言葉なんて、あったらいいな、なーんて……


ドルチェ:お、案外そういうの好きなタイプ?


エコー:そう言われるとなんか恥ずかしいのだ!


パティオ:あははは、でも私も好きなタイプ~


ドルチェ:奇遇だな、俺も結構好き


エコー:にゃ、にゃはは!じゃあ丁度いいのだ!


パティオ:そだね~、ふふ


ドルチェ:そうだな~


エコー:メメントモリ、という言葉を知っているだろうか。


ドルチェ:「死を思え」ってやつだな。ラテン語だっけか。


パティオ:結構有名だよね。


エコー:そうなのだ。死は当たり前に来るもの、それを思って生きろという意味なのだ。

エコー:でも、この言葉には実は続きがあるのだ。


パティオ:続き?


エコー:「カルペディエム」


ドルチェ:「カルペディエム」?


パティオ:どういう意味?


エコー:「その日を摘(つ)む」という意味のラテン語なのだ。


ドルチェ:その日を、摘(つ)む。


パティオ:分かりやすく、言い換えるとどういう意味……?


エコー:「今を生きろ」という意味なのだ。

エコー:だから『メメントモリ・カルペディエム』は、死を思いながら今を生きろという意味になるのだ。


ドルチェ:なるほど……


エコー:メメントモリはちょっと重たいから……『カルペディエム』、今を生きろ、それが私たちの合言葉でどうかな……。


パティオ:……過去じゃなく、今を生きる。


ドルチェ:いいじゃん、悪くないよ。


エコー:……へへ、それじゃあ


ドルチェ:決まりだな。


パティオ:カルペディエム、今を生きよう。


エコー:カルペディエム!


ドルチェ:……カルペディエム。


パティオ:そうと決まれば、ハンバーガーだ!


エコー:わあ!!!ハンバーガーなのだー!!!


ドルチェ:はは、やれやれ。





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