まだ好きって言ってないだけ。(1:1:0)
合作シナリオ お相手:しゃけさん
【配役】
◆優梨:
ゆうり 女性
◆晴太:
はるた 男性
優梨:ただいまー…って、あれ?晴太、帰ってたんだ。今日は早かったんだね。
晴太:おかえり、優梨こそ早かったね?遅くなるって言ってなかった?
優梨:仕事のあとに一緒に飲みに行く予定だった同僚が風邪ひいちゃってね。
優梨:まっすぐ帰ってきちゃった。
晴太:そうだったんだ、大変だったねえ。
優梨:……飲む?お酒。家でひとりで飲んでやるーって思って買ってきたんだけど。
晴太:飲む飲む。なんかツマミでも用意しようか?
優梨:え、やったぁ!晴太の作るやつ、居酒屋のやつより美味しいもん。
優梨:あ、ねぇ、あれ作って。だし巻き玉子。
晴太:あー、だし巻きかあ。うーん、でもなあ。
晴太:うーん。まぁ、うん。そうだなあ……
優梨:え、なになに?だめなの?だし巻き。
晴太:大根が無いんだよねえ
晴太:好きだろ?大根おろし乗ったやつ
優梨:あーー大根。大根かぁ……それは大事だ。
優梨:じゃあ今日は何が作れる?
晴太:大根おろし無しのだし巻きか、カルボナード・フラマンドかな。
優梨:かるぼなーどふらまんど?なにそれ?どんなやつ?
晴太:前に食べたじゃん。
晴太:あとはペルワールテン・ポートレウマスとか。
優梨:あー、あー……なんか、煮込んでるやつだ!美味しかった!晴太の作るやつ、全部おいしいけどね。
晴太:今スマホで調べただろ。
優梨:……
優梨:なんで、バレたの。
晴太:目の前でスマホいじってたらわかる。
優梨:友達と連絡取ってたかもしれないじゃん!
晴太:ふうん?
優梨:ぺるわーる、なんとかって、なに?出てこないんだけど。
晴太:ペルワールテン・ポートレウマスも調べてみ。
優梨:……もうしらべた。
晴太:にししししし。あった?
優梨:もーーーーわかんないと思って!適当な名前出したでしょ!!
晴太:はははは!バレた!
優梨:ばか、晴太のばーーか!いじわる!
晴太:あはははは、ごめんって。
優梨:そういういじわるな人にはお酒あげないからね。
晴太:え。そんないじわるなこと言う人にはおつまみあげないんだけどー。
優梨:……う。ずるい。
晴太:うそうそ、作ってくるわ。だし巻きとブタニクーデ・ネギ・マルメターノ。
優梨:ブタニクーデ……あ、豚肉でネギ丸めたの、だ!また調べるところだった。
晴太:せいかーい。
優梨:やったぁ!なにか手伝うことはありますか?晴太シェフ。
晴太:仕事帰ってきたばっかの人を働かせられませんよ~。
優梨:へへ、さすが晴太。
晴太:飲み物の準備と俺の愚痴の相手だけよろしく~。
優梨:ん?愚痴?なんかあったの?
晴太:(調理しながら)俺が仕事早上がりになった理由~。
優梨:愚痴るようなことなのか。
晴太:まあ、ちょっとだけ。
優梨:いいよいいよ、なんでも聞くよ。
晴太:あんがと。前にも相談乗ってもらってたけどさ、俺、先月からようやくカメラマンとしてスタジオで働けるようになったじゃん?
優梨:うんうん、そうだね。
晴太:その節はありがとうございました。
優梨:いいっていいって。私もその分……その倍?聞いてもらってるし。
晴太:その節はお世話しました。
優梨:はい、お世話されました。
晴太:実はようやくさ、俺も一人でお客さん任せられることになったのよ。
優梨:え!すごい!すごいねぇ!
晴太:それでさ、今日がその独り立ちの日だったってわけ。
優梨:おめでたい!……のに、なんで愚痴?
晴太:……さて、なんで俺は早く帰ってきたでしょうか。
優梨:……撮影予定の人がドタキャンした、とか?
晴太:せいか~い……
優梨:うわ……お疲れ様。それは愚痴りたくなるね。
晴太:なんでドタキャンされたと思う?
優梨:なんだろう。難しいぞ……んーー、体調不良?
晴太:んーん、ヒント、ブライダルフォトの予定だったんだよ。
優梨:え、まさか……別れた……?
晴太:せいか~い……
優梨:うわぁ……それはそれは……
晴太:はい、俺の怨念が詰まったおツマミができました……
晴太:たべよ。
優梨:えーー!やだーーー!……いや、だし巻きと豚肉には罪は無い。いただきます。
晴太:あはは。たべよたべよ、お酒はこれどっち飲んでいいの?
優梨:1日大変だった晴太くんに選ばせてあげよう。ビールと、甘いのと、どっちがいい?
晴太:甘いの!
優梨:だと思った。はい。ビールは私の~。
晴太:見抜かれてる
優梨:晴太の好みなんてお見通しです~。
晴太:流石です。
優梨:ん、乾杯しよ。晴太の、独り立ち記念……になり損ねた記念?
晴太:なり損ねた記念に、かんぱーい。
優梨:いいんだ、それで。はい、かんぱーい!
晴太:んく、んく、んく、ぷはー!うまい!
優梨:いい飲みっぷりだ。やな事、お酒飲んで忘れちゃおう
晴太:やっぱ酒はうまい。
優梨:……今回は残念だったけどさ。独り立ちできるって認められたことには変わりはないんだし。
晴太:ま、そうだねえ。また明後日別の指名予約あるし、実際の独り立ちはその時かなあ。でもさぁ。
優梨:でも?
晴太:なんか、考えちゃってさあ。
優梨:……ウェディングフォトを撮る前に別れちゃった2人のこと?
晴太:そ。優梨はどう思う?
優梨:んー……結婚する前に、合わないって分かったのは良かったんじゃないかな?
晴太:そっかあ、そういうもんかあ。
優梨:晴太は?どう思ったの?
晴太:うーん。
晴太:好き、って。
晴太:なんだろうなって。
優梨:……深い。
優梨:好きって、一緒にいたいって思うだけじゃダメなのかな?
晴太:……そう、思う?
優梨:……晴太は?今日のことで、それだけじゃダメだって思ったの?
晴太:い、いや、なんでもない。ほら、ツマミも食べて食べて。
優梨:晴太のなんでもないはなんでもないじゃないもん。ねぇ、どう思ったのか教えてよ。
晴太:……ん、んー。言わないとだめな流れ、だよね、これ。
優梨:教えてもらえなきゃ、オツマミを美味しく食べれない。
晴太:……わかったよ。笑うなよ?バカにするなよ?
優梨:わかったわかった。笑わない。バカにしない。
晴太:俺らは、さ。
晴太:ルームシェア仲間、じゃん。
優梨:そうだね。ルームシェア仲間だよ。
晴太:一緒に居たいと思って、ルームシェア、してるじゃん。
優梨:……そう、だね?
晴太:好きって、一緒にいたいって思うだけで、いいと、思うんだけど……
晴太:一緒に居たいって、好きって、思うこと、なの、かな、って。
優梨:そ、それだけじゃないんじゃない?落ち込んでる時は話を聞いてあげたいとか、相手の好みを知りたいとか、そういう気持ちも必要だったり?
晴太:そ、そっか、じゃ、じゃあ、違うか、そっか。
優梨:………………違うんだ。
優梨:じゃあさ、晴太の思う好きって何?他にどんな気持ちが必要なんだと思うの。
晴太:ん、んー……なんだろ。
晴太:誰かを好きになったこととか、あんま無いから、良くわかんないんだよね……。
晴太:優梨は?ほら、会社のさ、先輩のこと好きかも、って、言ってた……じゃん……
優梨:それ、けっこー前の話……。んん、そうだなぁ……その人ともっと話したいって思ったり、悩んでる時に助けてもらって嬉しかったり、他の女の人と話してるところを見てモヤモヤしたり……そういうので、好きかもって思った。かも。
晴太:モヤモヤ、か。
晴太:あ、ごめん、なんか変な話になっちゃって、ほら、たべよたべよ。
優梨:いいよ、別に。幸せいっぱいの2人を撮ろうとしたのにそれがダメになっちゃって、色々考えちゃったんでしょ?
優梨:ん、食べよ食べよ。いただきまーす!
晴太:いただきまーす……。
晴太:どう?おいしい?
優梨:んーー!やっぱり晴太のだし巻きは最高!豚肉にネギ巻いたやつも美味しい~。ビールがすすむよ。幸せだなぁ。
晴太:へへ……そりゃ良かった。……あー、そっか、あるかも。
優梨:ん?ある?
晴太:なんて事ないことを幸せだと思えること、かも。好きに必要な気持ち。
優梨:……晴太は、どんなことで幸せだって思うの?
晴太:自分の作ったご飯を美味しそうに食べてくれてる顔が、嬉しそうな時とか、幸せ……かな。
優梨:……それって、今?
晴太:あー……まぁ、うん、そう、かも。
優梨:そう、なんだ。……へへ、そっか。
晴太:な、なんだよう。
優梨:だって、今、幸せなんでしょ?
晴太:うん、幸せ。
優梨:じゃあさ、私だって幸せなんだよ。
晴太:そう、なの?
優梨:うん。幸せだから、毎日食べたいって思うもん。
晴太:……それって、つまり、つまり、どう意味、だったり、する?
優梨:……毎日、お味噌汁を作ってください、的な?
晴太:……ちょ、ちょっと待って。
晴太:あ、どうしよ、やばい。
晴太:今、顔赤いかも。
晴太:赤くない?
優梨:……私も、赤いかもしれないから、見れない。
晴太:え、その、いつ、から?
晴太:え、っていうか、え、まって、それどっち。
晴太:ど、どっちってなんだ。
晴太:やばい、ちょっと待って、落ち着け俺。
優梨:別に、別に、晴太のご飯が美味しいって言っただけだもん。
晴太:そ、そっか。そ、そう、だよね。
晴太:ただ、ご飯がおいしいって、言っただけ、だもんな。
晴太:や、やだな、な、なに焦ってんだろ俺!
優梨:晴太だって、幸せって言った。それはどういう意味?
晴太:……俺、結構嫉妬しいだって、知ってた……?
優梨:…………知らない。そうなの?
晴太:そう、だった。
優梨:どんなことで嫉妬するの?
晴太:優梨が……職場の先輩のこと、いいかもって、言ってたとき。
優梨:嫉妬したの?
晴太:……した。
優梨:…………なんで?
晴太:……誰かのものに、なっちゃうのが、いや、だったんだと、思う。
優梨:なんで、いやなの?
晴太:……やっぱ無し!なしにしよ、今までの、やりとり!
優梨:無しなんだ。
晴太:無し!
晴太:でも。
晴太:無しじゃ、ない。
晴太:ふー。
晴太:ちょっと待って。
晴太:はー、やばい。
晴太:優梨。
優梨:……なに?晴太。
晴太:さ、さっきの、お味噌汁作って欲しいってことば。
優梨:うん。
晴太:一旦、取消してくれない?
優梨:え?
優梨:いいけど……
晴太:一旦!
晴太:ふー、取り消してるよね、今、取り消されてるよね。
優梨:う、うん。じゃあ、今、取り消した。
晴太:うし、おっけ。
晴太:ふー。
晴太:あ、あのね、優梨。
晴太:笑わないで、聞いてくれる?
優梨:はい。
晴太:毎日、俺の味噌汁飲んで欲しい。
優梨:……つまり、それって?
晴太:その。
晴太:つまり。
晴太:好き、って、こと。
優梨:………………今、私、顔赤い。絶対。
晴太:俺も。だから、おなじだよ、多分。
優梨:じゃあ、私も、同じだよ。
優梨:……好き。晴太のことが。
晴太:待ってやばい。今絶対顔見ないで。
優梨:あは、やだ。見せて。見たい。
晴太:や、やだー!やだー!絶対やだー!
優梨:だめ!見る!見るの!
晴太:うううう、恥ずかしいって!やばいから今!
優梨:ふふ、可愛い。晴太。
晴太:か、可愛いのは!優梨!だよ!
優梨:……っ!急にそういうこと言うのは、ずるい!反則です!
晴太:反則じゃありません!いつも!思ってます!本音です!
優梨:ずるい!ずるい!!反則です。……見ないで。
晴太:やだ、見たい。見せて、優梨。可愛い顔みせて。
優梨:やだ!ばか!晴太のばーか!!
晴太:ば、ばかじゃないし!ばかって言われても好きだけど!
優梨:……本当にずるい!よく分かんないとか言ってたくせに。
晴太:わ、わかんないよ!優梨にしかこんな気持ちになったことないんだから!
優梨:じゃあ、私が初めて?
晴太:……うん。
優梨:……ふふ、そっか。そっかぁ……
晴太:に、にやけてるよ、優梨。
晴太:……なんか、安心、しちゃった。
晴太:2人とも、同じ気持ちだったのか……
優梨:晴太だって、にやけてる。顔赤いし。
優梨:……そうだね。同じだった。
優梨:でも。
晴太:うん。
優梨:私の方が先に好きだったよ。絶対。
晴太:えっ、そ、そうなの?
優梨:そうだよ。だって、今気付いたんでしょ?晴太は。
晴太:そっか、そういうことに、なる、か。
優梨:そうだよ。……付き合うってことで、いいんだよね?私たち。
晴太:……いや、その、それの事で思ってたんだけど。
晴太:付き合うんじゃ、なくて、さ。
優梨:じゃなくて?
晴太:結婚、しようよ。
優梨:は!?え!?ええ!!?けっこん!?
晴太:うん、結婚。
優梨:けっこん……
晴太:俺たち、ずっと一緒に居た、でしょ。
優梨:うん。
晴太:付き合うとか、恋人とかは、やっぱりよくわかんなくて。
晴太:でも、その。
晴太:優梨と、一生、これからも一緒に居たいんだ。
晴太:楽しいときも、しんどい時も、お互いに相談に乗ったり、たまに、その、イチャイチャしたりもしながら。
晴太:だから、結婚、して欲しい。
晴太:本当の意味で、『毎日俺の味噌汁飲んでほしい』。
優梨:はは、プロポーズだ……聞いたことないよ、気持ちを自覚したその日にプロポーズする人。
優梨:でも……うん。同じ気持ち。
晴太:……結婚、してください。
優梨:……はい。「毎日、晴太の作ったお味噌汁が飲みたいです」
晴太:へ、へへ、へへへへへへ。
優梨:もーーーー!顔がだらしなくなってる!
晴太:なるよ!なるでしょ!
晴太:今日、情報量多いんだもん。すごく!
優梨:ほんと。独り立ち先延ばし記念に、プロポーズに……一日で何個記念日作る気なの?
晴太:もう1個、記念日。
優梨:もういっこ?
晴太:まだ「好き」って言ってなかった記念日。
はじまり。
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