狂騒月光録(0:1:1)
※このシナリオはにょすけコミュニティーサーバー「にょロン」の参加者の皆様と合同で作成した合作シナリオです。
※シナリオ作成ルールは、以下で行いました。
----------
【狂騒月光録とは】
ここはなんの空間か分からない未知の場所です。
あなた方はここに迷い込んだ『白紙Aさん』という人物のセリフを皆さんで協力して投稿していただきます。
私は、この空間に何故かいる
【靉靆(あいたい)】と呼ばれる人物です。
ーーー
皆様に出来ることは、私と会話をすること。
【このシナリオは、皆さんで協力して私に質問をし、白紙Aという人物が何者なのかを紐解いていくゲーム形式の合作シナリオ】
ーーー
いわゆる、
ウミガメのスープ
というものです。
ただし、質問にはルールが存在します。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
其ノ壱_質問は、6回しか行う事ができません。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
其ノ弐_只只、ゲームクリアを目指すだけのプレイングでは面白くありません。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
其ノ参_質問をする場合は、皆さんで相談をしてからシマショウ。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
其ノ四_6回の質問を使い切った場合、この空間は消滅しまたハジメカラとなります。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
其ノ五_毎回アナタの正体はチガイマス。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
其ノ六_消滅ないしクリアできた時の会話記録をシナリオにシマス。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎
ウミガメのスープ形式ですので私は
はい か いいえ か
YES か NO か
わからない か
質問の仕方が悪い
などで
返答ヲイタシマス。
https://writening.net/page?uGCSJL
↑こちらは、秘密の資料デス。
【配役】
◆靉靆: あいたい と読む。性別不問、人外。
◆白紙A: はくしえー と読む。女性、恐らくは人間。
◆あさひ: あさひ。白紙Aと兼ねる。
【本編】
靉靆:という訳で、説明は以上になります。何か、質問は御座いますか?あ、当然この質問はカウントのうちには入りません。
白紙A:……。
靉靆:聞いてます?モシモーシ?
白紙A:聞いています、突然の事でロードに時間が……こほん。
白紙A:概ねのことはわかりました。自分は【白紙A】で、あなたは【靉靆さん】で……ここには、何もないのですね。
靉靆:そう、何もゴザイマセン。
白紙A:話すにあたって立ち話もなんなので、椅子や飲み物なんかがあると有難いのですが、……出せたりとかは。
靉靆:疲れたり、お腹すいたり、喉が乾いたり、してますか?私は一度もこの場では無いのですけれども。
白紙A:え?あぁ、確かに。言われてみれば自分も特に何も感じて無いですね。
白紙A:ただ、普段から話す時はそうしていた様な気がしまして。すみません。
靉靆:では、必要ありませんか?
白紙A:出せるのであれば、いただいても?
白紙A:なんとなく、あなたとゆっくりお話をするためには、それらが必要だと思うのです。
靉靆:ああ、では特別にあなたに縁のある食べ物をお出ししましょう。これもまたひとつ、ヒントになってしまいますがねえ。
白紙A:ヒント……?
靉靆:卵かけご飯、ですね、どうぞ、ご自由に。
白紙A:………卵かけご飯
白紙A:って、いや、普通こういう時はコーヒーとかじゃないんですか?
靉靆:そういうモノデスカ?
白紙A:…縁があると言われたら、いただきますけども
靉靆:ええ、ドウゾ。
白紙A:いただきます………あ、醤油味だ。
靉靆:おいしいですか?
白紙A:おいしい、……と、思います。縁があると言われたからなのかはわかりませんが、馴染む味に感じます。
白紙A:……あなたは「食べたい」とは思わないのでしたか。ひとりだけ食べるというのは、どこか落ち着きません。
靉靆:口がありませんから私には!たはは!
白紙A:あ、やっぱり口無かったんですね、その顔……。
靉靆:ええ、しかし、馴染む味とは面白いですね、確かにそればかり食べていたようですが。
白紙A:そればかり……なるほど、道理で。
白紙A:この味にはなんとなく、本当になんとなくですが…お酒、特にビールなんかが、合うような気がします。
靉靆:へえ、飲まれてたんですか。
白紙A:恐らくは。自分のことなのに、ひとつひとつ「そんな気がする」と感じるなんて、不思議なものですね。
白紙A:自分を解き明かさなければならないと思うと、尚更。
靉靆:早く、すべてを解き明かせるとよいですねえ。白紙様。
白紙A:早く。確かに。少しは焦った方がいいのかもしれませんね。
白紙A:…なんででしょうか。あなたとの会話に、妙に落ち着いてる自分がいるんです。
靉靆:しゃらくせえでございますね。
白紙A:え…?
靉靆:落ち着いてる場合じゃあないと言うことでゴザイマス。
白紙A:早く自分の正体を解き明かすことが、お互いのため……ということでしょうか?
白紙A:それとも、もっと緊急的な事態が?
靉靆:ようやく真に迫る質問が来ましたね!ここまではサービス回答ですよ。
靉靆:今まさに、本当のあなたは生死の境をさ迷ってイラッシャル。
靉靆:私があなたなら、悠長に落ち着くなんて言ってられないとオモイマスね。
白紙A:…!?生死を、さ迷っている……。
靉靆:ええ、言葉ドオリニ。
白紙A:ありがとうございます。さすがに、焦ることができそうです。
靉靆:ここは『知覚』と『認識』の空間。
靉靆:あなたが正しく、自身を『認知』する事が出来れば。
靉靆:自ずとその目ん玉も開く事でショウ。
靉靆:しかしあなたは目覚めてからも修羅場ラバラバ、さあ、目覚めて終わりでは無い、目覚めてからが始まりの。
靉靆:自己認知の問答をハジメまショウ。
白紙A:修羅場ラバラバ……。
靉靆:ええ、修羅場ラバラバ。バラバラじゃないだけ、マシですね。
白紙A:……ここからが本番というわけですか。
靉靆:ソウ、その通り。先ほども説明イタシマシタガ
靉靆:あなたは、私に質問をする必要ガアル。
白紙A:まるで、ウミガメのスープという遊びのようじゃないですか。
靉靆:近からず、遠からず、質問回数は6回まで。さあさあ、如何ナサイマス?
白紙A:急がば回れという言葉もあります、焦って、解答権を無駄に使う訳にもいきません。
白紙A:自己認知、自己分析。まるで就活のやり直しのよう。
靉靆:ノンノンですね、その認識は。
靉靆:お間違いなさっております。
白紙A:お間違い?それは何が──嗚呼、いえ。これは質問になってしまいますね。
白紙A:多くし過ぎず、さっさと質問しろ、と解釈しておきましょう。
靉靆:まぁそう言うことにしておきましょ、ええ、ええ、そういう事に。
白紙A:含みのある言い方ですが、今は置いておきましょう。
白紙A:では早速。自分の解釈に則って、単刀直入に申し上げましょう。
白紙A:今、生死を彷徨う自分は「悪人」なのでしょうか。
靉靆:ふむふむ、自分は「悪人」なのかどうか。
靉靆:ではその質問の答えがこの『狂騒月光録』に書かれているかどうか見てミマショウ。
靉靆:ふむふむ、えー!そんなことが!?なんてこと、ああ、もう、ああ、そんなそんな!
白紙A:気になる物言いをしますね……。
靉靆:答えは『YES』、悪人とされていますが~、う~ん、これは、どうなのデショウねえ?うーむ。
白紙A:自分も見たいんですが、それ?見れないのですか?
靉靆:それは質問ですかー?
白紙A:……違います。
靉靆:良かった!『いいえ』と答えるところでしたァ!
靉靆:しかし、うーん、ちょっとよろしいデスカー?
白紙A:はい。なんでしょうか。
靉靆:ちょーっとこの本、持ってて頂けマスー?
靉靆:あ、でも中身は見たらダメですよ、中身は私に、私にむけて、はい。
白紙A:……仰せのままに。
靉靆:ありがとうゴザイマスー!
靉靆:ふむふむ、ふむふむ、やはり、この角度から見ると『いいえ』。
靉靆:この角度から見ると『はい』。
靉靆:この角度だとー……『NO』と出ますねぇ。
靉靆:まっ、『正面から見たら悪人なのですから、きっと悪人ナノデショウ!』
白紙A:……悪人。
靉靆:ちょっと!返してくださいよ!それ!もう!いつまで持ってるんです!ぷんすか!
白紙A:あ、あなたが持ってろと言ったのに。でも、
白紙A:そうはいきません。これはあなたが自分に与えたチャンスと言えます。
靉靆:チャンスとは。
白紙A:自分は「持っていてほしい」と言われましたし、「中を見ないでほしい」と言われました。それは守りましょう。
白紙A:ただ返しません。
靉靆:ふーーーーーーーーーん。
靉靆:いいんですね?
靉靆:後悔しますよ?
白紙A:……後悔、ですか。
靉靆:私が。
白紙A:あなたが!?
靉靆:ひーんひんひんひん、どうして渡してしまったのデショウ、あなたの為にならないのに、ひーんひんひんひん。
白紙A:予想外の反応ですね……。
白紙A:為にならない、という事は、この本、『狂騒月光録』が無いと自分について何も答えられないんですね……ふむ。
靉靆:いいですよいいですよ、あなたがそうやって一人で全ての問答を進めようと言うのなら!ええ!私は一向に構いませんがねっ!!!!ぷんすか!
靉靆:いーち。
靉靆:にーい。
靉靆:さーん。
靉靆:しーい。
靉靆:五。
白紙A:こういうのって普通、カウントダウンじゃないんですか!?
靉靆:ろ。
靉靆:おおおおおおおおお。
白紙A:あ〜はいはいはいはい、わかりましたわかりました。返せばいいんでしょう、返せば。
靉靆:賢明な判断です!危うくタイムオーバーとするところデシタ!
靉靆:ふー!ヨカッタヨカッタ!
白紙A:六がラストだったんですか。カウントアップ、分かりにくいですね……。
靉靆:この場が、あなたの為だけに存在しているとでもお思いですか?
靉靆:次がつかえているのです。この場では私もルールとなる。そうじゃないとやってられませんって。
靉靆:さ、兎にも角にもファインディング・ニモ。
白紙A:ピクサーとか知ってるんですね……。
靉靆:質問はひとつ使用しました。あと五回、ドウシマス?
白紙A:閻魔の持つ巻物のようですね、それは。
白紙A:そこにはありとあらゆる罪が書かれていて、自分の後ろにもまだまだ罪を量られる人がいる。
白紙A:自分は……自分が死にかけているのは、自業自得なのでしょうか。自分が、なにか、したせいで。それで、生死をさまよっている?
靉靆:『YES』『YES』『YES』!!!
靉靆:最大級の『YES』をあなたに!
靉靆:あなたがもっともっと主張していれば!どうやらこの状況にはなっていなかったヨーです。
靉靆:でちゃいました、3連コンボ『YES』。
靉靆:あーと四回、あと四回、あと四回デスネー。
白紙A:……あの、
白紙A:自業自得、なんですね?自分が生死の境にいる……今ここに、いることは。
白紙A:それならば……自分に、生きていてほしいと願う人間など、……いるのでしょうか?
靉靆:んー、んー、『NO』とあなたは思っていたようですね。どうして?悲しい、なんでデショウ……。そんな産まれであったのかも?
靉靆:あっという間にあと三回!?嘘デショ!?なんてこと、どうします?お喋りでもシトキマス?
白紙A:いや、後がつかえてるのに!?悠長にしている暇はないと仰ったのに!?!?
靉靆:そーでした、残念。社畜は辛いモノです。
白紙A:あなたは社畜だったのですね、驚いた。こんな見るからに異世界にもしがらみが……。
靉靆:どんな世界にも社畜はイルノデス。
白紙A:……。
白紙A:「そう思っていた」という言い方はまるで……、自分にも、生きてほしいと願ってくれる人がいるような。
白紙A:そうは思えません。思えないのですが、もし、……そんなことがあったら。
白紙A:目覚めた時。自分を、もっと、主張できたなら。
白紙A:自分は生きられますか。
靉靆:白紙A、それを決めるのはキミシダイだ。よってその質問は無効とする。
靉靆:回数は変わらず残り三回。
靉靆:白紙A、君が自分を取り戻すことを私は切に願うよ。
白紙A:自分次第ですか、自分のことすらまだわからないのに。
白紙A:靉靆さん。これは質問ではなく、少しだけ、勇気が欲しいだけの甘えなのですが。
白紙A:あなたは、自分に。「生きて」と言ってくれますか?
靉靆:当然でございましょう、このままあなたが次に進んでしまうのはあまりにも悲しすぎる。
靉靆:白紙A、不安な事もゴザイマショウ。なので揺るぎないことを一つだけ伝えましょう。
靉靆:私、靉靆は、あなたの敵ではゴザイマセン。
靉靆:あなたが真の自分を認知する為の、自身の気持ちに気付くための壁打ち相手でしかナイノデス。
白紙A:そう言ってもらえて、少し気持ちが楽になりました……。
白紙A:自分は自分のために、自分を思い出して、現実に立ち向かいたい。そう思います。
靉靆:では、残り三回の質問、しかと受け止めマショウ。どうぞ。
白紙A:自分は、……誰かに生きてほしいと思われてるなんて想像できなかった。そんな自分が、生死をさまよっているのですよね。
白紙A:……死のうと、していたのですか。自分の意思で。
靉靆:……それは……。
靉靆:ドウナノデショウ。
靉靆:『いいえ』とも、『NO』とも、『はい』とも取れますが。
靉靆:そうでは無いように、ミエマスネ。私は。
白紙A:『YES』とも『NO』とも取れる……?
白紙A:自分は、死にたくはないけど、死ぬことを選択した、あるいは生きることを諦めた……?
白紙A:まさか、まさかとは思いますが。何か濡れ衣を着せられている、なんてことは……。
靉靆:『YES』であり『はい』でゴザイマス。
靉靆:しかし……
靉靆:難しいところですね、言葉というのは。
靉靆:キセラレテイル、うーん、キテイル、うーん、キサセサセラテイル?
白紙A:自ら罪を被った、と言い換えるべきですか。
靉靆:それは最後の質問デスカー????
靉靆:それではお答えしまショウ、それはーーーーーーー。
白紙A:……いいえ!
白紙A:い、い、え!!
靉靆:危なかったデスネー、答えるところです。
白紙A:会話の流れでいけばポロッといきそうだったので、つい。
白紙A:あとひとつ、最後のひとつなんです。……時間を、ください。
靉靆:時間がもっとあれば、ヨカッタヨカッタなのですけどね。
白紙A:次の方も、つまっているんですもんね……。
靉靆:ええ、それに……これで終わりでは……いえ、まだその話はヤメテオキマショウ。
白紙A:…?何か含みのある言い方だ。
白紙A:まぁ……詰まっているのなら、あまり時間も取れませんね。
白紙A:最後の質問、ですか……ふー……
白紙A:ここまで質問してきた中で、自分が思い当たる「存在」が一つ、浮かびました。
白紙A:「死刑囚」です。
白紙A:靉靆さん……自分は「死刑囚」だったのでしょうか……?
白紙A:自ら誰かの罪を被り、誰からも生を望まれないまま、哀れにも首に縄をかける。
白紙A:……違いますか?
靉靆:『いいえ』、しかし未来的に『YES』というところですかネー。
靉靆:すべての質問を使い切りました、これにて6回、完了です。
靉靆:さあ、では、白紙A、あなたの知覚を。あなたの認知を。この自問の先の自答を。
靉靆:あなたの、正体とは??
白紙A:自分の、正体。
白紙A:まだ明確には分かりません。名前も、生まれも。家族がいたのかどうかさえ。
白紙A:それでもわかったことはいくつかあります。
白紙A:自分は「冤罪」を被っている犯罪者。
白紙A:今はその罪を弁明できる最後のチャンス目前なのでしょう。きっと、自分には切り札がある。
白紙A:ただ、そのカードを出すことで、自分以外が「死刑」になるのを恐れている……気がします。
白紙A:自分には果たして、生きる価値などあるのでしょうか。
白紙A:いっそ誰かの罪を被り死ぬのが、自分という存在価値なのではないでしょうか。
白紙A:そんな、自己への肯定感も、きっと財産すらも乏しいような……貧しい人間、かと。
靉靆:ん~~~~~~!!!
靉靆:自身が何に巻き込まれ、何故そこに居るのかが分からなければ、その自己の認知に意味などアルノデショウカ~~~~~!?
靉靆:残念です、白紙A様ァ!!!
靉靆:第1話というものがあるのなら、それはここで終いというわけデスネー!
靉靆:オーディエンスのブーイングが聞こえる気がします!さあ、幕間!
0:【第1話終了、幕間、第2話開始】
靉靆:さて、白紙A様、まだ意識はございますか?
白紙A:………あ、あぁ……はい……
白紙A:ええと、自分は今何を……
靉靆:意識があるなら結構、あなたは死の宣告を刻々と刻み、命の灯火をか細くしている真っ最中。
靉靆:しかし、しかし。
靉靆:その代わりに真実と自認を得るために、手にした物も、ゴザイマショウ。
白紙A:…そうですね。
白紙A:貴方との、たった6つの問答の中で。
白紙A:自分は……冤罪を被った犯罪者。今まさに、「死」という運命に直面している、と。
靉靆:それだけではゴザイマセン、まず現世でのあなたの『からだ』の状態をあなたに知らせる必要ガアリマス。
靉靆:聞きたいデスカー?
白紙A:………聞かせていただけるのであれば、是非。
靉靆:まず、トウトウ唇が紫色になり始めたようデス。
靉靆:次に、座位の状態でありながらそれを保てなくナッテイマス。
靉靆:そして、ついに第二大臼歯が加重に耐えきれなくなり割れたヨウデス。
靉靆:状態のお知らせは以上デスネー。
靉靆:もう少し、サービスして欲しいデスカー?
白紙A:えぇ。どうやら悠長にしている場合では無さそうなので。あなたが教えてくださるというのであれば、お願いします。
靉靆:『あなたが居るのは車内です。』
靉靆:そして。
靉靆:『両脇の人が焦っているようですね。』
靉靆:さて、それでは第2話目を早々と初めてイキマショウ。
白紙A:車内!?え、自分車内にいるんですか??!
白紙A:与えられた情報が多いですね………少しロードします。ああいえ、急いでロードします。少々お待ちを。
靉靆:ええ、その様です。
靉靆:初めて乗ったようですね、その車には。
靉靆:おっと、これは言ってはならぬコトだったようです。怒られます。
白紙A:出来ればそういうことをもう少し零して欲しいものです。自分的には。……それであなたになにか不利益が生じるようなら話は別ですが……。
靉靆:私が全てを零して教えるなら、それは『自認』ではなくなるデショウ?
靉靆:あなたがしなければならないのは、『自認』ナノデス。
靉靆:勘違いしているヨウデスのでお教え致しますが……
靉靆:あなたは、自分が誰なのかを思い出したらそれで終わりだとオモッテイラッシャル。
靉靆:違います、そこからがハジマリなのです。
白紙A:自分が誰なのかを思い出すところからが、始まり……。
靉靆:そう、ナゼナラ。
靉靆:ここは地獄の手前ナノですから。
白紙A:……地獄の、手前?
靉靆:我々としては、罪人には罪の自覚を持って地獄に来て欲しいワケデスヨ。
靉靆:しかし、あなたはなんでしょう、自認すら飛び、罪すら曖昧。
靉靆:あなたは罪人なのか、そうでないのか、生きるのか死ぬのかも曖昧だ。
白紙A:………なるほど。あなたはあなたの仕事のためにも、自分に自分を自認して欲しいのですね。
白紙A:では、早速1つ目の質問をさせていただきます。
靉靆:ほい来たガッテン!
白紙A:自分が乗っていた車、乗っている車?というのは、警察車両かなにかですか?自分は移送中だったのでしょうか。
靉靆:『YES』『YES』『YEEEEEeeeeeeeeeeS』
靉靆:その通り、どうやらあなたが居るのは警察車両。
靉靆:そして質問が2つ混在しているので、質問2つを使用してシマイましたネー?
靉靆:警察車両か?そして、移送中か?答えはイエーーーース。警察車両であり、移送中デーーーース。
白紙A:えっ!そんなのありですか!!?
靉靆:やっちまったもんは、シカタアリマセンねえ
白紙A:く……まぁですが、ここで時間を使う訳にはいきません………。
靉靆:よい切り替えデス、まさしく全盛期の長友くらいのキリカエシ。
白紙A:サッカーもご存じなんですね。
靉靆:ええ、たしなみです。
白紙A:はぁ……こんなことならもっと慎重に質問するんでした……。
靉靆:どうして捕まってるんデスカー?あなた。
白紙A:自分が知りたいですね!
靉靆:それもソーでした!
靉靆:ところで、フムフム、あなた、なんでこんな格好で捕まってるんデショーネ?
靉靆:マニアにはタマリマセンナー。
白紙A:こんな格好?
白紙A:どんな格好なんですか?
靉靆:そそりマスねぇ、私は結構好きですが、ブレザーの方が好きですねぇ私は。
靉靆:あ。
靉靆:いえ、なんでもゴザイマセン。
靉靆:ま、サービスデスヨ。
靉靆:何せ、死の淵が迫ってオリマスから。
白紙A:靉靆さんの好みは、ブレザー……。
白紙A:レトロよりカジュアルな方がお好き、覚えておきます。
靉靆:何かわかった風にイッテマスネエー
白紙A:…さて。唇が紫、とのことでしたが。
白紙A:酸素が足りていなさそうですね、現実の自分は。
白紙A:唇が紫になっている理由は……服毒、ですか?
靉靆:『NO』であり、『いいえ』でゴザイマスね。
靉靆:毒なんてもの、毒親だけで充分デショウ。
白紙A:ふむ……
白紙A:どうやら自分は、恵まれた生まれではなかったようですね。
白紙A:ああ、これは独り言ですよ?
靉靆:独り言も大いに結構!
白紙A:寛大で助かります。では、次の質問を。
白紙A:自分は、移送されなければ死にかけなかったのでしょうか?……要は、警察に捕まったから死にかける原因ができたのか、という意図ではありますが。
靉靆:『はい』とも、出ておりますが……どうだったのでしょうね?捕まらずともいずれは、と思いますが。
白紙A:いずれは……?いずれは、捕まることになった。或いは、直接の原因はそこにない……。
白紙A:……自分の、親は。
白紙A:あなたに「毒親」と称された両親は。……今の状況に関与しているのですか?
靉靆:『はい』!!!!
靉靆:とってもとっても、関与しているのでショウねえ!
靉靆:さあ、最後の質問とナリマスね。
白紙A:とってもとっても……、少しずつ、見えてきたような気がします。
白紙A:自分の置かれている状況が。
白紙A:でも……腑に落ちないこともありまして。
白紙A:警察車輌で移送中、死にかけているのは服毒ではない……では、なぜ自分は死にかけているのでしょう。
白紙A:…いずれ死にかける運命だったと、仰いましたね。
白紙A:自分は……自分には、何かしらの持病があり、それを放置していた?だから車輌の中で発作を起こし、両脇の警官が焦っているのですか?
靉靆:『YES』だ、白紙A。
靉靆:その持病が、君の人生のすべてを狂わせていたと言っても過言では無い。
靉靆:そろそろ、『自認』が戻ってきたかね?
靉靆:さあ、意を決して、話すといい。
靉靆:あなたの、正体とは?
白紙A:自分は……
白紙A:親の罪を被り、警察車輌で移送中の少女です。これから死刑囚となることが、おそらく確定している……
白紙A:毒親と称される親の元に生まれたせいで、満足に食べ物も与えられず、病院にも行けず、警察車輌の中で発作を起こしている状態。
白紙A:ねえ……靉靆さん。
白紙A:あの時、両親にもっと病院に行きたいと主張していれば、こんなことにはなっていないと、これから言えるなら。
白紙A:この『死ぬはずの運命』を、変えることができるのでしょうか……?
靉靆:おお……おお……よくぞ、ここまでたどり着いたものです。
靉靆:これがロールプレイングゲームのマッピングシステムであれば、おおよそ98パーセントの地図が埋まったも同然。
靉靆:素晴らしい。
靉靆:しかし、肝心な部分。あとの2パーセントが間違っているなら、それは認知があっていると言えるでしょうか?
靉靆:『残念、違います』
靉靆:『あと一歩でございます』
靉靆:それでは幕間!!!!
0:【第2話終了、幕間、第3話開始】
靉靆:朗報です。
靉靆:救急車は間に合ったみたいですね。しかし依然あなたの意識はこの今際の際。
靉靆:まぁでも、そうですね。
靉靆:あなたの灯火はこの3話で終わるようです。
靉靆:終わるなら終わるで、それはそれでこころが安らかかもしれないデスネー。
靉靆:さてさて、今のゴキブンハ?
白紙A:気分……そうですね……。
白紙A:これで正解だろう、と思っていたので残念というか。少し安心したというか。
白紙A:……なんとも言えないですね。
白紙A:何が間違っているというのでしょうか。
靉靆:では、サービスサービスぅです。
靉靆:『ひとつだけ、YES・NO・いいえ・はい以外で』質問に答えてあげましょう。
靉靆:98パーセントまで自認できたあなたに、プレゼントです。
白紙A:イエス・ノー以外の、答え。
白紙A:それなら、自分は……名前が知りたい。
白紙A:自分の名前は、なんというのですか。
靉靆:あなたの名前は『小比類巻(こひるいまき)あさひ』。
靉靆:4人家族の長女、ということのようデスネ、一応。
靉靆:ホラ、この狂騒月光録の表紙のとこ、書いてあるでしょ? asahiって。
白紙A:あさひ、あさひ……自分は、小比類巻あさひ。
白紙A:えっ、そんな文字ありましたか?……よく見せてもらっても。
靉靆:いいえ、私から見せるわけにはいきません。
靉靆:……真実はもうあなたの手の中にアルデショ?名前までわかったなら、なおのこと。
白紙A:表紙……本当、だ。表紙に、きちんと、あさひ、って。
白紙A:……あさひ。そっか……あ、そうか。
白紙A:…………あ。
白紙A:……ああ、ぁ。
白紙A:そうだ、自分は……嗚呼、そう、そうだった。
白紙A:弟が、……人を、それに、お母さんもお父さんも、自分を……、
白紙A:ひっ、ぅ、……っ、は、ッは、……ヒュ、……。
靉靆:落ち着いて、呼吸をシマショウ。
白紙A:大丈夫、大丈夫。収まれ、おさまれ、おさまれッ。ここは、現実じゃないんだから。
靉靆:そう、ここにはあなたを苦しめるモノは無い。
白紙A:……。
白紙A:……思い出しました。自分は、
あさひ:『私』は。小比類巻あさひ。
あさひ:弟の罪を、被せられて。今まさに、死ぬか生きるかの瀬戸際になっている、高校生。
靉靆:正解デス、お帰りなさい、あさひ。
あさひ:ただいま……で、いいんでしょうか。私はまだ、帰ってくることを躊躇っているのに。
あさひ:弟の同級生が、私の部屋で死んでいた。私はそれを、弟がやったところを見たんです。だから、自首すべきって、弟に、両親に……言ったんです。
あさひ:なのに。私、私……、
あさひ:なんで、私が自首してるんでしょうね。
あさひ:なんで?はは、そうか。私が出来損ないのお荷物だからか。
あさひ:私、やっと両親に価値を見つけてもらえたんですか。
あさひ:こんな形でしか、必要とされないんだ。
靉靆:……まだ、混乱もあるデショウが、時間があまり残ってオリマセン。
靉靆:あなたの残りの質問回数を覚えてイラッシャイマスカ?
あさひ:6、でしたか。3話と仰っていましたが、確か、その都度6回。
あさひ:まだ、サービスでいただいてから質問はしていないはずです。
靉靆:そう、6回。
靉靆:この、残りの6回。今度はあなたが、私の質問に答える必要ガアリマス。
あさひ:私に、あなたが……?
あさひ:隠し事なんて今更ありません。でも、そんな、面白みのある人間ではないのに。
靉靆:チガイマス。
靉靆:隠し事なんて、関係ナイノデス。
靉靆:これは、あなたを罪人とするか、そうでないか、地獄の采配のための『尋問(じんもん)』ナノデスから。
あさひ:『尋問』……その次第によって、私は地獄行き?
あさひ:私がやったんじゃ、ないのに?
靉靆:そう、あなたがやったのでは無い。
靉靆:だがあなたは『罪悪』を感じている。
靉靆:それを、理解する必要がある、『認知』する必要がある。
靉靆:罪を認め、地獄に落ちゆくか。
靉靆:罪悪を跳ね除け、目を覚ますか。
靉靆:はたまた、他の道を模索するか。
靉靆:ご理解いただけたら、始めましょう。
靉靆:ここからは、YES・NOではなく、あなたの言葉でお答えください。
あさひ:罪悪を、感じている……?
あさひ:…これだけじゃ、足りない。
あさひ:これ以上まだ苦しまなければいけないんですか…!
靉靆:……ええ、残念ナガラ。
あさひ:………嘆いてもしょうがない、ですね。
靉靆:素晴らしい、キリカエシです。
あさひ:分かりました。『尋問』を始めてください。
靉靆:……宜しいのデスネ?
あさひ:……お願い、します。
靉靆:もう少し、オシャベリをしてもよいのですよ。
あさひ:……ありがとう、でも。
靉靆::でも?
あさひ:後が、つかえているんですよね。
靉靆:……ソウですね。
靉靆:では、参りましょう。
靉靆:尋問其ノ壱、何故あなたは弟の罪を被ったのか?
あさひ:……両親に、そうするよう、言われたからです。
あさひ:「ママの言うことをよく聞いて」って。それが、幼い頃からの母の口癖で。私が、てんかんなんか持ってたから。だから両親には、沢山負担をかけてきて……。
あさひ:だから、私は。私は、ママの言うことを聞かなきゃダメなんです。
靉靆:だから、罪を被ったと。法を破った弟の身代わりになる、と。そう決めたのですね。
あさひ:だって、それしか私に選択肢はないじゃないですか。
あさひ:いつまでも家のお荷物。そんな私に、断る権利なんかなかった。
あさひ:……でも、でも!
あさひ:……本当なら被りたくなんてなかった!!!
あさひ:通報した方がいいって、まだ生きてるかもしれないって!ちゃんと、私、言ったのに…………!
靉靆:尋問其ノ弐、何故逃げなかったのか。
あさひ:逃げ、る…?
あさひ:ママの……ママの言うことが、正しくて、パパの言うことだけが、本当で………
あさひ:逃げるのは、悪いこと。辛い病院から逃げるのは、悪い子がすること。
あさひ:だから、逃げるなんて、考えられなかった。
あさひ:だって逃げるのは悪い子がすることだから!強い子は堪えるのよって、ママが言ったから!
あさひ:初めてあの時逆らったの…警察行こう、自首しようって……
あさひ:それすら無碍にされたのに、逃げるなんてできるはずない!!
靉靆:尋問其ノ参、では逃げも戦いもしていないあなたの弟の事をあなたはどう思うのでしょう?
あさひ:ずるい。
あさひ:ずるいよ、…………ずるいずるいずるい!
あさひ:……でも、そう思う自分がだいっきらい。わたし、うまれてこなきゃよかった。そしたらこんな、こんな気持ちにもならなかった。
靉靆:良かった、あなたにも妬む気持ちはまだアルノデスネ
あさひ:そう、なのかな。
あさひ:こんな汚い感情もってて、やっぱり私ってダメな子なんじゃないかな。
靉靆:ダメなんかでは、無いデショウ。
靉靆:私は安心しているのデスヨ、あさひ。
あさひ:安心……?
靉靆:あなたが、あなたの置かれている状況を、環境を『すべて受け入れているのなら』あなたは罪人として裁かれる道しかアリマセンでした。
靉靆:何故か、分かりますか?
あさひ:……わからない。どうして、受け入れたら、罪人なの?
靉靆:あなたは、人を殺してイナイと言いました。
靉靆:濡れ衣である、と。
靉靆:それは、その通り、あなたは濡れ衣を被りに行った。
靉靆:でも、ひとり、あなたが『今まさに殺そうとしている人物が居る』デショウ?
あさひ:…………もしかして、わたし自身のこと?
靉靆:その通り。
靉靆:ここは地獄のテ前であると、お伝えシマシタネ?
あさひ:聞きました。聞きました、けど。わたしは死にたいなんて……思ってない。
靉靆:ですが、あなたがしている事は『自らを殺すこと』と変わりアリマセン。
靉靆:あなたが『自らの運命を受け入れてしまうのであれば』地獄よりも、深い深層に落ちる事になる。
靉靆:その場所の名は……
あさひ:……その、名は?
靉靆:『ダウナーホール』
あさひ:ダウナー、ホール……?
靉靆:それでは、次の尋問デス。
靉靆:尋問其ノ四、独りで食べる卵かけご飯は、幸せでしたか?
あさひ:卵かけご飯……
靉靆:ええ、火を使えない、使わせてもらえないあなたが、唯一自身で作ることのできた、卵かけご飯。
あさひ:……幸せ、だったと思います
あさひ:自分のために、自分で作るご飯。
あさひ:好きな食べ物だった。だから
あさひ:あの時間は、私の幸せだった
靉靆:……幸せ、だったんだね。
あさひ:うん……うん。
あさひ:それ以外に、自分を大事にする方法なんて、知らなくて。
あさひ:それ以外の幸せって、…なんなんだろう……
靉靆:想像、できる?
あさひ:私が、幸せな姿?
靉靆::そう、君の想う、幸せな姿。
あさひ:私……、私の幸せは、なんだろう……卵かけご飯に、ちょっと贅沢に海苔を乗せてみたり?
靉靆:うん。
あさひ:学校の帰り道で、小さい花が咲いてるのを、見つけたり……。
靉靆:聞いてるよ。
あさひ:あ、散歩中の犬を、撫でさせてもらうの。ふわふわで、あったかくて……、おばさんのことはよく知らないけど、うちの子かわいいでしょーって、笑ってくれる。かわいいですね、って……それに返す。
あさひ:そんな一時は、すこしだけ、胸が軽くなって。
靉靆:それが、あさひの幸せ?
あさひ:…………。
あさひ:…………違う。
あさひ:でも、本当は、私、
靉靆:言って、あさひ
あさひ:みんなみたいに、私のために作られたご飯を食べたり、
あさひ:いっぱいぎゅって、されてさ。いい子だね、頑張ったねって、
あさひ:そんなふうに褒められたくて、愛されたくて、
靉靆:うん
あさひ:そしたら……すごく、きっと、……ううん、絶対。
あさひ:幸せ、なんだろうなぁ。
靉靆:……そうだね、あさひ
あさひ:……ママのご飯最後に食べたの、いつだっけ。
靉靆:……尋問、其ノ五、あさひ、君は、罪人か?
あさひ:罪人じゃない……罪人なんかじゃないよ
あさひ:だってこんなに苦悩して、「あたりまえの幸せ」も感じられなくて
あさひ:その上今、死にそうで、死刑もほぼ決まってるなんて、
あさひ:…そんなの……このまま罪人として死ぬのは嫌。
あさひ:私、罪人なんかじゃ、ない。
靉靆:……それが、君の『自認』であり『真の罪悪の有無』であり『君がここに来た理由』。
あさひ:……。
靉靆:君は、罪人じゃない。
あさひ:そうだ……そう、だよ。
あさひ:私、嫌だったんだ。
あさひ:「お前が悪いんだから」ってパパに何度も言われるのも、
あさひ:「悪いお姉ちゃんには近づいちゃだめ」ってママが言うのも、
あさひ:本当は……全部全部、嫌だったよ…
靉靆:そうだよ、あさひ、嫌だと思ってよかったんだ。それが、嫌だと思っても。
あさひ:そっか。
あさひ:…………そうだったんだね、靉靆さん。
あさひ:わたし、いやだって、思って良かったんだね。
靉靆:今、君の「身体」は峠を越えたみたいだ。
靉靆:君が目覚めたいと思えば、きっと目覚めることができるはずだ。
靉靆:最後の尋問をしよう、あさひ。
あさひ:うん。なぁに、靉靆さん。
靉靆:尋問、其ノ六、君はどうなりたい?
あさひ:どう、なりたいか。……笑わない?
靉靆:笑わないよ。
あさひ:わたし、ね。
靉靆:うん。
あさひ:私、お花屋さんになりたかったの。
靉靆:お花屋さん、いいね。
あさひ:小さい頃、病院で退院する時貰ったお花が綺麗で、それからなりたいな〜って漠然と思ってた……。
靉靆:そっか、今は?
あさひ:今は、どうだろ。……でも、しあわせに、幸せになりたい。
靉靆:うん。
あさひ:私自身を許して、愛して、自分のための人生を生きたい。
靉靆:うん。
あさひ:パパとママの顔色ばっかり見る私じゃなくて、やりたいことを思いっきりやれる、言いたいことをはっきり言える私になりたい。
靉靆:いいよ。言って、あさひ。
あさひ:好きなように、生きていきたい。
靉靆:じゃあ、目覚めないとね。
あさひ:……また、会える?
靉靆:あさひ、もう質問の権利は残っていないですよ。
あさひ:…ちがう。「質問」じゃない。
あさひ:これは。好きなように生きるって決めた私の…
あさひ:私の最初のわがまま。最初の「お願い」だ。
あさひ:言いたいことは、はっきり言うって決めたの!…だから。
あさひ:…靉靆さん。「質問」じゃなくて「お願い」なら。
あさひ:「答えて」くれるよね?
靉靆:私は、会いたくないね、あさひ。
あさひ:はは、……振られちゃった。
靉靆:応えられず、スミマセン。
あさひ:初めて、こんなこと言ったのにな。
靉靆:申し訳ナイデスネ。
あさひ:でも、なんでだろ。嫌な気持ちにはなってなくて。
あさひ:寧ろ……
靉靆:寧ろ?
あさひ:……ううん、何でも無い。
靉靆:君はこれから目覚める。
あさひ:起きれる、かな。
靉靆:起きれますよ、君なら。
靉靆:真実を話し、孤独の中で雲や霞を避ける日々が続くだろう。
あさひ:……うん。
靉靆:だが、それでいい。
靉靆:それでいいんだ、あさひ。
靉靆:君は、雲なんかに隠れず、光り輝く日々を送れ。
靉靆:だから、あさひという名前なのだろう。
靉靆:さあ、あさひ、起きる時間だ。
あさひ:……うん。ありがとう、靉靆さん。
靉靆:最後にひとつ、教えてくれ。
靉靆:目が覚めたら、まず、なにが食べたい?
あさひ:……質問と、尋問は、6回までじゃ、無かったの?
靉靆:これは、質問と、尋問では、アリマセンから。
あさひ:……ふふ、ずるいなあ。
靉靆:そう、ズルイのです。ずっとね。
あさひ:……あの、ね、靉靆さん、私、やっぱり。
靉靆:……なんでしょう?
あさひ:ううん。最後の質問だよね。最後の質問。
あさひ:答えて、起きないと。
靉靆:そうだよ、あさひ。
あさひ:目を、開かないと。
靉靆:うん。
あさひ:思いついたよ、靉靆さん。食べたいもの!
靉靆:なんだい、それは。
あさひ:オムライス!
0:【月光録は、閉じられる。】
0:【どんよりとした雲が晴れ、月光差し込む夜の後は、朝日が顔を出すのだろうと、手記を残して。】
0コメント