朗読詩「親父とセックスする夢を見る。」
断じて違うことを先に言っておくけれど
僕は親父のことが好きなわけでも
男性の体に興味があるわけでもないんだけど
でもそれでも
何度も何度も
親父とセックスする夢を見る
それは風呂場や
トイレみたいな
日常のどこかであったり
見たことも無い廃墟や
スクランブル交差点の真ん中
あるいは、電脳的空間を模したような
あれやそれやこれ
誰も見ていないことを祈りながら
親父とセックスをしている
繋がった先はどうにも暗くてよく見えなくて
見えなくてよかったと思う自分と
見えないことへの不安が募る
溶けない氷をくちのなかで
転がし続けるみたいな
嫌悪感と不快感と
あとどうしても感じてしまうほんの少しの愛情のようなものが
いびつな喜びを生んでいく
産んでいくと思えば
いくぶんかましだった
起きてすぐの頭では
全部を否定するのに目一杯で
なにも
なにも
なにもない
そんな夜に安心をする
それでもって
ああ、しにたいなって
きょうもおもう。
きょうをおもう。
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